地獄タクシー Ⅱ

コノミナ

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6章 写鬼

戦い

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「みんな武器を持てよ」
礼司はそう言って鬼のノブを
ソードに伸ばし由美に渡し
小柄を沢村に渡し
金のマガジンをベレッタの
モデルガンに入れて
浜田に渡した
「魔美にはこれだ」
鬼の手付けを渡した
「うん」

「消すぞ」
礼司はそう言って
ペットボトルの水を護摩壇の火にかけると
「ウォー」
と言う獣様な声が聞こえると
そこから凄い蒸気が出て
洞窟中が真っ白なると前が見えなかった
「ああ、やばい」
「前が見えない」

「みんな手をつなげ」
礼司が手を伸ばすと
二本の手が礼司の手をつかんだ
「みんなつかんだか?」
「はい」
四人の声が聞こえた
「よし、移動するぞ」
礼司たちは壁に付いた

「動くな、前が見えるまで」
「はい」
白い蒸気が薄くなってくると
シャター音が聞こえた
「誰だ」
礼司が怒鳴るとその音の元が
洞窟の奥に消えていった

「みんな大丈夫か?」
「はい」
すると目の前の護摩壇の
火が消えていた

「あっけないね、呪鬼」
魔美が言うと
「いや、呪鬼が移動した」
礼司が言った
「えっ?」
「それとさっき誰か写真を撮らなかったか?」
礼司が聞くと
「撮れないわよ目の前が真っ白
だしみんなっ片手がふさがっていたわ」

魔美が答えた
「鬼?」
礼司は言うと
「富田順子は死んでいます」
由美が自信を持って言った
「富田順子は祈祷師じゃない、
彼女は子供の時何かに取り憑かれただけだ」
「何かって?」

「わからんが、彼女の体の血液が少なかったの
は11歳の時に心臓を食われて
その時以来血液は増えていないんだろう」

「それって?」
「その時にすでに死んでいたんだ」
「どうするの?」
「写真を撮ったやつはきっと呪鬼のところへ向かったはずだ」
「どこ?」

「とにかく外へ出るぞ」
「はい」
四人は礼司につかまるり
鬼のノブが光ると
五人は社の前に着いた

「呪鬼は?」
礼司は魔美の声に反応して
周りを見渡し
「あの山の方だ」
そして東の方の谷の向こうを指差した
「あんなに遠くですか?」
浜田がつらそうな顔をして言った

「あの山は修験者の修行の場だったんですよ」
沢村が言うと礼司が
「沢村さんあそこへ行った事ありますか?」
「夜野さん歩くんですか、この暗がりを」
由美が心配そうに言った
「ありますよ子供の頃」
沢村が言った

「よし」
礼司が沢村の手を握ると礼司の熱い手に
思わず手を引っ込めた

「ちょっとまて、俺はその気無いから」
「あはは、いきなりなんで」
「手を握らせてもらいたい、沢村さんの記憶が欲しいんだ」
「分かりました」
礼司は沢村の手を握って目をつぶると
礼司に頭に向こうの山の社が浮かんだ
「みんな行くぞ」
「はい」

四人は礼司の体に触れると
金色の光を放ち一瞬で
社の前に移動した
「この社の下に洞窟が有るんですかね」
浜田が礼司に聞いた

礼司は月夜の明かりの中でンタンに火を灯して
言った
「たぶんな、それより誰かが写真を撮られたんだ
次の餌食はこの中の一人だぞ」
「ええっ、そんな」
沢村が悲鳴を上げた


「でも写真を撮った祈祷師がこっちに着く前に
呪鬼を退治しちゃえば良いんでしょ」
魔美が簡単に言い放つと
浜田と沢村と由美が懐中電灯をつけた
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