地獄タクシー Ⅱ

コノミナ

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7章 鏡鬼

鏡鬼

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プロローグ

池袋の線路沿いにあるラブホテルの
バスルーム風呂上りの幸子がバスタオルを
巻き鏡に自分の顔を映していた

すると突然後ろから
男がいきなり頭を持って
鏡に頭をたたきつけた

すると幸子の額から血が流れ出し
鏡がステンドグラスのように真っ赤に染まっていた

12時昼の過ぎの東武東上線
埼玉県から池袋向かう電車である

登り急行が成増を通り過ぎると
金髪の少女が鏡を膝の上に乗せて化粧を始めた
揺れる電車でアイライン引き
マスカラを塗った時
脇に座っていた男の顔に
暖かい液体がしぶきになって
付いた

男がその方向を見ると
頭部の無い少女の体は
席に座ったまま
頭の無い首から
どくどくと血を流していた

首都高を走る
高速で走るローリング族
赤いロータリーエンジンの車は
次々に前の車を抜いていく
汐留から銀座で前のトラックを抜くと
赤い車の男は
バックミラーを見た
その時
男の視線は目の前から消え
宝町の壁にぶつかって
大破し救急車のサイレンの音が聞こえた
運転席には頭の無い首から
車の天井に血を吹き上げていた

新宿大学病院の病室で
寝ている沢村を目の前にして
礼司と由美が話をしていた
「どうだ?」
「まだ戻りません」
「そうか」
「ところで富田順子はどうして死んだのかしら?」
「まじめな彼女は悪い人間を送っていて
次には病院で死期の近い老人」
「ええ」
「最後は普通の人、国土交通省の警備員と次官と職員を送ってしまった」
「どうして国土交通省の人ばかり狙ったのかしら」
「それはあの近くに無駄なトンネルを作る計画があの社の下を通る事に
なっているらしい」
「そうかそれを阻むように命令されたわけね」
「うん」
「そうね、最後の四人は殺されるような人じゃないわね」
「ああ、それで彼女は良心に苛まれ自殺したんだ」
「自殺?」
「ああ、良く見たら最後の一枚は自分の写真だった」
「そうなんですか」
由美は下を向いた
「でも、もし写鬼の手先が宮田順子じゃなかったら」
「それこそ、デスノート並み死んでいたろうな」
「それに呪鬼はまだ生きているわ」


「うん」
その時、うめき声と共に
沢村が目を覚ました
「ん?大丈夫か?沢村」
「沢村さん」
「あっ、隊長ご心配かけました」
「こっち来たか」
「はい」
「良し、後二人」
礼司は手を小さく握った

「良かったわ」
由美が沢村の顔を覗き込むと
沢村が
「あっ、由美さんただいま」
「お帰り」

礼司は病室の外へ出て浜田に連絡をした
「おい、沢村がこっちへ来たぞ」
「そうですか。夜野さん大変です。連続で謎の死体です」
「どうした?」
「頭が無くなっています」
「頭?」
「はい」
「鬼か」
「たぶんそうです」
「それで警察は?」
「今回は捜査しますけど、犯人は捕まえられないでしょうね」
「あはは、そうだな」
「今から会えますでしょうか?」
「新宿大学病院へ来てくれ、沢村が会ったら喜ぶだろう」
「はいすぐに行きす」


礼司が病室へ戻ると魔美がいた
「お疲れ様」
魔美が礼司に挨拶をした

「やっぱり鬼か?」
礼司が魔美の方を向くと
「うん、今度は強敵よ」
「うん」

「そう言えば沢村さんどこに住むの?」
由美が聞いた
「ええ、山形じゃ不便だしまさか仕事をやめる訳にいかないし」
「そうだ。もう一人の沢村さんがあっちの世界へ戻った時、無職じゃな」
「隊長、沢村で良いですよ」
「由美、今日退院できそうか?」
「ええ、意識が戻れば問題ないそうよ」
「隊長、山形に一度戻って考えて見ます」
「おお、そうだな」

そこに浜田が病室に入ってきた
「おお、沢村」
「久しぶり、浜田」
二人は強く握手をした

「浜田、やはり鬼だそうだ」
礼司が浜田に言うと
「そうですか」
「鬼の名前は鏡鬼」
魔美が言うと
浜田はうなずきながら
「被害者は二人です」
「頭が食われてしまったのね」
由美が気持ち悪そうに答えた
「ええ」
「えっ」
沢村がしかめっ面をした
「それで?」
礼司は魔美に聞くと魔美が答えた。
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