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第四十話 戦線離脱
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島津義弘とレオニダスの軍団が中央から突撃してくる。
今の徳川軍に井伊直政はいない。
本多忠勝も前線で戦っている。
今が抜け出す最高のチャンスだ。
田中吉政、筒井定次では止めることはできない。
しかも、史実とは違い3000人を超える戦国最強の兵団。
徳川軍は中央から抉り取られるように道をこじ開けられた。
横から突かれるかたちになった竹中重門軍は全滅、有馬豊氏軍も止められず崩壊。
家康は一瞬、前線に向かい指揮しようとするが、
しかし、彼は気づく。
ーー島津には戦う気がない。
家康は再び本陣に戻る。
ーー気づいたか。さすがだな。
モシンナガンを構え、家康を狙撃できる位置にいた平兵衛がまた姿を消す。
屈強な島津兵に無抵抗で道を開ける屈辱。
「薩摩に帰らねばな! レオニダスどん、護衛ご苦労であった!」
島津もレオニダスも無傷で戦線から離れていく。
石田三成軍はそれでも崩れない。
黒田長政、池田輝政、浅野幸長、田中吉政などの戦慣れした軍勢が代わる代わる攻撃するが、全てを押し返していた。
「おのれ……思っていたことと違うではないか!?」
田中吉政は苛立ちを隠せない。
「何故、治部を崩せない! 清正か!?」
彼の計算は狂い始めていた。
秀吉亡き後は間違いなく家康が天下人になると思っていた。
その道を作り領地拡大を狙っていたが、全く違う。
だが、三成傘下の杉江勘兵衛を討ち取り、岐阜城も最前線で戦った。
もはや、退くことはできない。
ーー脇坂安治は正しかった。
西軍が東北、九州、四国を征圧した時点で次の戦国時代は見えている。
この戦に勝ち、三成を討ったところで島津を中心とした西軍が家康打倒で固まるだけだ。
家康も直政や忠吉を討たれ、この後も徳川直属の配下の戦死も増えていく。
それに今も留守を上杉最上軍に攻められている。
家康と言えども、数年くらいしか保たないだろう。
吉政は気づいた。
ーーそういうことか!? 内府殿が果てると同時に秀頼が元服するではないか!
全ては反豊臣を炙り出すための戦。
ーー豊臣政権に忠誠を誓うものに大乱を犯した我らの領地を……
しかし、もう遅い。
足元に銃弾の穴が空いていく。
ーー治部の軍はもうそこか?
「殿! お退きください!」
ーーワシの読み違いであったか。
彼は息子の吉次を呼び、告げる。
「ワシはここで散る。そなたはここから逃げよ。そして、すぐに三成たちに降伏せよ。よいな?」
吉次は困惑の表情で答える。
「で、ですが、内府様の命令を無視することは……」
「内府殿にはワシの最後を伝えるが良い」
吉政は少数の部隊を連れて、三成の軍に突撃した。
「父上! かようなこと……」
吉政たちは奮戦するが、程なく戦死。
吉次は吉政が時間を稼いでいるうちに退却する。
一方で徳川秀忠吉川広家軍4万人と立花軍5万人が熾烈な戦さを繰り広げていた。
徳川軍は主力ではあったが、屈強な長宗我部兵たちに苦戦を強いられていた。
盛親の勇敢さに家臣たちは一致団結し、精鋭揃いの徳川軍の攻勢に崩れることなく戦った。
また毛利秀包も裏切った吉川広家を討ち取ろうと、士気は高い。
そして、徳川配下の榊原康政も気づく。
豊臣安定政権のためにNo.2だった家康を潰さねばならない。
そして、将来の敵となる人物を炙り出す。
これで徳川と毛利を潰す理由ができた。
兵を減らさぬようにせねば……
しかし、この戦いから撤退することは許されない。
味方となった大名を見捨てることになる。
そして、康政は死を覚悟して、ある決意する。
康政自身が残り、徳川秀忠、本多正信に2万の兵士を連れて撤退させる。
ーーそうするしかない。
康政は決意と共に秀忠のもとに向かうのであった。
今の徳川軍に井伊直政はいない。
本多忠勝も前線で戦っている。
今が抜け出す最高のチャンスだ。
田中吉政、筒井定次では止めることはできない。
しかも、史実とは違い3000人を超える戦国最強の兵団。
徳川軍は中央から抉り取られるように道をこじ開けられた。
横から突かれるかたちになった竹中重門軍は全滅、有馬豊氏軍も止められず崩壊。
家康は一瞬、前線に向かい指揮しようとするが、
しかし、彼は気づく。
ーー島津には戦う気がない。
家康は再び本陣に戻る。
ーー気づいたか。さすがだな。
モシンナガンを構え、家康を狙撃できる位置にいた平兵衛がまた姿を消す。
屈強な島津兵に無抵抗で道を開ける屈辱。
「薩摩に帰らねばな! レオニダスどん、護衛ご苦労であった!」
島津もレオニダスも無傷で戦線から離れていく。
石田三成軍はそれでも崩れない。
黒田長政、池田輝政、浅野幸長、田中吉政などの戦慣れした軍勢が代わる代わる攻撃するが、全てを押し返していた。
「おのれ……思っていたことと違うではないか!?」
田中吉政は苛立ちを隠せない。
「何故、治部を崩せない! 清正か!?」
彼の計算は狂い始めていた。
秀吉亡き後は間違いなく家康が天下人になると思っていた。
その道を作り領地拡大を狙っていたが、全く違う。
だが、三成傘下の杉江勘兵衛を討ち取り、岐阜城も最前線で戦った。
もはや、退くことはできない。
ーー脇坂安治は正しかった。
西軍が東北、九州、四国を征圧した時点で次の戦国時代は見えている。
この戦に勝ち、三成を討ったところで島津を中心とした西軍が家康打倒で固まるだけだ。
家康も直政や忠吉を討たれ、この後も徳川直属の配下の戦死も増えていく。
それに今も留守を上杉最上軍に攻められている。
家康と言えども、数年くらいしか保たないだろう。
吉政は気づいた。
ーーそういうことか!? 内府殿が果てると同時に秀頼が元服するではないか!
全ては反豊臣を炙り出すための戦。
ーー豊臣政権に忠誠を誓うものに大乱を犯した我らの領地を……
しかし、もう遅い。
足元に銃弾の穴が空いていく。
ーー治部の軍はもうそこか?
「殿! お退きください!」
ーーワシの読み違いであったか。
彼は息子の吉次を呼び、告げる。
「ワシはここで散る。そなたはここから逃げよ。そして、すぐに三成たちに降伏せよ。よいな?」
吉次は困惑の表情で答える。
「で、ですが、内府様の命令を無視することは……」
「内府殿にはワシの最後を伝えるが良い」
吉政は少数の部隊を連れて、三成の軍に突撃した。
「父上! かようなこと……」
吉政たちは奮戦するが、程なく戦死。
吉次は吉政が時間を稼いでいるうちに退却する。
一方で徳川秀忠吉川広家軍4万人と立花軍5万人が熾烈な戦さを繰り広げていた。
徳川軍は主力ではあったが、屈強な長宗我部兵たちに苦戦を強いられていた。
盛親の勇敢さに家臣たちは一致団結し、精鋭揃いの徳川軍の攻勢に崩れることなく戦った。
また毛利秀包も裏切った吉川広家を討ち取ろうと、士気は高い。
そして、徳川配下の榊原康政も気づく。
豊臣安定政権のためにNo.2だった家康を潰さねばならない。
そして、将来の敵となる人物を炙り出す。
これで徳川と毛利を潰す理由ができた。
兵を減らさぬようにせねば……
しかし、この戦いから撤退することは許されない。
味方となった大名を見捨てることになる。
そして、康政は死を覚悟して、ある決意する。
康政自身が残り、徳川秀忠、本多正信に2万の兵士を連れて撤退させる。
ーーそうするしかない。
康政は決意と共に秀忠のもとに向かうのであった。
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