【完結】雇われ勇者の薬草農園 ~チートスキルで薬草栽培始めます~ 【累計13万PT & 123大賞4一次通過】

近衛 愛

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第6章 精霊樹の苗木 準備編

【雇用№72】薬儒の森 中層2 リュウとチルと8匹の猪の壮絶バトル

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「チル、ティタニア。もう遅いけど静かにして!!魔猪が8匹ほどこちらに向かってやってくる」

「えっ、そんなに?ごめんリュウ兄ちゃん。私ちょっと浮かれてて気を抜き過ぎてたよ。」

「リュウ。私もごめんなさいね。お腹空いてて思わず我を忘れちゃったわ。」

「二人とも過ぎたことはもういいよ。次はやならいように気を付けようね。問題はこいつらをどうするかってことだな。出来れば、無益な殺生はしたくないんだ。」

「このまま上空を飛んでいけば、大丈夫じゃないの、だって猪だから体当たりしか出来ないんでしょ。なら、絶対にあたらないよ。」

「ティタニアはどう思う?」

「そうね。単体だとその考えで問題はないのだけど、今回は複数、しかも8匹の群れでしょ。警戒はした方がいいわね。何をしてくるかわからないわ。

それにこのこたちは自分のためではなく、幼い家族や愛する家族のためにここに来るんだから。どうするか本当にわからないわよ。」



「だな、僕もその点に賛成だ。いざとなったらやむを得ず、倒してしまうが、なるべくは避けたいからな。下り坂のスロープでも作ってみるか。『アースコントロール』」


僕らを目がけて扇状に押し寄せてくる。魔猪に対し、魔法で線状の穴を掘った。穴はこちらに近づけば近づくほど、深くなるようにしてある。本来一匹ならこれで完全に回避できる。

と思ったがやっこさん。やっぱり普通ではなかった。

違和感を感じだようで

「ぷぎゅ、ぷぎゅ。ぷぎゅ~~~~」

っと比較的大きな魔猪が大きく鳴いた。
魔猪は2人1チームの4チーム編成に別れた。


そして、

なんと、

驚くべきことに


合体した!!!!

「えっ、あんなのあり!?ちょっとリュウ兄ちゃん。あれはまずいよ。大きな猪の上に小さな猪が載っているよ。」

そう、傾斜を作ってしましったのが、逆にまずかったみたいだ。そして、2体目の目線の先には、僕たちのリヤカーが浮いている。あの状態で助走をつけた状態で突撃されると、こっちは撃墜されかねない。

「チル。こうなったら、なるべく殺さないように迎撃だ。魔法をドンドン打ってくれ。僕は足止めようの魔法を使っていく。」

そう指示をだした。この1週間でチルは僕の作った魔法をいくつか取得した。セバリンさんとの近接戦闘でも、殺傷力をかなり抑えて、近接になっても魔法で戦えるように訓練もした。もう、魔族襲撃で守られていただけの女の子ではない。

「任せてリュウ兄ちゃん。『穢れなき水よ。命の元たる土よ。女神フェリシアの名の元に、我が前に立ちはだかるものを束縛せん。ウォーター・アースネット』」

水と土によって、構成された粘土の高い、蜘蛛の巣のようなものが、2チームの前に突如現れた。
突然現れたため、回避することもできずに2チームはそれにぶつかって、糸に絡まれて身動きが取れなくなってしまう。

「リュウ兄ちゃん4匹いっちょ上がりだよ。」

僕はその間に次の一手を準備していた。突進系の相手に対しては、一番効果のあるとっておきの魔法。
『アースウォール』『アースウォール』

残りの2チームの前に、1m×1m×1mの土ブロックを、ドンドンっと出現させた。
これで、突進しても壁に激突し、脳震盪(のうしんとう)で倒れてくれるはずです。

と思っていたけど、考えがあまかった。相手は、2匹上下にならんでいたんだ。

下の一匹が回避できず、土ブロックに激突した『ドンっ』「ぷぎゅ~~~~~」
これで下の1匹は仕留めた、。のこり上の1匹も足場がなければ落ちると思っていたのだが。

なんと、下の猪を犠牲にして、激突した衝撃を利用し、ジャンプし、さらに、土ブロックの上をそのまま助走して、突撃してきやがった。

もう、目と鼻の先まで猪が来ている。これはまずいかもと思ったときに。

「ちょっとリュウ。そっちもまずいけど、もう片方はもっとまずいわよ」

とティタニアが叫んだ。

もう片方の猪はというと、一番大きな群れの魔猪の方である。土ブロックを置いたにも関わらず激突し、『ビシッ、バリン』という音とともに土ブロックを粉砕し、その勢いのままこちらに向かってきているので合った。

上の猪は激突した衝撃で発射されたが、リヤカーとは違う方向に飛んで行って木にドスンと激突し、気絶している。

「いや、正直前ので手一杯で余裕ないよ。」

その時チルが詠唱していた呪文を放った。

『穢れなき水よ。命の元たる土よ。女神フェリシアの名の元に、我が前に立ちはだかるものを束縛せん。ウォーター・アースネット』

木と木の間に放ったことによって、さっきとは違う効果を生み出した。本当に蜘蛛の巣のように張り出された糸は、激突した猪を受け止め、粘着し、その衝撃は両方の木に分散して、その動きを止めたのだ。

蜘蛛の巣にかかった虫のように、魔猪が中に浮かんで身動きが取れず、手足をバタバタしている。

時間に余裕があれば、可愛いしぐさだったのだろうが、いかんせん、最後の親玉が1匹残っている。

「助かったよ。チル。最後はあの大きな一匹だけ、なら、『浮遊』」

さらにリヤカーに『浮遊』を重ね掛けし、高度をもう少しあげた。これで、いくら大きくとも攻撃はあたらないと、ほっと息をついた。


ボスの魔猪はリヤカーの下まで来ると、急停車し、

「ぷぎゅ、ぷぎゅ。ぷぎゅ」と抗議の声を上げている。

ここは人間なら、
『正々堂々と地上に降りて戦え』
と言ったところだろうか。

「ごめんね。魔猪君。だれも殺してないから、安心してよ。きみも群れを守るために戦ったんだろうけど、僕は群れを襲う気はないから安心してよ」

と語り掛けた。ま~意味が通じるとはまったく思ってないが。

「ぷぎゅ~~~~、ぷぎゅ。ぷぎゅ」

っとなぜか返事をしてきた。

「リュウ。魔猪が、
『わかった。群れを攻撃する意図がないなら、攻撃はしない。殺さないでいてくれて感謝する』
だって」


「えっ、ティタニアさん。魔猪の言葉がわかるの?」

「そりゃ~~精霊だもの、狂っている動物でなければ、話は出来るわよ。魔猪の中にも言葉を理解するものもいるからね」

「ええ~~~~っ、それじゃ今回って戦わなくてもよかったんじゃないの?」

チルもビックリして驚きの声を上げている。

「それは無理よ。怒り狂っている相手に向かって、いくら正論をかざしても何の意味もないでしょ。現状が理解できて、冷静になって、初めて話し合いが出来るのよ。」

「「そっそんな~」」

二人して、ティタニアの言葉に気が抜けたのであった。
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