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第6章 精霊樹の苗木 準備編
【雇用№84】薬儒の森 大きな穴と熊の死骸4
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僕はボス熊の心臓にダガーを突き立ててみる。うん、少し傷はついたけど、ほんのちょっぴりね。刃がささらない。ダガーではかなり厳しかった。
チルにダガーを返して、僕は立ち上がって長刀を大きく振りかぶった。みんなには、離れるように伝えてある。血しぶきが飛ぶかも知れないからね。
そして、胸は肋骨があり切断するのは厳しいので、首を狙って振り下ろした。ズブッと刃が首にささる。とはいえ、切断には到底至らない。でも動脈を切断したのか、血が溢れだしている。
『ミネラルウォータ』と『浮遊』の魔法を使って、ボス熊の血抜きをし、血で汚れた所を洗い流していく。あとはほっとけば大丈夫だな。
「リュウ。いよいよ精霊樹を植えるわよ。」
「ティタニア、結界を張るのは後でいいのか?」
「ええ、少しでも、精霊樹の力があった方がいいからね。」
そう言って、ティタニアは空間から精霊樹の苗を取り出した。大きさ的にはティタニアよりでかいのだが、そのまま宙に浮いているし、うん、不思議だね。精霊術とはまた別の理で動いているのだろうか?
ティタニアは取り出した精霊樹を持って、穴の中心の所に行った。僕もその後を追って、近くまでいく。
「リュウ、ここに植えるわ。少し穴を空けて。このこの根っこが入るくらいの大きさね」
そう指示されて、スコップで穴を掘っていいく。魔法だとガンっつ穴があくので、こっちの方が早いのだ。魔法で作ってあるから土はふかふかだし掘りやすかった。
「穴はこれくらいでいい?」
「ええいいわよ。」
ティタニアはそっと、精霊樹の苗をそこに植えた。その後はまた僕が、取り除いた土をせっせと上から被せていく。被せ終わったら、『ミネラルウォータ』で、精霊樹に水を上げる。
「ティタニアこんなものでいいか?後は、腐葉土と灰を持ってきているけど、それもあった方がいいか?」
「多分なくても大丈夫だと思うけど、一応上げてみましょう。」
僕は腐葉土と灰を混ぜて、水で濡らし、それらを精霊樹の周りの土と一緒に埋め込んだ。うん、手が泥だらけになったよ。『ミネラルウォータ』で、泥を洗い流した。
「これで大丈夫だな。」
「ええ、後は結界を張るだけね。」
「でも、使えないんだよな。」
「そうよ。だから、まずは私の体調不良の完治が先ね。精霊術は前にも話したけど龍脈の気を用いて行うのよ。でも、人間ではそれを扱えないから難しいんだけど。。。ま~~出来る出来ないはやってみないとわからないわね。私の後に続いて詠唱して頂戴。」
僕は念のために、ユーザーインターフェースで『記録』ボタンを押した。
「森に佇(たたず)む精霊たちよ。精霊ティタニアの元に力をかして。素は命の力なり、かのものを癒す力となれ、回復(ヒール)」
「森に佇(たたず)む精霊たちよ。精霊ティタニアの元に力をかして。素は命の力なり、かのものを癒す力となれ、回復(ヒール)」
『終了』ボタンを押す。
ティタニアの精霊術は発動しなかった。そして、僕も発動しなかった。
「えっ、おかしいわ。今術は発動しなかったのに、気が一瞬ながれたわ。どういうこと。しかもリュウの後ろから。」
ティタニアは僕の後ろに飛んでまわった。
「おかしいわね。確かにこのあたりから気が感じられたんだけど、リュウもう一回さっきの呪文を唱えてみて。」
「森に佇(たたず)む精霊たちよ。精霊ティタニアの元に力をかして。素は命の力なり、かのものを癒す力となれ、回復(ヒール)」
うん、不発というか回復対象が今、僕の後ろにいるので、出来るわけがない、今回は精霊樹を対象にしている。
「やっぱりだわ。少しだけ、この精霊樹の長刀から龍脈の気が感じられたわ。術を発動するには気の量が不足しているのかしら?リュウ長刀を両手でもって、もう一度お願いね。」
僕は後ろにかけてある長刀を取り外し、両手で持って、詠唱した。これは指定対象はどうすればいいのだ?
「森に佇(たたず)む精霊たちよ。精霊ティタニアの元に力をかして。素は命の力なり、かのものを癒す力となれ、回復(ヒール)」
今回は発動したようだ。精霊樹の長刀の先端がほのかに慈愛の薄い赤色の光で覆われている。そこにティタニアが体を持って行き無理やり対象にしたようだ。
長刀の先端から、ティタニアに光が移り、その光がティタニア全体を優しく包み込んだ。
「うん、ティタニアちゃん。ふっか~~~~~つ」
元気一杯に両手を挙げてはしゃぎ回っている。心なしかいつもよりスピードが早く感じる。
「成功したみたいでよかった。でも、どうして、出来たんだろう?」
「これは私も初めてだから、確信はないけど、詠唱した時にリュウから長刀に魔力が流れていたわ。そして、その魔力が精霊樹で龍脈の気に少し還元されていたみたいなの。
精霊樹を直接持って、使ったことにより、魔力から気への変換の量が多くなって、術を最低限発動する量になったんだと思うわよ。ま~~難しいお話は後よ。結界を張るわ。」
ティタニアが僕達を精霊樹の近くから遠ざけて、大きな魔法陣を描いていく。そしてなにやら聞き取れないほどの小声で詠唱し、結界を張った。
透明な薄い膜のようなシールドが精霊樹を中心に展開され魔法陣の縁まで拡大された。
チルにダガーを返して、僕は立ち上がって長刀を大きく振りかぶった。みんなには、離れるように伝えてある。血しぶきが飛ぶかも知れないからね。
そして、胸は肋骨があり切断するのは厳しいので、首を狙って振り下ろした。ズブッと刃が首にささる。とはいえ、切断には到底至らない。でも動脈を切断したのか、血が溢れだしている。
『ミネラルウォータ』と『浮遊』の魔法を使って、ボス熊の血抜きをし、血で汚れた所を洗い流していく。あとはほっとけば大丈夫だな。
「リュウ。いよいよ精霊樹を植えるわよ。」
「ティタニア、結界を張るのは後でいいのか?」
「ええ、少しでも、精霊樹の力があった方がいいからね。」
そう言って、ティタニアは空間から精霊樹の苗を取り出した。大きさ的にはティタニアよりでかいのだが、そのまま宙に浮いているし、うん、不思議だね。精霊術とはまた別の理で動いているのだろうか?
ティタニアは取り出した精霊樹を持って、穴の中心の所に行った。僕もその後を追って、近くまでいく。
「リュウ、ここに植えるわ。少し穴を空けて。このこの根っこが入るくらいの大きさね」
そう指示されて、スコップで穴を掘っていいく。魔法だとガンっつ穴があくので、こっちの方が早いのだ。魔法で作ってあるから土はふかふかだし掘りやすかった。
「穴はこれくらいでいい?」
「ええいいわよ。」
ティタニアはそっと、精霊樹の苗をそこに植えた。その後はまた僕が、取り除いた土をせっせと上から被せていく。被せ終わったら、『ミネラルウォータ』で、精霊樹に水を上げる。
「ティタニアこんなものでいいか?後は、腐葉土と灰を持ってきているけど、それもあった方がいいか?」
「多分なくても大丈夫だと思うけど、一応上げてみましょう。」
僕は腐葉土と灰を混ぜて、水で濡らし、それらを精霊樹の周りの土と一緒に埋め込んだ。うん、手が泥だらけになったよ。『ミネラルウォータ』で、泥を洗い流した。
「これで大丈夫だな。」
「ええ、後は結界を張るだけね。」
「でも、使えないんだよな。」
「そうよ。だから、まずは私の体調不良の完治が先ね。精霊術は前にも話したけど龍脈の気を用いて行うのよ。でも、人間ではそれを扱えないから難しいんだけど。。。ま~~出来る出来ないはやってみないとわからないわね。私の後に続いて詠唱して頂戴。」
僕は念のために、ユーザーインターフェースで『記録』ボタンを押した。
「森に佇(たたず)む精霊たちよ。精霊ティタニアの元に力をかして。素は命の力なり、かのものを癒す力となれ、回復(ヒール)」
「森に佇(たたず)む精霊たちよ。精霊ティタニアの元に力をかして。素は命の力なり、かのものを癒す力となれ、回復(ヒール)」
『終了』ボタンを押す。
ティタニアの精霊術は発動しなかった。そして、僕も発動しなかった。
「えっ、おかしいわ。今術は発動しなかったのに、気が一瞬ながれたわ。どういうこと。しかもリュウの後ろから。」
ティタニアは僕の後ろに飛んでまわった。
「おかしいわね。確かにこのあたりから気が感じられたんだけど、リュウもう一回さっきの呪文を唱えてみて。」
「森に佇(たたず)む精霊たちよ。精霊ティタニアの元に力をかして。素は命の力なり、かのものを癒す力となれ、回復(ヒール)」
うん、不発というか回復対象が今、僕の後ろにいるので、出来るわけがない、今回は精霊樹を対象にしている。
「やっぱりだわ。少しだけ、この精霊樹の長刀から龍脈の気が感じられたわ。術を発動するには気の量が不足しているのかしら?リュウ長刀を両手でもって、もう一度お願いね。」
僕は後ろにかけてある長刀を取り外し、両手で持って、詠唱した。これは指定対象はどうすればいいのだ?
「森に佇(たたず)む精霊たちよ。精霊ティタニアの元に力をかして。素は命の力なり、かのものを癒す力となれ、回復(ヒール)」
今回は発動したようだ。精霊樹の長刀の先端がほのかに慈愛の薄い赤色の光で覆われている。そこにティタニアが体を持って行き無理やり対象にしたようだ。
長刀の先端から、ティタニアに光が移り、その光がティタニア全体を優しく包み込んだ。
「うん、ティタニアちゃん。ふっか~~~~~つ」
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