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第8章 変わってしまう日常編
【雇用№139】魔霊樹討伐 準備編1
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「それはね。相手がピンチの時ほど、私たちにとってピンチはチャンスに変わるのよ。困っている人を助けてあげたら、その人は恩を感じてくれるでしょう?」
「ええ、確かに。給料前に金欠で、食べ物がろくに食べられない時に、食事を恵んでくれる友人は神様に見えました。」
「その人が困ってたら、リュウさんはどうするのかしら?」
「勿論助けますよ。彼に感じた恩は沢山ありますし、その恩を返すチャンスなんですから。それに次も食事を施してもらいたいと言う下心もありますが……。」
「そう言うことなのよ。困っている人を助けると、その人が私が困っている時に助けてくれるのよ。今回は商売での困り事だから、それなりに報酬は頂きますがね。ふふっ」
「あれだけ報酬頂いたのに、恩を感じてくれるものなんですか?」
「ええ、勿論よ。無茶なお願いはしていないもの。彼女の出来る範囲での最大限の交渉をしただけだわ。私達が断るとあの人はもう縋る所がないでしょう?うん、と言ってもらえるまではどんな内容でも通っと思うわ。ただ、あまり無茶な要求をすると恨みを買うからそこはそこで注意が必要よね。」
これはあれか。速達や特急列車なんかと同じ理屈なんだろうか?通常よりも無茶な納期でお願いしてくるから、少し割り増し料金を頂くという。これもある程度金額の上限がある訳だ。
日帰りで予定時間までに何としても着きたかったら、鈍行電車ではなく、特急列車。それよりも早く着きたいなら新幹線に乗る。さらに早く着きたかったら、タクシーも併用して高速道路も走ってもらう。
僕はそこまで急ぎの予定は入れたことはないので、特急電車がせいぜいである。そこまで金額を支払ってでもするのか?しないのかは、案件にもよるだろう。
今回の落とし所を見事にウェルザさんが見極めたということだ。特急電車で良い人に新幹線を勧めても乗らないし、鈍行だとそもそも間に合わないから意味がない。特急電車を提示しないと、交渉が成立しないのだ。
どれだけ客のニーズに応えら料金で設定出来ているかということだろう。中々僕には難しいお話だ。ポーションの料金でさえ、1本1万は高いと思うので、手軽に3000で良いとさえ思ってしまう。そうなると途端に作る人がいなくなり、ポーションがまた値上がりして、今の価格に落ち着くのだろう。
市場経済の需要と供給の関係は難しいですね。僕にはまだまだ縁遠い話ですわ。経営者としてどうかと思うけど。一つだけ確かなことは、ウェルザさんが経営者としてとても適任であると言うことだけだね。
「僕に手伝えることがあれはなんでも指示して下さいね。」
「いえいえ、お気持ちだけで大丈夫ですわ。リュウさんは、勇者として、大魔道士様として、出来ることをして下さいね。チルさんは少しお借りしますので、予定を入れる時は予め私に言って下さい。私の方で出来ることがあれば、なんなりとお申し付け下さい。」
「ええ、分かりました。その際はお話しますね。」
気を遣って手伝うといったつもりが逆に返されてしまった。僕として、僕が作ったファームで一人だけのんびりするよりかは、他の人と一緒に作業してた方が気が楽だし、それにこれから忙しくなる人にお願いなんてし辛いですよ。
チルも予定に組み込まれてしまっているから、そうやすやすとは、明日魔霊樹伐採すると言って、連れて行く訳にはいかないな。向こうにも都合があるし。
僕は僕で今後の段取りを大筋決めてしまおう。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
そういえば、魔霊樹を伐採しに行くにしても場所も方角も分からないな。ティタニアを頼りにしてたから、そこら辺がさっぱり抜けている。どうする?魔素を感知して分かるんなら、ノエルが多分出来ると思うけど、いなかったら詰んでたぞ。多分魔霊樹の所在地なんて、この街の人は誰もきっと知らないし、もしかしたら存在自体知らない人の方が多いんじゃないだろうか?
「ノエル魔霊樹討伐についてなんだが、どこにあるか場所って分かるか?」
「魔霊樹ですか?でしたら、魔素の多い所ですから、正確な位置は分かりませんが方角ならわかりますよ。この街を起点にして、5方向ですね。」
「よくやったノエル。魔霊樹討伐行くにしても場所を覚えてないから、しらみつぶしで歩くところだったよ。いやはや、時間がない時にそんなことはしたくないから、助かったよ。」
「いえいえ、パパのお役に立てるなら喜んでしますので、なんでも言って下さいね。」
「とはいえ方角が分かってもどれくらいかかるのかがさっぱり分からないな。1日で行けるのか、1週間かかるのか。道があるのかないのか分からないことばかりだな。」
「パパ、私もそれは分かりません。でも、ここからの距離は5つとも大体同じくらいの距離ですよ。」
「なら1個行ってしまえば、大体の感覚は掴めそうだな。必要なものは対魔霊樹用の装備精霊樹の斧にウェルザさん達に作ってもらった精霊樹の加護が入った特殊なスーツ、あとは旅に必要なもの一式か。」
「ええ、確かに。給料前に金欠で、食べ物がろくに食べられない時に、食事を恵んでくれる友人は神様に見えました。」
「その人が困ってたら、リュウさんはどうするのかしら?」
「勿論助けますよ。彼に感じた恩は沢山ありますし、その恩を返すチャンスなんですから。それに次も食事を施してもらいたいと言う下心もありますが……。」
「そう言うことなのよ。困っている人を助けると、その人が私が困っている時に助けてくれるのよ。今回は商売での困り事だから、それなりに報酬は頂きますがね。ふふっ」
「あれだけ報酬頂いたのに、恩を感じてくれるものなんですか?」
「ええ、勿論よ。無茶なお願いはしていないもの。彼女の出来る範囲での最大限の交渉をしただけだわ。私達が断るとあの人はもう縋る所がないでしょう?うん、と言ってもらえるまではどんな内容でも通っと思うわ。ただ、あまり無茶な要求をすると恨みを買うからそこはそこで注意が必要よね。」
これはあれか。速達や特急列車なんかと同じ理屈なんだろうか?通常よりも無茶な納期でお願いしてくるから、少し割り増し料金を頂くという。これもある程度金額の上限がある訳だ。
日帰りで予定時間までに何としても着きたかったら、鈍行電車ではなく、特急列車。それよりも早く着きたいなら新幹線に乗る。さらに早く着きたかったら、タクシーも併用して高速道路も走ってもらう。
僕はそこまで急ぎの予定は入れたことはないので、特急電車がせいぜいである。そこまで金額を支払ってでもするのか?しないのかは、案件にもよるだろう。
今回の落とし所を見事にウェルザさんが見極めたということだ。特急電車で良い人に新幹線を勧めても乗らないし、鈍行だとそもそも間に合わないから意味がない。特急電車を提示しないと、交渉が成立しないのだ。
どれだけ客のニーズに応えら料金で設定出来ているかということだろう。中々僕には難しいお話だ。ポーションの料金でさえ、1本1万は高いと思うので、手軽に3000で良いとさえ思ってしまう。そうなると途端に作る人がいなくなり、ポーションがまた値上がりして、今の価格に落ち着くのだろう。
市場経済の需要と供給の関係は難しいですね。僕にはまだまだ縁遠い話ですわ。経営者としてどうかと思うけど。一つだけ確かなことは、ウェルザさんが経営者としてとても適任であると言うことだけだね。
「僕に手伝えることがあれはなんでも指示して下さいね。」
「いえいえ、お気持ちだけで大丈夫ですわ。リュウさんは、勇者として、大魔道士様として、出来ることをして下さいね。チルさんは少しお借りしますので、予定を入れる時は予め私に言って下さい。私の方で出来ることがあれば、なんなりとお申し付け下さい。」
「ええ、分かりました。その際はお話しますね。」
気を遣って手伝うといったつもりが逆に返されてしまった。僕として、僕が作ったファームで一人だけのんびりするよりかは、他の人と一緒に作業してた方が気が楽だし、それにこれから忙しくなる人にお願いなんてし辛いですよ。
チルも予定に組み込まれてしまっているから、そうやすやすとは、明日魔霊樹伐採すると言って、連れて行く訳にはいかないな。向こうにも都合があるし。
僕は僕で今後の段取りを大筋決めてしまおう。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
そういえば、魔霊樹を伐採しに行くにしても場所も方角も分からないな。ティタニアを頼りにしてたから、そこら辺がさっぱり抜けている。どうする?魔素を感知して分かるんなら、ノエルが多分出来ると思うけど、いなかったら詰んでたぞ。多分魔霊樹の所在地なんて、この街の人は誰もきっと知らないし、もしかしたら存在自体知らない人の方が多いんじゃないだろうか?
「ノエル魔霊樹討伐についてなんだが、どこにあるか場所って分かるか?」
「魔霊樹ですか?でしたら、魔素の多い所ですから、正確な位置は分かりませんが方角ならわかりますよ。この街を起点にして、5方向ですね。」
「よくやったノエル。魔霊樹討伐行くにしても場所を覚えてないから、しらみつぶしで歩くところだったよ。いやはや、時間がない時にそんなことはしたくないから、助かったよ。」
「いえいえ、パパのお役に立てるなら喜んでしますので、なんでも言って下さいね。」
「とはいえ方角が分かってもどれくらいかかるのかがさっぱり分からないな。1日で行けるのか、1週間かかるのか。道があるのかないのか分からないことばかりだな。」
「パパ、私もそれは分かりません。でも、ここからの距離は5つとも大体同じくらいの距離ですよ。」
「なら1個行ってしまえば、大体の感覚は掴めそうだな。必要なものは対魔霊樹用の装備精霊樹の斧にウェルザさん達に作ってもらった精霊樹の加護が入った特殊なスーツ、あとは旅に必要なもの一式か。」
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