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第8章 変わってしまう日常編
【雇用№150】空魔石のアクセサリー化2
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それから数時間後、
「リュウ殿、試作品が出来上がりましたぞ。」
そう言って入ってきたのは、ウェルザさんではなく、セバリンさんだった。慌てることもなく、ノックをして一礼からの入室。新入社員のお手本になる様な美しさだ。
「ウェルザさんがまだ報告に来てからそれ程時間は経ってませんよ。さすがセバリンさん、と言った所でしょうか」
「リュウ殿お褒めにお預かり光栄です。こちらの魔法増幅のアクセサリーは迷うごとなき、実用品で、ございますからね。よく使われる人物にモニターしてもらい、実際の声を聞かせてもらうのが良いかと思い試作品も持ってきた次第です。」
確かに実際のターゲットに合わせて試行錯誤した一品は、使い勝手が1段も2段も遥かに超えるって聞く。おんぶ紐もたかが紐なんだけど、そこには幾重ものトライ&エラーの結晶が凝縮されている。そこには、本人の設計者も含めて、何人もの体験者の声が集まり、使い勝手をよくしよう、他のママさんたちが楽になる様に工夫を重ねようという思いが幾重にも重なっているらしい。
設計者側や製造側になってしまうと、工数や費用、公表時期などが関連して中々使用者目線というのは無くなってしまうんだと。
それが実際に使うママさんといえども、設計者側になると目線がそうなるし、中々他の技術者が頑張ってやっているのを見ている手前、完成したものに対し、やっぱりこれじゃー使えないからやり直しとは、言えないんじゃないかと思う。
設計者側になるとどうしても既存の知識や何かで機能が縛られてしまうし、前例に習うがよしという風習もある。だって、前例があるってことはそこでトライ&エラーが物凄い時間をかけて一度終わっている訳だからね。
実際に製品化した際の欠陥も少ないことになるんですよ。だけど消費者にとって最高の一品を作るためには、消費者目線での、使い勝手の良さや悪さが必要になってくる。マンネリ化している機能のバージョンチェンジや名称の変更なんて、既存のユーザーを蔑ろにする制作ではとも思う。
セバリンさんがこれをこれから実用化していく上で一番の消費者は僕になるのかな?イメージとしては、生活用で使うのではなく、あくまで、緊急時の戦闘補助と言った用途をかんがえている。
空魔石を使っているとはいえ、実際に販売すれば、庶民は買えないだろうし、貴族向けに販売しているアクセサリーよりも高価なものになってしまう筈だ。
うちのファーム専用の装備になってしまうかもしれないな。国にあげると碌なことにならんしね。強くなったばかりに、他の国へ侵略を仕掛けるなんてことは、歴史上ザラだからね。
「これが試作品ですか。」
出されたのは、ベルトに袋がつけられているものものと、ベストに袋が11箇所つけられているものだ。袋の中には魔石が入っているのか大きく膨らんでいる。
「ええ、まずはリュウ殿が、言われた通り、ベルトタイプのものを用意しました。当初は5.箇所に袋をつけて、増幅のみ、魔素チャージのみと用途毎に分ける予定でしたが、位置の付け替えだけで、魔法陣を5芒星と6芒星に切り替えられる様にしてみました。」
袋を触って見ると、先端にフックがついており、それをベルトの金具に引っ掛けることで、切り替え出来る様にしてある様だ。
「どんな風になるのか。少し付けてみてもいいですか?」
「ええ、勿論ですとも、その為に試作品を持ってきておりますから。違和感を感じたり、もっといい方法がありましたら。遠慮なく言って下さい。」
僕はベルト単品を手に取ってみる。
持って見ると意外に重い。ベルト一式で、ペットボトルの2ℓと同等くらいか。どこぞの漫画みたいに修行したい訳ではないんだけどなー。当たれば、死亡するという、紙装甲での戦闘でこの重さは少し頂けない。既に鎖帷子や精霊樹の薙刀で重量オーバーなのだ。
その上これでは、動きがまた鈍ってしまう。色々と考えながらも、ベルトを付けていく、今は戦闘する訳でもないからこれ以外の重量装備はつけてないので、テストする分には問題ないだろう。
付けて見ると腰の位置に重みがずしっとくる。各々の魔石の入っている場所がそこだけ重みを主張してくる。そう言えばどのくらいの大きさの魔石が入っているのだろう。
「セバリンさん袋の中を開けて、中を見てみても」
「ええ、構いませんとも。リュウ殿に秘密にすることも、危ないこともございません。」
よかった。試作品は、安全性が担保されていないケースがあるから下手にすると危ないんだよね。電気製品なんか特にコンデンサ周りが電圧がチャージされてて地味に危ない。ちょっと金属が触れて、バチット放電したことがあるのは良き思い出だ。
袋の中を見て見ると、フックの場所からエナメル線の様な金属の線が出ていて、それが袋の周りに小さな網を作っていて、その中に魔石が入っている。魔石の大きさは大人の掌サイズくらいのものだ。一個だけならそれほどの重みは感じないが、これが6個あるとそれなりの重量になる様だ。
「リュウ殿、試作品が出来上がりましたぞ。」
そう言って入ってきたのは、ウェルザさんではなく、セバリンさんだった。慌てることもなく、ノックをして一礼からの入室。新入社員のお手本になる様な美しさだ。
「ウェルザさんがまだ報告に来てからそれ程時間は経ってませんよ。さすがセバリンさん、と言った所でしょうか」
「リュウ殿お褒めにお預かり光栄です。こちらの魔法増幅のアクセサリーは迷うごとなき、実用品で、ございますからね。よく使われる人物にモニターしてもらい、実際の声を聞かせてもらうのが良いかと思い試作品も持ってきた次第です。」
確かに実際のターゲットに合わせて試行錯誤した一品は、使い勝手が1段も2段も遥かに超えるって聞く。おんぶ紐もたかが紐なんだけど、そこには幾重ものトライ&エラーの結晶が凝縮されている。そこには、本人の設計者も含めて、何人もの体験者の声が集まり、使い勝手をよくしよう、他のママさんたちが楽になる様に工夫を重ねようという思いが幾重にも重なっているらしい。
設計者側や製造側になってしまうと、工数や費用、公表時期などが関連して中々使用者目線というのは無くなってしまうんだと。
それが実際に使うママさんといえども、設計者側になると目線がそうなるし、中々他の技術者が頑張ってやっているのを見ている手前、完成したものに対し、やっぱりこれじゃー使えないからやり直しとは、言えないんじゃないかと思う。
設計者側になるとどうしても既存の知識や何かで機能が縛られてしまうし、前例に習うがよしという風習もある。だって、前例があるってことはそこでトライ&エラーが物凄い時間をかけて一度終わっている訳だからね。
実際に製品化した際の欠陥も少ないことになるんですよ。だけど消費者にとって最高の一品を作るためには、消費者目線での、使い勝手の良さや悪さが必要になってくる。マンネリ化している機能のバージョンチェンジや名称の変更なんて、既存のユーザーを蔑ろにする制作ではとも思う。
セバリンさんがこれをこれから実用化していく上で一番の消費者は僕になるのかな?イメージとしては、生活用で使うのではなく、あくまで、緊急時の戦闘補助と言った用途をかんがえている。
空魔石を使っているとはいえ、実際に販売すれば、庶民は買えないだろうし、貴族向けに販売しているアクセサリーよりも高価なものになってしまう筈だ。
うちのファーム専用の装備になってしまうかもしれないな。国にあげると碌なことにならんしね。強くなったばかりに、他の国へ侵略を仕掛けるなんてことは、歴史上ザラだからね。
「これが試作品ですか。」
出されたのは、ベルトに袋がつけられているものものと、ベストに袋が11箇所つけられているものだ。袋の中には魔石が入っているのか大きく膨らんでいる。
「ええ、まずはリュウ殿が、言われた通り、ベルトタイプのものを用意しました。当初は5.箇所に袋をつけて、増幅のみ、魔素チャージのみと用途毎に分ける予定でしたが、位置の付け替えだけで、魔法陣を5芒星と6芒星に切り替えられる様にしてみました。」
袋を触って見ると、先端にフックがついており、それをベルトの金具に引っ掛けることで、切り替え出来る様にしてある様だ。
「どんな風になるのか。少し付けてみてもいいですか?」
「ええ、勿論ですとも、その為に試作品を持ってきておりますから。違和感を感じたり、もっといい方法がありましたら。遠慮なく言って下さい。」
僕はベルト単品を手に取ってみる。
持って見ると意外に重い。ベルト一式で、ペットボトルの2ℓと同等くらいか。どこぞの漫画みたいに修行したい訳ではないんだけどなー。当たれば、死亡するという、紙装甲での戦闘でこの重さは少し頂けない。既に鎖帷子や精霊樹の薙刀で重量オーバーなのだ。
その上これでは、動きがまた鈍ってしまう。色々と考えながらも、ベルトを付けていく、今は戦闘する訳でもないからこれ以外の重量装備はつけてないので、テストする分には問題ないだろう。
付けて見ると腰の位置に重みがずしっとくる。各々の魔石の入っている場所がそこだけ重みを主張してくる。そう言えばどのくらいの大きさの魔石が入っているのだろう。
「セバリンさん袋の中を開けて、中を見てみても」
「ええ、構いませんとも。リュウ殿に秘密にすることも、危ないこともございません。」
よかった。試作品は、安全性が担保されていないケースがあるから下手にすると危ないんだよね。電気製品なんか特にコンデンサ周りが電圧がチャージされてて地味に危ない。ちょっと金属が触れて、バチット放電したことがあるのは良き思い出だ。
袋の中を見て見ると、フックの場所からエナメル線の様な金属の線が出ていて、それが袋の周りに小さな網を作っていて、その中に魔石が入っている。魔石の大きさは大人の掌サイズくらいのものだ。一個だけならそれほどの重みは感じないが、これが6個あるとそれなりの重量になる様だ。
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