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第8章 変わってしまう日常編
【雇用№184】女神との邂逅6
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「そう言われると、リュウ君どうしよう。私は両親や友達が待っている日本に帰りたいわ。でも、同じくらいに幻想世界にも留まりたいと思ってるの。生きている期間では、私は完全に幻想世界の方が長いから。私が仮に居なくなってもえ様にお願いはしてあるから、問題はないけど。」
「そこはね。僕も1年足らずではあるけど、お世話になった人は沢山いるし、もう会えないかと言われると……。うーん。」
僕は、ない頭を絞って考えてみた。
「もう一人私が居てくれたらね。どちらの世界にもいることが出来るのに。」
「それだよ愛ちゃん。僕たちがそれぞれ二人になって、それぞれの世界に戻れば、解決する。」
「でも、そんなこと可能なのかしら?いくら神様と言っても……。」
「お願いしてみないと分かんないよ。出来る出来ないの判断は聞けば分かるし。これで仮に全部報酬がなくなることになってもいいよね?」
「ええ、大丈夫よ。私が望むことは、両親の元へ帰ること。」
「僕も同じ。よし。」
いい感じにお酒を酌み交わしているゼファーちゃんに声をかける。
「ゼファーちゃん、決まりました。可能であればお願いします。」
「ふふっ、どんな結論が出たのか楽しみね。それで願いは?」
「はい、私達を二人に分けて、それぞれの世界で暮らすことを望みます。」
「ふふっ面白いことを考えたものね。つまり、あなたがたのそっくりさんを作るってことね。」
「概ねその様な感じかと。可能でしょうか?」
「そうね。でも、その願いは二人の報酬だけではとても足りないわ。」
「では、ダメということですね。」
ふむ、また考え直しか。
「まだ結論を出すのは早いわよ。私は、二人の報酬だけでは足りないと言ったのよ。」
「ん?つまり、足りない部分をゼファー様に提供出来ればその願いは叶うということですか?」
「そういうことね。」
「ですが、ゼファー様、私達に報酬で足りない対価を提供するのは出来るのでしょうか?神様達にとって私達は、豆粒程の存在です。」
「まぁまぁリュウ君。そう悲観しないこと。対価を払えば望みを叶えるって私が言ってるのだから、それに見合う対価を今二人が持っているってこと。後は、それを二人が提供するのを承諾するかしないかのは話だわ。」
「それで、その対価というのは?………」
「あなた達のスキル、不老不死や賢者の器、魔力、精霊力。つまり、本来あなた達が持っていなかったものを全部対価として差し出すのよ。本来ならそれでも、ちょびーーーっとだけ、足りないんだけど、それは二人をこの件に巻き込んでしまったお詫びとして私からのサービスにするわ。」
ゼファー様が人差し指と親指でちょびっとだけ隙間を空けて説明してくる。
「つまり、僕たちは、元の世界に戻ったら、向こうを出発した時のままということですね。んっ、この場合は記憶もですか?」
「記憶は、お互いの世界の記憶は忘れることになるわね。あなた方の世界に戻った方は、幻想世界での記憶が。幻想世界に戻る方は、あなた方のいた世界での記憶が無くなるわね。不都合が起きない様にするからそこは安心してね。」
「記憶か、思い出がなくなるのか……うーん。ここでの体験もチルやノエル、ティタニアとの思い出がなくなるのか。それはちょっと寂しいかな。でも、現実世界に戻った時に、こちらの感覚で戻ると、色々と人のルールにそぐわないことも出てくるし。」
「そうよね。人や動物を殺めた経験が元いた世界で正常かと言われると不都合が出てくる気もするわね。」
「よし、私は決めた。それでお願いします。思い出がなくなるのは悲しいけど、それは、こちらに残る私が覚えて大切にしてくれる。」
「私もそうね。それでお願いします。どちらの思い出も残しておきたいけど、欲張ると色んなものをきっと失うと思うわ。」
「二人ともそれで良いな。」
「そうだ。あとすみません。後付けになりますが魔霊樹を討伐しても良いでしょうか?」
主神様がチラッとフェリシアの方をみて、その後にゼファリス様の方に視線を向ける。お酒で真っ赤に頬を染めながら、
「リュウ君、それはまた一体どうしてだい?愛君がせっかく人生を賭して植樹してくれたものなのに?人間も魔法が使えて重宝してるのではないかい?」
「はい、ゼファリスちゃん。魔霊樹があることで、別の地点と僕の召喚された大陸で月に一度転移ゲートで繋がり、魔族、インプやデーモンに私のお世話になった人達が襲撃されているからです。」
「それは本当なのかい?」
魔神様は確認する様に愛ちゃんに顔を向ける。
「ええ、私もつい先日までその様なことが起きていることは知りませんでしたが、転移ゲートで繋がることは事実です。魔族の襲撃有無に関してはリュウさんの報告のみで私は確認出来てません。」
「ふむ、分かったわ。魔族には、こちらから神勅を発令して、転移ゲートを利用しての襲撃をやめさせられれば、魔霊樹の討伐はしなくていいわよね。」
「いえ、後もう1点、ここには居ませんが私と共に行動する精霊が精霊神様より、魔霊樹伐採の命を受けておりまして。そちらの要件に置いても魔霊樹を討伐する形になります。」
「そうなのね。精霊神ね。後で話しをつけておくから、リュウ君は、魔霊樹討伐は気にしなくて良いわよ。お付きの精霊ちゃんにも精霊神から白紙の命令を出してもらう様にするわ。」
「で、あれば魔霊樹に関しては、私からはこれ以上することはありませんね。ゼファリスちゃんご対応ありがとうございます。」
魔神様の決断がとても早くて助かる。フェリシアとは偉い違いだ。
まだ壁に刺さってピクピクしているフェリシアを見ながらそう感じる。
「そこはね。僕も1年足らずではあるけど、お世話になった人は沢山いるし、もう会えないかと言われると……。うーん。」
僕は、ない頭を絞って考えてみた。
「もう一人私が居てくれたらね。どちらの世界にもいることが出来るのに。」
「それだよ愛ちゃん。僕たちがそれぞれ二人になって、それぞれの世界に戻れば、解決する。」
「でも、そんなこと可能なのかしら?いくら神様と言っても……。」
「お願いしてみないと分かんないよ。出来る出来ないの判断は聞けば分かるし。これで仮に全部報酬がなくなることになってもいいよね?」
「ええ、大丈夫よ。私が望むことは、両親の元へ帰ること。」
「僕も同じ。よし。」
いい感じにお酒を酌み交わしているゼファーちゃんに声をかける。
「ゼファーちゃん、決まりました。可能であればお願いします。」
「ふふっ、どんな結論が出たのか楽しみね。それで願いは?」
「はい、私達を二人に分けて、それぞれの世界で暮らすことを望みます。」
「ふふっ面白いことを考えたものね。つまり、あなたがたのそっくりさんを作るってことね。」
「概ねその様な感じかと。可能でしょうか?」
「そうね。でも、その願いは二人の報酬だけではとても足りないわ。」
「では、ダメということですね。」
ふむ、また考え直しか。
「まだ結論を出すのは早いわよ。私は、二人の報酬だけでは足りないと言ったのよ。」
「ん?つまり、足りない部分をゼファー様に提供出来ればその願いは叶うということですか?」
「そういうことね。」
「ですが、ゼファー様、私達に報酬で足りない対価を提供するのは出来るのでしょうか?神様達にとって私達は、豆粒程の存在です。」
「まぁまぁリュウ君。そう悲観しないこと。対価を払えば望みを叶えるって私が言ってるのだから、それに見合う対価を今二人が持っているってこと。後は、それを二人が提供するのを承諾するかしないかのは話だわ。」
「それで、その対価というのは?………」
「あなた達のスキル、不老不死や賢者の器、魔力、精霊力。つまり、本来あなた達が持っていなかったものを全部対価として差し出すのよ。本来ならそれでも、ちょびーーーっとだけ、足りないんだけど、それは二人をこの件に巻き込んでしまったお詫びとして私からのサービスにするわ。」
ゼファー様が人差し指と親指でちょびっとだけ隙間を空けて説明してくる。
「つまり、僕たちは、元の世界に戻ったら、向こうを出発した時のままということですね。んっ、この場合は記憶もですか?」
「記憶は、お互いの世界の記憶は忘れることになるわね。あなた方の世界に戻った方は、幻想世界での記憶が。幻想世界に戻る方は、あなた方のいた世界での記憶が無くなるわね。不都合が起きない様にするからそこは安心してね。」
「記憶か、思い出がなくなるのか……うーん。ここでの体験もチルやノエル、ティタニアとの思い出がなくなるのか。それはちょっと寂しいかな。でも、現実世界に戻った時に、こちらの感覚で戻ると、色々と人のルールにそぐわないことも出てくるし。」
「そうよね。人や動物を殺めた経験が元いた世界で正常かと言われると不都合が出てくる気もするわね。」
「よし、私は決めた。それでお願いします。思い出がなくなるのは悲しいけど、それは、こちらに残る私が覚えて大切にしてくれる。」
「私もそうね。それでお願いします。どちらの思い出も残しておきたいけど、欲張ると色んなものをきっと失うと思うわ。」
「二人ともそれで良いな。」
「そうだ。あとすみません。後付けになりますが魔霊樹を討伐しても良いでしょうか?」
主神様がチラッとフェリシアの方をみて、その後にゼファリス様の方に視線を向ける。お酒で真っ赤に頬を染めながら、
「リュウ君、それはまた一体どうしてだい?愛君がせっかく人生を賭して植樹してくれたものなのに?人間も魔法が使えて重宝してるのではないかい?」
「はい、ゼファリスちゃん。魔霊樹があることで、別の地点と僕の召喚された大陸で月に一度転移ゲートで繋がり、魔族、インプやデーモンに私のお世話になった人達が襲撃されているからです。」
「それは本当なのかい?」
魔神様は確認する様に愛ちゃんに顔を向ける。
「ええ、私もつい先日までその様なことが起きていることは知りませんでしたが、転移ゲートで繋がることは事実です。魔族の襲撃有無に関してはリュウさんの報告のみで私は確認出来てません。」
「ふむ、分かったわ。魔族には、こちらから神勅を発令して、転移ゲートを利用しての襲撃をやめさせられれば、魔霊樹の討伐はしなくていいわよね。」
「いえ、後もう1点、ここには居ませんが私と共に行動する精霊が精霊神様より、魔霊樹伐採の命を受けておりまして。そちらの要件に置いても魔霊樹を討伐する形になります。」
「そうなのね。精霊神ね。後で話しをつけておくから、リュウ君は、魔霊樹討伐は気にしなくて良いわよ。お付きの精霊ちゃんにも精霊神から白紙の命令を出してもらう様にするわ。」
「で、あれば魔霊樹に関しては、私からはこれ以上することはありませんね。ゼファリスちゃんご対応ありがとうございます。」
魔神様の決断がとても早くて助かる。フェリシアとは偉い違いだ。
まだ壁に刺さってピクピクしているフェリシアを見ながらそう感じる。
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