オタクが失恋💔したらラジオPに拾われました!

麻麻(あさあさ)

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5話 ストーカーから女性を助けました

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「ネカフェに行って下さい」
迷惑ですといいたげに、注意する女性の声が家の前まで来ると聞こえた。

女性が男に絡まれている。

一瞬、痴話喧嘩と思ったが明らかに男女の温度差は違いがあった。

なんだ元カレか。

コンビニを出たタイミングはどうやら悪かったようだ。

改めて男の方をチラ見するが自分から見てもあの男はウザい。

しかし、目の前を通り過ぎなければ家には帰れない。


急に、女性の方は静かになった。

男の方は何を言ったか分からないが、彼女の事を気遣うそぶりもない。

極め付けは彼女が歯を食いしばって微かに震えたにも関わらず、そんな彼女を面倒だといった表情でニヤニヤしながら見下ろしている姿を見てせられ、握っていたスマホとコンビニ袋に力が入った。

そしてソイツは酔っているアピールを始めた。


でも、それは好都合だった。

「お兄さん、大丈夫ですかあ?」
持っていたミネラルウォーターを
「これ水です!」
とズイッと差し出す。

「・・・ え、あ」
と男が驚いて彼女から離れた隙に、マンションに誘導する。

彼女は目を丸くさせ、驚いていた。
そりゃそうだ。

今の俺は彼女からしたら、目の前の男より怪しい。

とりあえず今は中に入ってエレベーターに乗って、と目配せすると彼女はその通りにした。

男はまだ諦めずに追いかけようとしてくる。

「体調悪いなら動かない方がいいですよ」
と明るく声を掛けたが目で威嚇する。

しばらくするとソイツは
「もう男いるじゃん」
意外なんだけどと言うと、何が可笑しいのか小声で笑うと諦めたかの様に思えた。

すると捨て台詞なのか
「彼氏、こいつオタクだから」
暴露するように口にすると、奴はマンションをやっと離れていった。

(だから振られんだよ!)
中々しつこい奴だった。


彼女には奴が去った事を伝えなければいけない。
とりあえず、止まった階に上がると彼女はエレベーターの外の壁を背にし、自分を待っていた。

「ありがとうございます」
と礼を言われ、助けて正解だったとほっとした。

「ちょうど俺ん家だから入るようにって言ったんですけど、なんか大変でしたね」 

「あはは」
と笑うが表情は固い。

すぐ側とはいえ、自分の家に誘導するなんて警戒されて当然に決まってる。

「すみません、送っていきます。
多分あの人まだ近くにいると思し、もう少し待ってた方がいいかも」

と注意すると彼女は
「あ、大丈夫ですよ」
と確信した表情で答えた。

大丈夫という言葉は便利だが、分かりにくい。

男がもう来ないという意味で大丈夫なのか、待ちますの大丈夫なのかどっちなのか考えた。

すると
「私もここに住んでるんです」
と彼女は答えた。


奇遇だった。
自分は住人の顔を把握してない。
そもそも世間の出勤や退社時間とは違う時間帯に過ごしているからか、他の住人に会う機会がない。

女性と目が合うと気まづいのか目線を逸らして、自身を手でパタパタ仰いでいた。

大丈夫そうなら戻ってもらった方がいいかなと思い水を渡す。

「よかったらこれどうぞ」
と彼女にもミネラルウォーターを渡すと
「イリスちゃん」

と一言、ホルダーに付いてるおまけに付いていたキャラクター名を口にした後、しまったと言いたげに口に手を当てたていた。

女性が口にしたのは今放送してるロボットアニメ『双星のファウスト』のイリスだ。

それは、自分が子供の頃からハマっていたアニメの新シリーズのキャラクターで
女神の名前な機体が互いに戦い合うロボットアクションアニメだ。

各機体にヒーローがいて、それを援護するために少女に擬態化した女神達との恋愛模様もアニメの見どころになっている。

「ああ、これ今ハマってて何本か買ってみたんですよ」

キャラクターを指差しながら、1リットルタイプを買おうか迷ったが、挙句グッズ欲しさにさっき買ってしまったのだ。

こんなかたちで役に立つとは思わなかったが、彼女の助けになったならよかったと思った。

彼女もやっと顔がほころんだと思ったが、すぐまた眉が下がった

「でも、お兄さんのが」
どうやら自分の分があるか、気にかけてくれたのだ。
「もう一本ありますから」
と袋を指差す。

「グッズが目当てで買われたんですよね」
貰って大丈夫なんですかと、まだ心配そうだ。

「大丈夫ですよ。まだ発売期間だし」
実際、あのコンビニはよく通る。


「ありがとうございます」
とようやく水を受け取った彼女は、やっとはにかんだ笑顔をみせた。

なぜか自分も嬉しくなる。

「イリス、好きですか?」
「はい。好きで見てます」


「オープニングもいいですよね」
と話題を振ると
「今度、そのシングル発売のライブがあるみたいで」
と教えられた。
「え」
(マジか、行きたい。)

しかし、そいゆうイベントは土日が多い。
日曜じゃないといいのだが。

「今度、土曜に町田であるんです」
と言われ
「え、どしよ俺も行くかも」
考える間もなく口にした返事に、彼女はえ?と驚いた。


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