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10話 先生とスケジュール
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新人賞。
出版社の新人賞は1年に1回行われる。
主にその出版社からその年に受賞した新人の受賞式を兼ねた立食パーティーで新人賞に出席する者はその出版社のベテラン先生や編集だ。
私も2年前にデビューした年はステージに上がったっきり昨年は参加してない。
一応、編集さんから毎年お声はかかるものだそうだが。
『先生、来ますよね?あまり今年は私が担当してる作家さん不参加の方多くて先生に来て欲しいんですー』
年が近いせいかフランクな彼女の頼みだ。
原稿も進んでいるし
「分かりました」
と答えると電話ごしにやったー!と歓声が聞こえた。
彼女は今、出版社で勤務中ではとハラハラしたが日時を念押しして伝えて電話を切った。
「えらく、電話越しの人テンション高かったですね」
ハハっと榊原くんがコーヒーを渡してきた。
「聞こえてた?」
「少し」
彼女の歓声が聞こえたらしい。
「新人賞に参加しないかって聞かれて行ってみようかなって」
と彼に話す。
「へえ。なんかカッコいいですよね。
俺もついて行っちゃいけませんかね」
「榊原くんは作家を神格化しすぎだよ」
「一応、著名人でしょ?あ、だから先生を好きになったとかじゃないですよ」
と彼が慌てたのでクスッと笑みが溢れた。
引っ越してこの所、いろんな事があったけど
仕事も順調で彼ともお互い仕事中の傍らこんなふうに笑って話ができる。
今は執筆も終わって原稿も前に編集さんに送ったところだ。
(すごく幸せだな)
彼からもらったコーヒーを飲んでいると榊原くんは
まだ新人賞についていきたかったのか冗談っぽく
「先生、どこであるんですか」と聞いてくる。
「たしか、都内のホテルだったよ」
と会場のホテル名を告げると彼は一瞬目を伏せたように見えた。
しかし、見違いだったかと思うほど彼はいつもの表情でにこやかに
「そうなんですね」
と笑う。
そしてまたカップを片付けてお互いに仕事に戻る。
そんな日々が続くと思っていた。
しかし、意外にもその日々は早くも終わりを迎える事となった。
榊原くんが部屋に来れなくなってしまったのだ。
出版社の新人賞は1年に1回行われる。
主にその出版社からその年に受賞した新人の受賞式を兼ねた立食パーティーで新人賞に出席する者はその出版社のベテラン先生や編集だ。
私も2年前にデビューした年はステージに上がったっきり昨年は参加してない。
一応、編集さんから毎年お声はかかるものだそうだが。
『先生、来ますよね?あまり今年は私が担当してる作家さん不参加の方多くて先生に来て欲しいんですー』
年が近いせいかフランクな彼女の頼みだ。
原稿も進んでいるし
「分かりました」
と答えると電話ごしにやったー!と歓声が聞こえた。
彼女は今、出版社で勤務中ではとハラハラしたが日時を念押しして伝えて電話を切った。
「えらく、電話越しの人テンション高かったですね」
ハハっと榊原くんがコーヒーを渡してきた。
「聞こえてた?」
「少し」
彼女の歓声が聞こえたらしい。
「新人賞に参加しないかって聞かれて行ってみようかなって」
と彼に話す。
「へえ。なんかカッコいいですよね。
俺もついて行っちゃいけませんかね」
「榊原くんは作家を神格化しすぎだよ」
「一応、著名人でしょ?あ、だから先生を好きになったとかじゃないですよ」
と彼が慌てたのでクスッと笑みが溢れた。
引っ越してこの所、いろんな事があったけど
仕事も順調で彼ともお互い仕事中の傍らこんなふうに笑って話ができる。
今は執筆も終わって原稿も前に編集さんに送ったところだ。
(すごく幸せだな)
彼からもらったコーヒーを飲んでいると榊原くんは
まだ新人賞についていきたかったのか冗談っぽく
「先生、どこであるんですか」と聞いてくる。
「たしか、都内のホテルだったよ」
と会場のホテル名を告げると彼は一瞬目を伏せたように見えた。
しかし、見違いだったかと思うほど彼はいつもの表情でにこやかに
「そうなんですね」
と笑う。
そしてまたカップを片付けてお互いに仕事に戻る。
そんな日々が続くと思っていた。
しかし、意外にもその日々は早くも終わりを迎える事となった。
榊原くんが部屋に来れなくなってしまったのだ。
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