経典 第7巻 1章 1節「太陽を喰らった漆黒の守護竜」

──はるか昔、その星(セカイ)には“月”と呼ばれるモノが存在しなかった。

昼は太陽が赤々と地上を照らし、夜は頼りない星明かりと闇が支配する。
そんな星(セカイ)で、人々は穏やかに暮らしていた。


しかし、そんな日々は唐突に破られる。


恵をもたらすはずの太陽が……夜を喰らったのだ。


生き物が堕ち、大地は焼け、海は干上がった。

こうして、この星(セカイ)は緩やかに、しかし確実に死に絶える……はずだった。


闇の消えた星(セカイ)に、黒より暗い漆黒の鱗が舞うまでは。



──これは神話に語られる物語と、たったふたりだけの記憶に残った物語である。



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夏雲
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