あの日出会った天使様からいつしか目が離せなくなっていた

星月

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天使様のお願い

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   今日行われる授業は終わり生徒達は開放感からか、一日の中で一番活気のある顔をしているものや、今から地獄の部活なのか死んだような表情をしているものなど多数いた。歩は帰宅部なのでこれから帰るだけなのだが、今日一日中ちらちらこちらを伺っていた天使様は帰りのホームルームが終わると荷物をまとめてこちらへ近づいてきた。なにかしたのかなと疑問に思いながら顔を上げると天使様が口を開いた

「今日一緒に帰ってもいいですか?」

   歩にだけ聞こえる声量で囁いてくる

「なんで俺なんかと」

   なぜ歩が誘われたのかわからなかった。昨日今日軽く話しただけでそこまで親しくなったつもりはないし接点もない。それに休み時間にはいつもクラスの生徒達に囲まれて談笑しているのだ、ほんとに何故俺なのか。

「少しお話したいことがありまして、星川くんじゃないとダメなんです」

   またもや俺だけに聞こえる声量で語りかけてくるのは恐らく周りの生徒達に聞かれると一緒に帰りたいと、近づいてくる生徒がいるからだろう。天使様も大変なことだ

「わ、わかった用意するから先校門行って待ってて」

「はい」

   了承の意をもらえたことにほっとしたのか、安堵したような表情を浮かべつつ歩に一礼し、教室をでていった

「お前なんか気に入られてない?」

   天使様が教室をでていったのを確認してから先程のやり取りを見ていたのか、康介が歩の席に寄ってくる。康介は不思議そうにしているのだが、こっちが聞きたい

「そんなことない、なんか話したいことがあるとかで帰りに誘われただけだ」

「これはあれか、告白イベントか」

   などとゲーム内のイベントでしか起こらないことを言うのでついため息をついてしまった

「そんなわけないだろ、昨日初めて話したばかりだぞ」

「知ってるか歩、人は一目相手を見ただけで恋に落ちることだってあるんだぞ」

「それはそうかもしれないけど、そんなことがホイホイあったらみんな彼氏彼女欲しいなんか言ってないぞ。万が一にもありえないことを言うなよ」

   歩も清水咲希に好意を寄せてはいないものの、可愛いとは思っているので勘違いしそうになる

「康くーん!早く帰ろーよー!もーお腹ぺこぺこで倒れちゃいそう」

「今行くよー!そんじゃ舞が腹ぺこで倒れそうだし俺はそろそろ帰るけどまた明日話聞かせろよ親友」

   舞が腹ぺこで倒れたりしたら、康介がおぶって帰らないといけなくなるので、それだけは阻止したいのかまたはそういう経験があるのかまだ話は聞きたいが渋々帰る選択をしていた

「気が向いたらな」

   あくまで気が向いたらだ、話せる内容なのかもまだ分からないし断定するのは良くない。だけど康介はどこか満足したようで「明日絶対聞かせろよ」と念を押し舞の元へ走っていった。訂正するのもめんどくさかったのでまた明日と手を振り歩も校門へ向かうのであった

「おまたせ」

「いえ、こちらこそ急にお誘いしてすみません」

「別にいいけど、なんか大事な話みたいだし」

「あの実はお願いがありまして」

「お願い?」

「はい、あの良かったらなんですけど私とお友達になってくれませんか?」

   一瞬耳を疑ってしまった。てっきり告白は若干期待していたがそうではないとも思っていたので、天使様の噂の件での悩み相談かと思っていたので呆気にとられてしまった

「え、なんで?俺なんかと」

「あ、あの別になにか企んでいるとかではないですよ!ただ昨日私のことを気遣って声をかけてくださったり、今日も変わらず普通に接してくれました」

「うん、別に普通じゃない?それで清水さんがなんで俺と友達になりたいの?」

   普通友達になりたいといってなるものではない。日常生活の中で関わる機会が増え、気づいたら友達といえる関係になってるのがほとんどだと俺は思うのだが。

「だからですね、私は私に媚びを売ろうとせず普通に接してくださったのが嬉しくて、貴方とその今後も関わりたい話してみたいと思ったので提案してみたのですが、ダメでしょうか?」

「今までそういう人いなかったの?」

「いなかったというか最初は普通に接してくれていたのですが、ある程度親しくなると私を利用しようとする人ばかりでそれが嫌で必然と距離ができて関わることが無くなったと言いますか」

「利用って」

「私は普段天使様と呼ばれているとそう聞きます、ですから女性の方からは天使様と仲がいいもしくは友達である、というステータスを欲しがり自己顕示欲を高める方がいましたり、時には天使様にいいつけるからと男性の方に圧をかけられる方もおられました。男性の方も同様で、ある程度仲が良くなると関係を迫ってくる方が多くて、どうしても関係を切らざるを得ない自体になるといいますか」

   困った顔をしているが相当しんどかったのが伝わってくる。だからこそ清水咲希にやましい気持ちをもちいて接してこなかった歩に興味を抱き、友達になりたかったのだろう

「俺もそうかもしれないぞ」

「もしそうだとしたらもっとグイグイ話しかけるなりしてきてるはずです。少なくとも貴方にその気がないのは雰囲気で分かります」

   たくさん下心のある生徒達に絡まれ、関わりあってきた彼女だからこそここまで断言しているのだろう

「それならいいけど、けど俺と友達になってもすることないぞ」

   歩が普段康介とするのはゲームかたまに付き合わされる買い物くらいだ。舞とも遊ぶがそれもゲームかたまに人がいないからと、人数合わせでバスケに呼ばれるくらいなのだ

「そうですね、なのでこうやってたまにお話しながら帰りたいです。さすがに毎日は星川くんにも失礼ですので」

   そんなことでいいのかと一瞬思ったが、友達と話すことも十分楽しいのも分かっていたのであえて断る理由もない

「わかったよ、じゃあなにか話したくなったらLIMEでもして。これ俺のQRコードだから」

   そういいスマホの画面を見せるのだがどこか躊躇いの色を見せている

「いいのですか?私なんかに教えても?」

「良いも悪いも今日から友達なんだろ?だったら友達と交換するのは普通のことだろ、別にLIMEはしたくないとかならいいけど」

「い、いえ!交換したいです!」

   そういいポケットからスマホをとりだし画面を重ねると、友達追加が久々だったのか、彼女の顔からは自然と笑みが溢れていた

「なんだかとても嬉しいです。ありがとうございます、星川くん」

   とても嬉しそうにはにかむ笑顔を向けられるので、歩の心臓には悪かった

「全然いいよ」

   そういい顔を下げ、新たに追加された咲希と表示された2文字を眺めるのであった
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