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第7話「カード審査バトル」
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王都リュミエールの聖印管理庁――その中央ホールは朝から静かな緊張に包まれていた。
高い石造りの天井、磨き上げられた床には大きな魔法陣が幾重にも描かれ、その中央にバトル用の透明な結界が張られている。控室の窓からホールを見下ろしながら、リオはグラン=ヴァルドのカードを指でそっと撫でていた。
(ついに、ここまで来たんだ――)
周囲には他のクリエイター候補たちが緊張した面持ちで自作のカードを見つめている。ユリエルはいつものように余裕の笑みを浮かべていたが、彼女の指先もわずかに震えていた。シュトラは静かに目を閉じ、精神を集中させている。
「……緊張してる?」
ふとユリエルが近づいてきて、小声で囁いた。
リオは少しだけ微笑む。
「うん。でも、不思議とワクワクのほうが大きいんだ。グラン=ヴァルドが一緒にいてくれるから」
「ふふ、いい目だね。村の子でも、やっぱり本物だと思う」
控室の扉が開き、係員が静かに告げた。
「これよりカードクリエイター最終審査を開始します。出場者は順にホールへ」
順番を待つ間、リオはグラン=ヴァルドの声に耳を澄ませる。
『緊張することはない。お前が信じてくれるなら、私は必ず応える。』
(ありがとう、グラン=ヴァルド……)
やがて名前が呼ばれ、リオは重い扉を押し開けてバトルホールへと足を踏み入れた。
聖印管理庁の審査官たちが、石造りの高台に並んでいる。
主審査官の老人が口を開いた。
「本審査では審査用特殊バトルルールを適用する。
《召喚枠は1体》《マナは初期5》《使用カードは最大3枚》《ターンは5まで》。
この条件で“制圧力”“制御力”“創造性”を判断する。」
リオの手には《封印竜グラン=ヴァルド》と、村で自作した2枚のカード――「小鳥の精霊」「森の守り手」――が握られていた。
向かいに立つ管理庁側クリエイターは、「魔獣オーク」と「風狼(ウィンド・ウルフ)」を手札に持つ。
「では――バトル、開始!」
魔法陣が淡く光り、審査バトルが幕を開けた。
【1ターン目】
先攻は管理庁クリエイター。
2マナを消費して《魔獣オーク》を召喚。
筋骨隆々の獣人型カードがフィールドに現れ、低く咆哮を上げる。
「さあ、君の番だ」
リオは静かに息を吸い、3マナを使い《封印竜グラン=ヴァルド》を召喚。
「出ろ!グラン=ヴァルド!」
手の中のカードが激しく発光し、漆黒の鱗と銀の紋章を持つ巨大な竜の幻影がホール中央に姿を現す。その圧倒的な存在感に、審査官席がどよめいた。
「まさか伝説級……本当に制御できているのか?」
リオは続けて残りのマナ1を「小鳥の精霊」に備えて伏せる。
【2ターン目】
管理庁クリエイターは「オーク」に強化魔法カード「筋力増強」を重ね、攻撃力を上げてきた。
「バトルフェイズ、オークでグラン=ヴァルドを攻撃!」
(グラン=ヴァルド、防御だ!)
『心得た』
グラン=ヴァルドは鱗を硬化させる「防御スキル」を自動発動。
オークの巨大な棍棒の一撃を完全に受け止め、さらに「封印炎(シール・フレイム)」がカウンター発動――紅蓮の炎がオークを包み、オークは一瞬で戦闘不能に。
「くっ……!」
観客席に緊張が走る。
ユリエルやシュトラも食い入るように見つめている。
【3ターン目】
「次は……《風狼》、召喚! スピードアタック!」
2マナを消費して素早い狼型幻獣が現れ、竜の側面を狙って駆け抜ける。
(グラン=ヴァルド、風狼の足を封じて!)
『任せよ――』
グラン=ヴァルドは翼を広げ、フィールド上に「封印鎖(シール・チェーン)」を展開。
光の鎖が風狼の脚を絡め取り、身動きを封じる。
リオはここで「小鳥の精霊」を召喚し、風狼の動きをさらに撹乱。
その間にグラン=ヴァルドの「咆哮」でフィールド全体に衝撃を放ち、風狼を戦闘不能へと追い込んだ。
【4ターン目】
管理庁クリエイターは新たな召喚カードが間に合わず、ターンエンド。
【5ターン目】
「ターン終了。君の勝利だ」
主審査官が静かに告げた。
だが、場には異様な空気が漂っていた。
伝説級カードを制御し、圧倒的な力で勝ち切ったリオ――会場の誰もがその強さに驚き、そしてどこか恐れを覚えていた。
「これほどの力を少年が……」
「だが危険すぎる……制御が甘ければ災厄に……」
審査官たちの間に議論が巻き起こる。
だがリオは臆することなく、まっすぐ審査官たちを見据えて言った。
「グラン=ヴァルドの力は、ただ強いだけじゃありません。俺は、このカードと心で繋がっている。
この力を、自分や誰かを傷つけるためには絶対に使わない。
俺は夢を叶えるため、この力と共に“本当のカードクリエイター”になりたいんです!」
厳しい表情の審査官が問いかける。
「その力に呑まれたり、暴走したりする危険は……?」
リオは力強く首を振る。
「絶対にありません。俺はグラン=ヴァルドを信じているし、グラン=ヴァルドも俺を信じてくれている。
これからも何度でも、成長してみせます!」
静まり返る会場。
やがて、壇上の主審査官が静かにうなずいた。
「その“心の在り方”、確かに見届けた。合否は後日正式に通知するが……君は新しい風をもたらす存在となるだろう」
リオは深く息をつき、グラン=ヴァルドのカードを強く握りしめた。
(ありがとう、グラン=ヴァルド。絶対にもっと強くなるから)
竜の声が、心の中で誇らしげに響いた。
『お前と共に歩もう、リオ――どこまでも』
静かな決意と新たな希望が、少年の胸に確かに灯っていた。
高い石造りの天井、磨き上げられた床には大きな魔法陣が幾重にも描かれ、その中央にバトル用の透明な結界が張られている。控室の窓からホールを見下ろしながら、リオはグラン=ヴァルドのカードを指でそっと撫でていた。
(ついに、ここまで来たんだ――)
周囲には他のクリエイター候補たちが緊張した面持ちで自作のカードを見つめている。ユリエルはいつものように余裕の笑みを浮かべていたが、彼女の指先もわずかに震えていた。シュトラは静かに目を閉じ、精神を集中させている。
「……緊張してる?」
ふとユリエルが近づいてきて、小声で囁いた。
リオは少しだけ微笑む。
「うん。でも、不思議とワクワクのほうが大きいんだ。グラン=ヴァルドが一緒にいてくれるから」
「ふふ、いい目だね。村の子でも、やっぱり本物だと思う」
控室の扉が開き、係員が静かに告げた。
「これよりカードクリエイター最終審査を開始します。出場者は順にホールへ」
順番を待つ間、リオはグラン=ヴァルドの声に耳を澄ませる。
『緊張することはない。お前が信じてくれるなら、私は必ず応える。』
(ありがとう、グラン=ヴァルド……)
やがて名前が呼ばれ、リオは重い扉を押し開けてバトルホールへと足を踏み入れた。
聖印管理庁の審査官たちが、石造りの高台に並んでいる。
主審査官の老人が口を開いた。
「本審査では審査用特殊バトルルールを適用する。
《召喚枠は1体》《マナは初期5》《使用カードは最大3枚》《ターンは5まで》。
この条件で“制圧力”“制御力”“創造性”を判断する。」
リオの手には《封印竜グラン=ヴァルド》と、村で自作した2枚のカード――「小鳥の精霊」「森の守り手」――が握られていた。
向かいに立つ管理庁側クリエイターは、「魔獣オーク」と「風狼(ウィンド・ウルフ)」を手札に持つ。
「では――バトル、開始!」
魔法陣が淡く光り、審査バトルが幕を開けた。
【1ターン目】
先攻は管理庁クリエイター。
2マナを消費して《魔獣オーク》を召喚。
筋骨隆々の獣人型カードがフィールドに現れ、低く咆哮を上げる。
「さあ、君の番だ」
リオは静かに息を吸い、3マナを使い《封印竜グラン=ヴァルド》を召喚。
「出ろ!グラン=ヴァルド!」
手の中のカードが激しく発光し、漆黒の鱗と銀の紋章を持つ巨大な竜の幻影がホール中央に姿を現す。その圧倒的な存在感に、審査官席がどよめいた。
「まさか伝説級……本当に制御できているのか?」
リオは続けて残りのマナ1を「小鳥の精霊」に備えて伏せる。
【2ターン目】
管理庁クリエイターは「オーク」に強化魔法カード「筋力増強」を重ね、攻撃力を上げてきた。
「バトルフェイズ、オークでグラン=ヴァルドを攻撃!」
(グラン=ヴァルド、防御だ!)
『心得た』
グラン=ヴァルドは鱗を硬化させる「防御スキル」を自動発動。
オークの巨大な棍棒の一撃を完全に受け止め、さらに「封印炎(シール・フレイム)」がカウンター発動――紅蓮の炎がオークを包み、オークは一瞬で戦闘不能に。
「くっ……!」
観客席に緊張が走る。
ユリエルやシュトラも食い入るように見つめている。
【3ターン目】
「次は……《風狼》、召喚! スピードアタック!」
2マナを消費して素早い狼型幻獣が現れ、竜の側面を狙って駆け抜ける。
(グラン=ヴァルド、風狼の足を封じて!)
『任せよ――』
グラン=ヴァルドは翼を広げ、フィールド上に「封印鎖(シール・チェーン)」を展開。
光の鎖が風狼の脚を絡め取り、身動きを封じる。
リオはここで「小鳥の精霊」を召喚し、風狼の動きをさらに撹乱。
その間にグラン=ヴァルドの「咆哮」でフィールド全体に衝撃を放ち、風狼を戦闘不能へと追い込んだ。
【4ターン目】
管理庁クリエイターは新たな召喚カードが間に合わず、ターンエンド。
【5ターン目】
「ターン終了。君の勝利だ」
主審査官が静かに告げた。
だが、場には異様な空気が漂っていた。
伝説級カードを制御し、圧倒的な力で勝ち切ったリオ――会場の誰もがその強さに驚き、そしてどこか恐れを覚えていた。
「これほどの力を少年が……」
「だが危険すぎる……制御が甘ければ災厄に……」
審査官たちの間に議論が巻き起こる。
だがリオは臆することなく、まっすぐ審査官たちを見据えて言った。
「グラン=ヴァルドの力は、ただ強いだけじゃありません。俺は、このカードと心で繋がっている。
この力を、自分や誰かを傷つけるためには絶対に使わない。
俺は夢を叶えるため、この力と共に“本当のカードクリエイター”になりたいんです!」
厳しい表情の審査官が問いかける。
「その力に呑まれたり、暴走したりする危険は……?」
リオは力強く首を振る。
「絶対にありません。俺はグラン=ヴァルドを信じているし、グラン=ヴァルドも俺を信じてくれている。
これからも何度でも、成長してみせます!」
静まり返る会場。
やがて、壇上の主審査官が静かにうなずいた。
「その“心の在り方”、確かに見届けた。合否は後日正式に通知するが……君は新しい風をもたらす存在となるだろう」
リオは深く息をつき、グラン=ヴァルドのカードを強く握りしめた。
(ありがとう、グラン=ヴァルド。絶対にもっと強くなるから)
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