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第13話「仲間との出会い」
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王都リュミエールの朝は、光と人波に満ちていた。
昨日の精製バトルの興奮がまだ街の空気に残っている。リオは宿舎の窓を開け放ち、遠くに見えるアリーナの塔や石畳の広場、朝日を浴びてきらめく噴水をぼんやりと眺めていた。
(昨日のバトル……あの“幻のクリエイター”、アルノルトの言葉……)
心の奥に小さな火が灯ったままだった。カードの強さだけでなく、自分だけの物語や想いを込めること。それが本当の“創造”であり、カードクリエイターとしての誇りなのだと、リオは改めて感じていた。
グラン=ヴァルドのカードを胸元で握る。
『リオ、仲間たちとの旅路が、お前の魂をさらに強くするだろう』
竜の穏やかな声が心に響く。
食堂へ降りると、ユリエルとシュトラがすでに朝食を取っていた。ユリエルは小麦色の髪を無造作に束ね、シュトラは貴族らしい上品な仕草で紅茶を口に運んでいる。
「おはよう、リオ! 昨日のバトル、見てたよ。君、なんだか“顔つき”が変わったね」
ユリエルがにこやかに言う。
「そうか……? 自分じゃ分からないけど……でも、ちょっとだけ、“自分が本当にやりたいこと”に近づけた気がするんだ」
「それなら上出来さ」
と、シュトラが静かに微笑む。「精製や創造もそうだが、仲間と力を合わせることも大切だ。これからは、一人では見えなかったものが見えてくるだろう」
その言葉を聞いて、リオはふと周囲を見渡した。
食堂の奥の席では、筋骨隆々の少年が大きなパンを頬張りながら、こちらをじっと見ている。真っ直ぐな目つき、動物のような身のこなし。リオはどこかで見覚えがある気がした。
「お前がリオ・バルドだな?」
ぐい、と少年が立ち上がり、迷いなく歩み寄ってきた。
「俺はカイ・グランツ! 昨日の大会じゃ俺の相棒カードが君の“竜”に一歩及ばなかった。だが、次は必ず勝つ。そのために、お前の旅に加わらせてくれ!」
リオは驚いたが、彼のまっすぐな気迫にどこか親しみを覚える。
「……ありがとう、カイ。だけど、俺たちの旅はまだ何も決まってないし、危険も多い。それでも?」
「もちろんだ! 俺は“仲間”ってやつを、ずっと探してたんだ。ギルドにも馴染めなかったし……」
照れくさそうに笑うカイの姿に、リオも自然と笑顔になる。
「よろしくな、カイ」
そこへ、もう一人の少女が控えめに近づいてきた。
彼女は細身で、眼鏡をかけ、手には自作のカードデッキが丁寧に並んでいる。青い髪の下から覗く瞳は真剣そのものだ。
「はじめまして。私はティアナ・フェルリス。カード職人として、王都の研究ギルドに所属していたけれど……本当は、現場で本物の“バトル”や“創造”を体験したくて。昨日のリオさんの精製バトルを見て……どうしても、あなたたちの旅に加わりたいと思いました」
リオは少し戸惑いながらも、その真摯なまなざしにうなずく。
「……一緒に行こう、ティアナ」
仲間が増えることの喜びと、少しの不安。それでも、皆の目には前向きな決意が宿っていた。
「じゃあ、今日はみんなでどこへ行く?」
ユリエルがいたずらっぽく言う。
「せっかくだから、フィールドでカードの連携練習をしてみよう」
カイが提案し、全員が賛成した。
王都郊外の野原では、様々なクリエイターたちが修行やテストバトルをしていた。リオたちは輪になって座り、互いのカードを見せ合う。
「俺の相棒、《雷牙狼ルガノス》。攻撃力が自慢だ!」
カイは自慢げにカードを見せる。
「私の得意は《魔法結晶(クリスタルコア)》と“連鎖スペル”の応用」
ティアナは器用な手つきでカードを並べ、エンチャントや補助魔法の使い方を解説する。
「カードの強さは数字だけじゃない。コンボや、相手との心の連携も大事よ」
ユリエルは実演しながら、リオに目配せする。
バトル練習が始まると、皆の個性が鮮やかに浮き彫りになる。
カイの直感的な突撃、ティアナの繊細な補助、ユリエルの戦術的なタイミング、シュトラの冷静な守り――そしてリオは、グラン=ヴァルドのカードを軸に全体をまとめようとする。
「お前たち、本当にバラバラだな。でも、連携すれば……すごいチームになる!」
カイが汗だくになりながら笑う。皆もつられて笑い合った。
練習が終わり、日暮れの草原でリオはふと小さな背中を見つけた。
「……ミナ?」
村から駆けつけてきたミナが、息を切らせて立っていた。
「遅くなった……みんなに、あいさつがしたくて。リオ、私は……あんたの“相棒”になりたい。隣で支えて、守って、これからもずっと一緒に冒険したいんだ」
真剣な眼差しに、リオは胸が熱くなる。
「ありがとう、ミナ。これからは、ずっと一緒に進もう」
仲間たちが温かく見守る中、ミナは小さくうなずいた。
夕陽が西の空を染める頃、リオたちは焚き火を囲んで語り合った。
カードへの想い、これまでの苦しみや喜び、未来への期待――
「きっと俺たちなら、どんな困難も乗り越えられる」
グラン=ヴァルドの声が、静かにリオの胸に響く。
『仲間との絆こそ、最大の力だ。お前の物語は、ここからさらに輝く』
こうしてリオのパーティは形になり、新しい一歩を踏み出した。
少年と仲間たちの旅路は、いよいよ本格的に始まる。
昨日の精製バトルの興奮がまだ街の空気に残っている。リオは宿舎の窓を開け放ち、遠くに見えるアリーナの塔や石畳の広場、朝日を浴びてきらめく噴水をぼんやりと眺めていた。
(昨日のバトル……あの“幻のクリエイター”、アルノルトの言葉……)
心の奥に小さな火が灯ったままだった。カードの強さだけでなく、自分だけの物語や想いを込めること。それが本当の“創造”であり、カードクリエイターとしての誇りなのだと、リオは改めて感じていた。
グラン=ヴァルドのカードを胸元で握る。
『リオ、仲間たちとの旅路が、お前の魂をさらに強くするだろう』
竜の穏やかな声が心に響く。
食堂へ降りると、ユリエルとシュトラがすでに朝食を取っていた。ユリエルは小麦色の髪を無造作に束ね、シュトラは貴族らしい上品な仕草で紅茶を口に運んでいる。
「おはよう、リオ! 昨日のバトル、見てたよ。君、なんだか“顔つき”が変わったね」
ユリエルがにこやかに言う。
「そうか……? 自分じゃ分からないけど……でも、ちょっとだけ、“自分が本当にやりたいこと”に近づけた気がするんだ」
「それなら上出来さ」
と、シュトラが静かに微笑む。「精製や創造もそうだが、仲間と力を合わせることも大切だ。これからは、一人では見えなかったものが見えてくるだろう」
その言葉を聞いて、リオはふと周囲を見渡した。
食堂の奥の席では、筋骨隆々の少年が大きなパンを頬張りながら、こちらをじっと見ている。真っ直ぐな目つき、動物のような身のこなし。リオはどこかで見覚えがある気がした。
「お前がリオ・バルドだな?」
ぐい、と少年が立ち上がり、迷いなく歩み寄ってきた。
「俺はカイ・グランツ! 昨日の大会じゃ俺の相棒カードが君の“竜”に一歩及ばなかった。だが、次は必ず勝つ。そのために、お前の旅に加わらせてくれ!」
リオは驚いたが、彼のまっすぐな気迫にどこか親しみを覚える。
「……ありがとう、カイ。だけど、俺たちの旅はまだ何も決まってないし、危険も多い。それでも?」
「もちろんだ! 俺は“仲間”ってやつを、ずっと探してたんだ。ギルドにも馴染めなかったし……」
照れくさそうに笑うカイの姿に、リオも自然と笑顔になる。
「よろしくな、カイ」
そこへ、もう一人の少女が控えめに近づいてきた。
彼女は細身で、眼鏡をかけ、手には自作のカードデッキが丁寧に並んでいる。青い髪の下から覗く瞳は真剣そのものだ。
「はじめまして。私はティアナ・フェルリス。カード職人として、王都の研究ギルドに所属していたけれど……本当は、現場で本物の“バトル”や“創造”を体験したくて。昨日のリオさんの精製バトルを見て……どうしても、あなたたちの旅に加わりたいと思いました」
リオは少し戸惑いながらも、その真摯なまなざしにうなずく。
「……一緒に行こう、ティアナ」
仲間が増えることの喜びと、少しの不安。それでも、皆の目には前向きな決意が宿っていた。
「じゃあ、今日はみんなでどこへ行く?」
ユリエルがいたずらっぽく言う。
「せっかくだから、フィールドでカードの連携練習をしてみよう」
カイが提案し、全員が賛成した。
王都郊外の野原では、様々なクリエイターたちが修行やテストバトルをしていた。リオたちは輪になって座り、互いのカードを見せ合う。
「俺の相棒、《雷牙狼ルガノス》。攻撃力が自慢だ!」
カイは自慢げにカードを見せる。
「私の得意は《魔法結晶(クリスタルコア)》と“連鎖スペル”の応用」
ティアナは器用な手つきでカードを並べ、エンチャントや補助魔法の使い方を解説する。
「カードの強さは数字だけじゃない。コンボや、相手との心の連携も大事よ」
ユリエルは実演しながら、リオに目配せする。
バトル練習が始まると、皆の個性が鮮やかに浮き彫りになる。
カイの直感的な突撃、ティアナの繊細な補助、ユリエルの戦術的なタイミング、シュトラの冷静な守り――そしてリオは、グラン=ヴァルドのカードを軸に全体をまとめようとする。
「お前たち、本当にバラバラだな。でも、連携すれば……すごいチームになる!」
カイが汗だくになりながら笑う。皆もつられて笑い合った。
練習が終わり、日暮れの草原でリオはふと小さな背中を見つけた。
「……ミナ?」
村から駆けつけてきたミナが、息を切らせて立っていた。
「遅くなった……みんなに、あいさつがしたくて。リオ、私は……あんたの“相棒”になりたい。隣で支えて、守って、これからもずっと一緒に冒険したいんだ」
真剣な眼差しに、リオは胸が熱くなる。
「ありがとう、ミナ。これからは、ずっと一緒に進もう」
仲間たちが温かく見守る中、ミナは小さくうなずいた。
夕陽が西の空を染める頃、リオたちは焚き火を囲んで語り合った。
カードへの想い、これまでの苦しみや喜び、未来への期待――
「きっと俺たちなら、どんな困難も乗り越えられる」
グラン=ヴァルドの声が、静かにリオの胸に響く。
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