25 / 101
第25話「世界会議とバディの誓い」
しおりを挟む
王都リュミエールの中心、かつてない規模の“世界会議”が開かれようとしていた。
広大な議事堂前の広場には、世界中から集まった精製師、ギルドのリーダー、各国の管理庁の要人がひしめいていた。人々の服装や言葉、手にするカードはさまざまだが、誰もが「自分の世界を守る」覚悟をまとっていた。
「すごい……世界にはこんなにも多くのカードクリエイターがいるんだ」
ミナが感嘆の声をもらす。
「これだけの人間が集まると、空気までピリピリしてるな」
カイが緊張した面持ちで周囲を見渡す。
「まるで一大祭典みたいだけど、今回は“戦い”の予感が強いわ」
ユリエルも、表情を引き締める。
ティアナやシュトラも、改めて自分たちが“世界の運命”を左右する大きなうねりの中にいることを実感していた。
議事堂の大扉が開き、レーベン長官が各国の代表と共に壇上へと上がる。彼の姿に、世界各地から集った精製師たちが一斉に静まる。
「――皆、よく集まってくれた。我々は今、未曽有の危機を前にしている。各地で発生する“異界の門”、黒いカード、そして消えた精製師たち……。だが、ここに集った皆の叡智と勇気があれば、必ず未来を切り拓けるはずだ」
大きな拍手が起こる中、リオはグラン=ヴァルドのカードをそっと握りしめていた。
(こんな時代に生まれて、こんな仲間と出会って、俺は――)
壇上にはかつてのライバルたちも顔を揃えている。ザック、ユリア、イリアス、そして異界の三人組――青年、少女、獣使い――の姿もあった。
異界の青年は一歩前へ進み、世界会議に宣言する。
「我々“アルカナの使徒”は、異界の法と誇りに従って動いている。君たちの世界の精製法には敬意を抱くが、我々は我々で“正しい未来”を目指している。いずれ道が交わるなら、互いの誇りを賭けて戦おう」
議場に緊張が走る。
だがその緊張の中で、リオはふと気づいた。青年の瞳に、敵意ではなく、どこか寂しげな色があった。
(異界の連中も、ただ“悪”ってわけじゃない――)
レーベン長官が、改めて世界の危機を語る。
「すべての精製師に告げる。これから世界中に新たな異界の門が開く危険がある。その脅威に対抗できるのは、“カードと心”を鍛えた皆の絆だけだ」
会場のあちこちから、バディ――幻獣と心を通わせる者たちが、互いのカードを掲げて誓いを立てる声が響き始める。
「俺たちは負けない!」
「どんな敵が来ても、この手で世界を守る!」
リオも自然と立ち上がり、仲間たちと顔を見合わせた。
「みんな、俺たちも“誓い”を立てよう。どんな敵にも負けない。何があっても、絶対に全員で帰るって!」
グラン=ヴァルドの声が心の奥に響く。
『リオ。お前が選んだ仲間、お前の歩んできた道。私もこの魂ごと、賭けてやろう。もう一度、この世界の希望となるために』
「ありがとう、グラン=ヴァルド。俺は、お前が相棒で本当に良かった」
カイが拳を掲げる。「全力でやるぞ、リオ!」
ユリエルが静かに頷く。「私も、自分の精製に誇りを持つ。絶対に諦めない」
ティアナも力強く。「私のカードで、みんなを支えるから!」
シュトラが微笑む。「仲間がいれば、恐れるものは何もない」
ミナは少し照れながらも、しっかりとリオの手を握る。「リオ、帰ってきてね。……あたしも一緒にいるから!」
世界各国の精製師たちも、次々と誓いの言葉を口にし、議場は次第に一体感に包まれていった。
だが、壇上の異界の青年は一瞬、目を細めて呟いた。
「……果たして、その“誓い”がどこまで通じるか。世界の終わりが近づく時、本当のバディだけが生き残る」
リオはその言葉に強い意志で応えた。
「なら、俺たちは何度でも立ち上がる。バディがいれば、何度倒されても立ち上がれるって証明してやる!」
議場に力強い拍手が巻き起こる。
その渦の中心に、リオたち仲間の誓いと熱い決意が輝いていた。
世界の命運をかけた、新たな戦いの幕が上がる――。
夜。
会議後の控え室で、リオはカードケースを開いてグラン=ヴァルドのカードを見つめていた。
『リオ。どんな敵が来ても、私がそばにいる』
「頼りにしてるよ、グラン=ヴァルド。……絶対に、全員で生きて帰る。俺の夢も、仲間の夢も、全部叶えるまで絶対にあきらめない」
月明かりが静かに議事堂を照らす中、リオは新たな誓いを胸に、次の戦いに向けて歩き出した。
広大な議事堂前の広場には、世界中から集まった精製師、ギルドのリーダー、各国の管理庁の要人がひしめいていた。人々の服装や言葉、手にするカードはさまざまだが、誰もが「自分の世界を守る」覚悟をまとっていた。
「すごい……世界にはこんなにも多くのカードクリエイターがいるんだ」
ミナが感嘆の声をもらす。
「これだけの人間が集まると、空気までピリピリしてるな」
カイが緊張した面持ちで周囲を見渡す。
「まるで一大祭典みたいだけど、今回は“戦い”の予感が強いわ」
ユリエルも、表情を引き締める。
ティアナやシュトラも、改めて自分たちが“世界の運命”を左右する大きなうねりの中にいることを実感していた。
議事堂の大扉が開き、レーベン長官が各国の代表と共に壇上へと上がる。彼の姿に、世界各地から集った精製師たちが一斉に静まる。
「――皆、よく集まってくれた。我々は今、未曽有の危機を前にしている。各地で発生する“異界の門”、黒いカード、そして消えた精製師たち……。だが、ここに集った皆の叡智と勇気があれば、必ず未来を切り拓けるはずだ」
大きな拍手が起こる中、リオはグラン=ヴァルドのカードをそっと握りしめていた。
(こんな時代に生まれて、こんな仲間と出会って、俺は――)
壇上にはかつてのライバルたちも顔を揃えている。ザック、ユリア、イリアス、そして異界の三人組――青年、少女、獣使い――の姿もあった。
異界の青年は一歩前へ進み、世界会議に宣言する。
「我々“アルカナの使徒”は、異界の法と誇りに従って動いている。君たちの世界の精製法には敬意を抱くが、我々は我々で“正しい未来”を目指している。いずれ道が交わるなら、互いの誇りを賭けて戦おう」
議場に緊張が走る。
だがその緊張の中で、リオはふと気づいた。青年の瞳に、敵意ではなく、どこか寂しげな色があった。
(異界の連中も、ただ“悪”ってわけじゃない――)
レーベン長官が、改めて世界の危機を語る。
「すべての精製師に告げる。これから世界中に新たな異界の門が開く危険がある。その脅威に対抗できるのは、“カードと心”を鍛えた皆の絆だけだ」
会場のあちこちから、バディ――幻獣と心を通わせる者たちが、互いのカードを掲げて誓いを立てる声が響き始める。
「俺たちは負けない!」
「どんな敵が来ても、この手で世界を守る!」
リオも自然と立ち上がり、仲間たちと顔を見合わせた。
「みんな、俺たちも“誓い”を立てよう。どんな敵にも負けない。何があっても、絶対に全員で帰るって!」
グラン=ヴァルドの声が心の奥に響く。
『リオ。お前が選んだ仲間、お前の歩んできた道。私もこの魂ごと、賭けてやろう。もう一度、この世界の希望となるために』
「ありがとう、グラン=ヴァルド。俺は、お前が相棒で本当に良かった」
カイが拳を掲げる。「全力でやるぞ、リオ!」
ユリエルが静かに頷く。「私も、自分の精製に誇りを持つ。絶対に諦めない」
ティアナも力強く。「私のカードで、みんなを支えるから!」
シュトラが微笑む。「仲間がいれば、恐れるものは何もない」
ミナは少し照れながらも、しっかりとリオの手を握る。「リオ、帰ってきてね。……あたしも一緒にいるから!」
世界各国の精製師たちも、次々と誓いの言葉を口にし、議場は次第に一体感に包まれていった。
だが、壇上の異界の青年は一瞬、目を細めて呟いた。
「……果たして、その“誓い”がどこまで通じるか。世界の終わりが近づく時、本当のバディだけが生き残る」
リオはその言葉に強い意志で応えた。
「なら、俺たちは何度でも立ち上がる。バディがいれば、何度倒されても立ち上がれるって証明してやる!」
議場に力強い拍手が巻き起こる。
その渦の中心に、リオたち仲間の誓いと熱い決意が輝いていた。
世界の命運をかけた、新たな戦いの幕が上がる――。
夜。
会議後の控え室で、リオはカードケースを開いてグラン=ヴァルドのカードを見つめていた。
『リオ。どんな敵が来ても、私がそばにいる』
「頼りにしてるよ、グラン=ヴァルド。……絶対に、全員で生きて帰る。俺の夢も、仲間の夢も、全部叶えるまで絶対にあきらめない」
月明かりが静かに議事堂を照らす中、リオは新たな誓いを胸に、次の戦いに向けて歩き出した。
0
あなたにおすすめの小説
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。
無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。
やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる