【完結】地味な村人が伝説ドラゴンをカード化したら、最強無双の人生が始まりました

50話「仲間再集結！世界を救え」

　――暴走する精製バグ、消えるカード、操られる記憶。

　世界大会の熱狂が一変したのは、ほんの一瞬の出来事だった。
　シャドウリンク幹部との死闘の余韻が残る会場に、冷たい緊張が静かに広がっていく。

　

　＊

　

　大会アリーナは“バグ事件”拡大のため、すべての対戦が一時中断。
　巨大な魔導スクリーンは「緊急メンテナンス中」の表示を繰り返し、観客たちは不安そうにざわめいていた。

　

　リオは、仲間たちを控室に呼び寄せると、管理庁スタッフに強い口調で提案した。

　

　「このままじゃ世界中の精製ネットワークまで乗っ取られる。みんな、俺たちで“バグ”を止めよう！」

　

　ミナ、ユリエル、カイ、ティアナ、シュトラ、そしてアールも、真剣な表情でうなずく。

　

　「でも……敵は見えないし、カードもどこまで使えるかわからないよ」
　アールは震える手でカードを握りしめていた。

　

　リオは大きく息を吸い込んだ。

　

　「ひとりじゃ無理だ。だから、全国の仲間に協力を頼もう！」

　

　＊

　

　その日のうちに、リオは王都各地の仲間たちへ精製ネットワークを使ってメッセージを送った。
　「みんな、俺たちの“絆”でこの危機を乗り越えよう！」

　

　魔導ネットワークを通じ、かつての大会ライバルや各地のカードギルド、村の仲間、師匠、教え子たちまで、続々と応援と参戦の返事が届く。

　

　「世界中のカードクリエイターが集まってる……」
　ユリエルが感動を隠しきれず呟いた。

　

　「俺たちだけじゃない。みんなでなら、どんな“闇”もきっと超えられる！」
　カイが力強く拳を突き上げる。

　

　村からは幼なじみのミナの家族や精製祭りの仲間も駆け付けた。
　ギルドのトップや“幻獣使い”たち、果ては王都警備隊まで――
　王都の広場は一夜にして、かつてない“精製連携戦線”の舞台となった。

　

　＊

　

　作戦会議では、ユリエルがネットワークマップを広げる。

　

　「暴走カードの発生地点はこのアリーナを中心に、北・南・東・西の4ヵ所に集中してるわ」

　

　「なら、4チームに分かれて同時に“討伐”しよう！」
　リオが即断する。

　

　仲間たちは各リーダーのもとでチームを編成。
　リオとグラン＝ヴァルドの“希望チーム”、
　カイ＆ティアナの“友情チーム”、
　ユリエル率いる“知恵チーム”、
　シュトラと警備隊の“守護チーム”――

　

　そして、アールは自分の過去と向き合いながら、“記憶修復”役として全体をサポートすることに決まった。

　

　「さあ、いよいよ本番だ」
　リオはみんなに声をかける。

　

　「カードは“想い”と“絆”の結晶だ。この世界を守れるのは、カードを信じる俺たち自身だ！」

　

　ミナがそっとリオの手を握る。「絶対に帰ってきて。みんなでまた笑おうね」

　

　リオはうなずいた。「約束だ！」

　

　＊

　

　討伐作戦は、夕闇とともに始まった。

　

　アリーナ北門――
　リオとグラン＝ヴァルドの前に、暴走した“黒き幻獣カード”が出現する。

　

　「行くぞ、グラン＝ヴァルド！」
　「吼えろ、封印竜！」

　

　竜の咆哮が闇を切り裂き、フィールドに希望の光が差し込む。

　

　敵の“暴走カード”は、記憶を喰らう異形の存在――
　グラン＝ヴァルドの翼がその本体を切り裂くと、闇の中から消えかけた“想いのかけら”が零れ落ちる。

　

　リオはかけらをカードに戻し、救い出した。

　

　「大丈夫だ、君の“心”は必ず戻る！」

　

　＊

　

　他チームのバトルも熾烈を極めた。

　

　カイとティアナは連携技「フレンド・ブレイバー」で幻獣カードを浄化し、
　ユリエルの“知恵チーム”は戦略的なトラップと分散解析でバグカードを無力化。
　シュトラたち守護チームは、街を守りながら被害者の避難誘導を続ける。

　

　仲間たちの“想い”がネットワーク上で響きあい、次々と暴走カードが浄化されていった。

　

　しかし、その最中にさらなる異変――
　アールの端末に、かつてないほど強力な“闇の波動”が検知される。

　

　「リオ！　中心部に“黒幕”が出現した！　あれは……シャドウリンクの本隊だ！」

　

　リオは叫ぶ。「みんな、全員合流だ！　ここが正念場だ！」

　

　＊

　

　王都アリーナの中央広場。
　ついにシャドウリンクの幹部と、その配下が姿を現す。

　

　「よくここまで来たな、“希望の旅団”よ」
　黒衣のリーダーが闇のカードを掲げる。

　

　「だが、“究極連携バトル”で、貴様らの絆を試してやる！」

　

　リオとグラン＝ヴァルドを中心に、仲間たちが次々とカードを展開。
　アリーナは壮絶な“連携カードバトル”の舞台と化した。

　

　リオ「いくぞ、グラン＝ヴァルド！　“希望の咆哮”！」
　ミナ「みんなで繋ごう、“想いの絆”！」
　アール「記憶修復、全力でサポートする！」

　

　カイ＆ティアナ「友情のダブルアタック！」
　ユリエル「データ解析でバグを追い詰める！」
　シュトラ「街のみんな、俺たちに力を！」

　

　カードと心と想いが光の連鎖となり、闇のカードたちを包み込んでいく。

　

　最後の一撃――
　リオとグラン＝ヴァルドの「希望の竜撃」が、シャドウリンクの闇を貫いた。

　

　広場には、静かで確かな希望の光が満ちた。

　

　「……勝ったのか？」

　

　仲間たちが見上げる空に、
　バグで消えかけたはずの“想い”が、
　再びカードとなって舞い戻ってきていた。

　

　リオは、みんなの手を握りしめて宣言する。

　

　「俺たちは、どんな“闇”にも負けない！　この世界を必ず守る！」

　

　夜明けの王都で、仲間の絆は新たな伝説となって、世界へ広がっていく――