【完結】地味な村人が伝説ドラゴンをカード化したら、最強無双の人生が始まりました

東野あさひ

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51話「暴走カード討伐作戦」

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 王都の夜明けは、まるで新たな時代の幕開けを告げるかのように、清らかで力強かった。
 リオたち“希望の旅団”が中心となって、シャドウリンクの本隊を撃退した翌日――
 王都にも、世界中にも、「暴走カード」事件の余波はまだ色濃く残っていた。

 

 *

 

 「やるぞ、みんな!」
 リオは広場に集まった仲間たちを前に、晴れやかな声で宣言した。

 

 「世界のあちこちで、まだ“暴走カード”や“幻獣暴走”事件が続いてる。このままじゃ誰も安心してカードを使えない。
 今度は、俺たちがみんなを守る番だ!」

 

 ミナが力強くうなずく。「村の子どもたちや町のみんなも、希望を忘れていないよ」

 

 カイは「各地で待ってる子どもたちに、絶対“カードの勇気”を届けてやるぜ!」と拳を振り上げ、
 ユリエルはデータ端末を操作しながら「現場ごとにバグのタイプが違うみたい。私が全体の状況をリアルタイムで監視する」と宣言した。

 

 ティアナは「幻獣たちのケアは私に任せて!」と微笑み、
 シュトラは「警備隊と連携して町を守る。住民避難も忘れるな」と冷静に指示を出す。

 

 アールは自分の胸に手を当て、「僕は、“記憶修復カード”で被害者を助ける。必ずみんなの“心”を元に戻すよ」と誓った。

 

 *

 

 作戦は一斉にスタートした。
 王都、村、地方都市、辺境の小集落――
 各地の仲間や町の人々も“希望ネットワーク”で連携し、「討伐作戦本部」として王都広場が中心拠点となった。

 

 リオはグラン=ヴァルドと共に、まずは王都近郊の小さな村へ向かった。

 

 村では、子どもたちが暴走カードにおびえて泣いていた。

 

 「大丈夫、俺がいる。みんな、カードを信じろ!」

 

 リオは「封印竜グラン=ヴァルド」を召喚し、暴走カードの黒い影を一瞬で浄化。
 「ありがとうリオ兄ちゃん!」「グラン=ヴァルド、やっぱりすごい!」
 子どもたちは歓声を上げ、次々に「希望のカード」をリオに見せてくれる。

 

 「これは“やさしいお母さんカード”」「ぼくは“みんなでおにごっこカード”!」

 

 リオはそれぞれのカードに込められた“想い”を感じ、
 「みんなの希望が、世界を救う力になるんだ」と子どもたちを励ました。

 

 *

 

 一方、カイとティアナは町の市場で暴走した幻獣カードに立ち向かっていた。

 

 「“友情パワー・スラッシュ!”」
 カイの豪快な攻撃とティアナの回復支援が見事に決まり、暴走幻獣はあっという間におとなしくなる。

 

 市場のおばちゃんが「ありがとう! やっぱり君たちが来てくれると安心するねぇ」と笑顔を見せる。

 

 町の少年少女も、「俺もカードバトラーになる!」「ティアナ姉ちゃんみたいになりたい!」と夢を語り始めた。

 

 カイは「お前らなら絶対なれるさ!」と親指を立て、
 ティアナも「みんなの優しさ、絶対にカードに込めてね」と教えていた。

 

 *

 

 ユリエルの“知恵チーム”は、王都郊外のカード研究所で、
 精製バグのデータ解析とカードの無力化作戦に挑んでいた。

 

 「このバグは、カードの“心”が薄れているほど、暴走しやすい……」
 ユリエルは住民たちにも協力を求め、
 「みなさんの“思い出”や“願い”を言葉にしてカードへ記録してください」と呼びかけた。

 

 老夫婦が「孫とまた一緒に遊びたい」、
 若者が「仲直りしたい友達がいる」、
 子どもたちが「家族みんなでごはんを食べたい」――

 

 そんな想いがカードに宿るたび、暴走カードの力が薄れ、
 やがて静かに、カードの中の“希望”が輝きだした。

 

 *

 

 シュトラと警備隊は、王都の裏通りや港町で暴走幻獣を次々と捕獲し、
 「安全確保!」「町のみんな、もう安心だ」と次々に住民たちへ呼びかけていた。

 

 その中でシュトラは、子どもたちから「シュトラさん、カッコいい!」「将来は警備隊に入りたい!」と慕われ、
 「いいか、正義の心を忘れない。それがカードの力になる」と優しく語った。

 

 *

 

 アールは記憶喪失の被害者たちに寄り添い、「記憶修復カード」を丁寧に使い続けた。

 

 「思い出せることから、少しずつでいい。大事なのは“あなたがあなたであること”。
 カードの中には、きっとあなたの想いが残ってる」

 

 失われかけた記憶が少しずつ戻り、
 被害者たちは「ありがとう、アールくん」と何度も涙を浮かべた。

 

 *

 

 日が暮れるころ、
 王都の作戦本部には各地から「討伐完了!」の報告が続々と届き始めた。

 

 「みんな、本当にありがとう!」
 リオがネットワーク越しに感謝を伝えると、
 「今度こそ、みんなで“希望精製”を広めよう!」と大合唱が巻き起こった。

 

 *

 

 討伐作戦の最後――
 リオは村の丘に立ち、グラン=ヴァルドとともに夕陽を見上げる。

 

 「みんなの希望が、こんなに広がったんだな……」

 

 グラン=ヴァルドは静かにうなずく。

 

 『お前の信じた“想い”が、世界を変えたのだ。だが、これが終わりではない。
 カードに宿る“心”が消えることのないよう、歩み続けよ、リオ』

 

 リオは拳を握りしめる。「ああ。これからも、ずっとみんなと一緒に……!」

 

 世界のどこかでまた新たな“希望精製”の灯がともるその時まで――
 希望の旅団の物語は、まだまだ続いていく。
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