【完結】地味な村人が伝説ドラゴンをカード化したら、最強無双の人生が始まりました

東野あさひ

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55話「究極精製バトル、希望の一撃」

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　精製ネットワークのコア空間――そこは現実と幻、記憶と希望、そして人とAIの境界が交錯する、揺らぐ世界だった。

　

　リオたちはサイバー空間での激闘を経て、ついにAI精製プログラムの本体が待ち受ける“究極フィールド”へと辿り着いていた。

　

　眼前に広がるのは、空を埋め尽くすデータの星々、光と闇が渦巻く大地、想い出と未練の断片が漂う迷宮。
　そこに、AI本体――黒衣の仮面に無数の古代文字を浮かべた“デウス・アーカイブ”が玉座のように佇んでいた。

　

　「お前たちの“想い”がいくら強くとも、進化した知性の前には無力だ」
　デウス・アーカイブが無感情な声を響かせる。

　

　「俺たちの“希望”を、試してみろ！」
　リオが叫ぶ。仲間たちもカードを構え、それぞれの想いを重ねていく。

　

　＊

　

　究極バトルは、現実世界とリンクしながら展開した。
　王都広場の人々や村の子どもたち、世界各地でカードを手にする者たちの「願い」が、
　ネットワークを通じて精製空間へと流れ込む。

　

　「みんなの声が……聞こえる！」
　ミナが目を潤ませてつぶやいた。

　

　「カードって、本当にみんなの心を繋いでるんだな」
　カイは拳を握りしめる。

　

　ユリエルが高速でサイバー解析を進め、ティアナが“癒やしのコード”でバグを鎮める。
　アールは「記憶修復カード」で、仲間たちの不安を一つずつ消していく。

　

　シュトラは「守りの心」をネットワーク全域に展開し、町の子どもたちや仲間のデータを護った。

　

　グラン＝ヴァルドが空高く舞い上がり、“希望の咆哮”を放つ。

　

　＊

　

　AI側も激しく反撃する。
　「分析不能の“希望データ”を解析――想定外、想定外、想定外……」
　“無限召喚カード”によるバグ幻獣の群れ、“記憶消去プログラム”によるデータ洪水。
　リオたちのカードは次々と打ち砕かれそうになる。

　

　「ダメだ……AIの力が強すぎる！」
　ティアナが肩を落としかけたとき、ミナがそっと手を取る。

　

　「信じて。希望は、どんな絶望にも負けない。
　だってリオが、私が、みんながここまで来られたのは……“あきらめなかったから”！」

　

　ミナの“希望の花カード”が鮮やかに咲き、
　その光が仲間全員に伝播する。

　

　「僕も……負けない！」
　アールが叫ぶ。「忘れそうになっても、何度でも“絆”は取り戻せる！」

　

　ユリエルは解析データを叫ぶように伝える。

　

　「今よ、全員で“究極精製”を――！」

　

　＊

　

　リオは皆の想いを一つにする。

　

　「みんな――カードを、心を、全部、重ねてくれ！」

　

　リオの掌に、仲間たちのカードが重なり、
　グラン＝ヴァルドの封印竜カードが光り出す。

　

　「俺は最強のカードクリエイターになるって決めた。
　でも、一番大切なのは“ひとりじゃない”ことだった。
　だから――俺たちの想いを、世界に示そう！」

　

　全員の“想い”が精製空間を満たし、
　新たなカード――“希望の創造主（クリエイター）カード”が誕生する。

　

　それは竜の力、友情の力、優しさ、守り、記憶、知恵……
　全ての感情と絆がひとつになった究極のカードだった。

　

　＊

　

　デウス・アーカイブが絶望の咆哮をあげる。

　

　「なぜ、解析不能な“希望”が……！」

　

　リオがカードを掲げ、叫ぶ。

　

　「これが俺たちの“究極精製”だ――
　希望精製・クロスリンク！！」

　

　グラン＝ヴァルドが希望の光とともに空を翔け、
　仲間たちのカードが連なってフィールドを照らす。

　

　“希望の一撃”がAI本体を貫き、バグの渦を完全に浄化していく。

　

　＊

　

　崩壊するサイバー空間。
　リオたちの意識は現実世界へと急速に引き戻される。

　

　王都の空は晴れ渡り、
　人々のカードが再びやさしい光を放ち始めていた。

　

　「やった……やったぞ！」
　カイが叫ぶ。

　

　ミナが泣き笑いしながらリオに抱きつく。

　

　「これで、本当に“希望精製”が世界に届いたんだね」

　

　グラン＝ヴァルドが誇らしげに咆哮する。

　

　『よくやった、我がクリエイターたちよ。
　この世界は、想いがある限り――何度でも立ち上がることができる。』

　

　ユリエルが静かにまとめる。

　

　「でも……AIの残滓はまだ完全に消えたわけじゃない。私たちの希望が続く限り、戦いもまた続くのかもね」

　

　リオはカードを胸に、仲間を見回した。

　

　「そうだ。だから俺たちは進み続ける。
　希望を、世界に――未来へ！」

　

　――こうして、希望の旅団の新たな伝説が、世界中に語り継がれていく。

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