【完結】地味な村人が伝説ドラゴンをカード化したら、最強無双の人生が始まりました

東野あさひ

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69話「グラン=ヴァルドVS古代幻獣」

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 アルカナシティ郊外――
 新大陸の奥深く、かつて“精製文明”が栄えたという遺跡地帯が広がっていた。

 

 精製競技会の混乱もひとまず収束し、リオたち希望の旅団は、精製連盟からの依頼で「精製ネットワークの異変調査」を行うことになった。

 

 「この先が、遺跡の最深部……?」
 アールが不安げに端末を手に進む。

 

 「うん。新世界の精製技術のルーツが、この遺跡に眠ってるらしい」
 ユリエルが新たな解析カードを起動する。

 

 ティアナは、心なしか空気の重さを感じて身震いした。
 「妙な気配がする……ただの遺跡じゃない」

 

 リオはグラン=ヴァルドのカードを握りしめ、慎重に歩みを進めていく。
 その傍らにはミナとレイナが並ぶ。

 

 「みんな、気をつけて。何か強大な力が眠ってる……!」

 

 仲間たちの緊張感の中、朽ちた石柱の向こうに、巨大なドーム状の空間が広がっていた。

 

 中央に鎮座するのは、まるで“神殿の守護獣”のような巨大な石像――
 だがその目が赤く輝いた瞬間、地響きとともに封印が解かれた。

 

 「動いた……!」

 

 石像の体にまとうオーラが脈打ち、
 やがて“原初幻獣”――精製時代の始まりに生まれたと伝えられる、伝説級の幻獣が復活する。

 

 全身を覆う古代の紋章、いくつもの尾と角、空間すら歪める威容――
 その姿を見て、グラン=ヴァルドですら思わず息を呑んだ。

 

 『あれは……遥か昔、私と同じ時代を生きた“原初の王”……!』

 

 リオも激しいプレッシャーに膝をつきそうになる。

 

 「グラン=ヴァルド、俺たちで立ち向かうんだ!」

 

 リオが叫び、カードを掲げる。

 

 「精製・守護竜グラン=ヴァルド、召喚――!」

 

 青白い光とともに、グラン=ヴァルドが遺跡の中央へと降臨した。
 だが、原初幻獣の放つ圧倒的な“威圧”は、通常の幻獣とは比べものにならない。

 

 「いくぞ、グラン=ヴァルド!」

 

 原初幻獣の咆哮が響き渡り、空間そのものが震える。
 周囲の精製結界が次々にひび割れ、仲間たちも思わず後退した。

 

 「これが……伝説よりも古い力……」

 

 ユリエルが唇を噛む。

 

 「大丈夫、リオとグラン=ヴァルドなら――!」

 

 ミナの声援が届く。

 

 バトルが始まる。

 

 原初幻獣は、まず尾で地を叩き、衝撃波を放つ。
 グラン=ヴァルドが翼を広げ、仲間を庇いながら防御する。

 

 『リオ、私の力でも、正面からは押し負ける……!』

 

 「大丈夫、必ず突破口がある!」

 

 リオは自分の精製カードを次々と展開する。
 だが、原初幻獣は人間の精製カードを無効化する“古代結界”を身にまとっていた。

 

 「このままじゃ、グラン=ヴァルドまで……!」

 

 グラン=ヴァルドが古代の炎を吐き、原初幻獣と激しくぶつかる。
 だが、相手の肉体はまるで“精製バグ”そのもの――通常の攻撃は傷一つ付けられない。

 

 その時、リオはひらめいた。

 

 「……俺たちの“想い”を、もっと強くカードに――!」

 

 レイナが叫ぶ。「リオ、私の“心のカード”を使って!」

 

 リオはレイナ、ミナ、仲間たちのカードを全て束ねて重ね合わせた。

 

 「合体精製――希望の絆!」

 

 カードが一体化し、虹色の光となってグラン=ヴァルドに宿る。

 

 『なんだ、この力は……! リオ、みんなの想いが、私を新たな“進化”へと導く――!』

 

 グラン=ヴァルドの体が発光し、新たな鎧と翼が生える。
 竜の咆哮が遺跡全体を揺るがす。

 

 「今だ、グラン=ヴァルド! “みんなの想い”を力に、原初幻獣を超えて――!」

 

 進化したグラン=ヴァルドが、原初幻獣の懐へ飛び込む。
 両者の力が激突し、光の奔流が遺跡を包む。

 

 そして――
 原初幻獣の結界が砕け、グラン=ヴァルドの一撃が核心を貫いた。

 

 咆哮とともに原初幻獣は浄化され、その巨体が静かに崩れ落ちる。
 遺跡の空間に静寂が戻った。

 

 「やった……!」

 

 仲間たちが駆け寄る。
 グラン=ヴァルドは息を荒げながらも、リオのそばで静かに頭を垂れた。

 

 『リオ……お前がいなければ、私はあの“闇”に飲まれていたかもしれぬ。ありがとう』

 

 リオは汗と涙に濡れた頬をぬぐい、力強く頷いた。

 

 「俺たちなら、どんな壁も超えられる。みんながいれば、絶対に負けない!」

 

 レイナもミナも、そっとリオの肩に手を置いた。

 

 「これからも、みんなで前に進もう――新しい希望の時代へ!」

 

 崩れた遺跡に差し込む光の中、
 希望の旅団の物語は、さらに大きなうねりを迎えようとしていた。
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