【完結】地味な村人が伝説ドラゴンをカード化したら、最強無双の人生が始まりました

東野あさひ

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71話「異世界精製師との遭遇」

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 アルカナシティの精製祭りは、夜を迎えてもなお熱気に包まれていた。
 村の精製師たちや子供たちが広場でカードバトルを楽しみ、伝説の勇者リオたちの活躍は街中の話題になっている。

 

 リオはミナ、レイナ、仲間たちと連れだって広場の端に腰掛け、祭りの喧騒を静かに眺めていた。
 昼間のアルカナ族の預言――そしてミナの“巫女”としての目覚め――皆が心の奥に、目に見えない高揚と不安を感じていた。

 

 「世界の危機、か……。どうすればいいんだろうな」

 

 カイが焼き鳥を頬張りながらぼやくと、アールは「でも、預言者さんは“希望の精製”が道を開くとも言ってた」と返した。

 

 「みんなで力を合わせれば、きっと未来は変えられるよ」

 

 ミナが微笑む。

 

 その時だった。
 広場の中心に、不思議な“歪み”が現れた。
 空間がきらきらと歪み、虹色の光が集まる。

 

 「な、なに……?」

 

 ユリエルが身構える。

 

 次の瞬間――
 光の渦の中から、異国の衣装に身を包んだ四人組が現れた。
 彼らは明らかにこの世界の住人ではない、不思議な雰囲気と威圧感を放っていた。

 

 「誰だ、お前たちは――!」

 

 シュトラが警戒する。
 カイも身構える。

 

 しかし、異世界からの使者と思しき青年――白銀の髪と翡翠の瞳のリーダーが、落ち着いた声で答えた。

 

 「我らは“パラレルワールド”の精製師。“アルカナ・リンク”に導かれ、あなた方の世界に招かれました」

 

 彼の名は“ラディウス”。
 その後ろには、優雅な巫女装束の少女、褐色肌の戦士、幼い天才精製師が並ぶ。

 

 「異世界の……精製師?」

 

 レイナが息を呑む。
 ミナも直感的に、彼らの“精製力”が自分たちとはまったく違うルールで動いていると感じた。

 

 「こちらの世界のカード、面白いね。
 だが、私たちの“ルール”では、カードは“意志”ではなく“演算”で操るものだ」

 

 幼い精製師、エルが小さな機械カードを掲げると、広場の空気がピリリと変わった。
 カードが勝手に組み替わり、幻獣たちがまるでプログラムのように現れる。

 

 「なんだ、この感覚……!」

 

 アールが驚愕する。

 

 「精製の“心”じゃなく、完全な“ロジック”……」

 

 ミナが顔をしかめる。

 

 ラディウスが言った。

 

 「この世界の精製師とバトルを望む。もし我々が勝てば、世界の“精製権”を引き継ぐ。
 負ければ、我々はこの世界を去ろう」

 

 静寂と緊張が広場を包む。

 

 「受けて立つよ!」
 リオが即座に名乗り出た。

 

 「俺たちの精製は“心のつながり”が力。ロジックだけじゃない“想い”でバトルする!」

 

 ラディウスは口元に薄い笑みを浮かべた。

 

 「ならば見せてもらおう。君たちの“心の精製”とやらを」

 

 *

 

 バトルフィールドが展開される。
 ラディウスはAIカード「クロノ・タイタン」を召喚。
 圧倒的な計算力と速度で、次々と盤面を制圧していく。

 

 「すごい……このスピード、反応が完全に“人間離れ”だ!」

 

 リオもグラン=ヴァルドを召喚。
 だが、プログラム幻獣の合理的な攻撃と絶妙な連携に苦戦する。

 

 「リオ、落ち着いて! 私たちの“声”が届くはず!」
 ミナが必死に呼びかける。

 

 「そうだ、“心”で繋がれば――!」

 

 リオは仲間たちの想いを全てカードに重ね、グラン=ヴァルドに込める。

 

 『リオ、私はお前と皆の“想い”を力に変える!』

 

 精製フィールドに、仲間の声と光があふれる。

 

 「みんな――ありがとう!
 “希望の精製”クロスオーバー、発動!」

 

 グラン=ヴァルドが虹色のオーラを纏い、AI幻獣たちのロジックを圧倒していく。
 次々と仲間のカードも連携して発動し、ついにクロノ・タイタンを包み込む。

 

 ラディウスのAIカードが一瞬、動きを止めた。
 「この“揺らぎ”……心の力、か……」

 

 最後はグラン=ヴァルドの咆哮が広場を満たし、
 パラレルワールドの精製師チームは静かにカードを下ろした。

 

 「――我らの敗北だ。だが、君たちの精製には確かに“未来”があると知った」

 

 リオは息を切らしながら、ラディウスと固く握手を交わした。

 

 「異世界でも、心はつながるんだな」

 

 「――ああ。また、どこかで必ず会おう」

 

 夜空に、再び虹色の光が舞った。
 異世界の精製師たちは笑顔で手を振りながら、
 自分たちの世界へと帰っていく。

 

 仲間たちも、ミナも、レイナも、誇らしげにリオを見つめていた。

 

 「リオ、やったね。これが“心の精製”だよ」

 

 「うん。これからも俺たちは、どんな世界でも“心”を信じて戦う」

 

 祭りの夜、希望の旅団は新たな絆と自信を胸に、
 世界の危機へと立ち向かう覚悟を新たにした。
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