私に濡れ衣を着せてまで、妹と結ばれたかったんですね? ですが……

青杉春香

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やっと奴らが居なくなって清々した。

現状、拘束されている身とはいえ、それでも貴族だ。

衣食住にはなんら困らない部屋で生活をしている。

あと3日か……何かよい復讐手段を考えなければならない。

もしこのまま追放されなんてしたら、死んだ方がマシな生活を強いられることになるだろう。

それだけは避けたいのだ。

やれるだけのことはやって、他国についたとしても不自由ない生活を送りたい。

私は罪を犯すような真似は決してしてないのだから、そう思うのも傲慢ではないだろう。


とはいえ、妹と離れることだけは少し寂しさを覚える。


私の周りにはロクでもない人間が揃いも揃っているが、妹だけは違う。

こんな環境でも腐らず、純粋な心で居続けたのだ。

私のことを信じているというのも、嘘ではなく本心からの言葉を不思議とわかる。


もしもの話ではあるけれど、あの子が力を貸してくれれば何か助かる方法も見つかるかもしれない。

そして私を貶めた、本当の罪深い奴らに必ず罪を償ってもらうんだ。


なんて意気込みながら、しばらくすると部屋をノックされた。

「かまわないわ」

「失礼します。アイリス様にこのような手紙が届いたのですが、差出人が不明で……」

大罪人扱いされている私だけれど、門衛はいつもと変わらず対応をしてくれる。

ありがたい。

それはともかく手紙を受け取ったので、中身を見てみることにした。

差出人は不明。しかも、このタイミングで送られてくるなんて何かしらの罠か、嫌な予感しかしないのだけれど……。

予想は的中しなかった。

なぜなら、この手紙はおそらく妹からなのだ。





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