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加害者少女D子の家
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教育長が去った後、青葉はまだ悔しそうに歯ぎしりしていた。
「あの野郎…」
「落ち着けよ春也。まだ取材は残ってるんだから」
言うと敏雄は車の助手席のドアを開けて、青葉にそこに座るように誘導した。
「そうですけど…」
青葉は納得いかないといった顔をしつつも、従順に助手席に乗り込み、シートベルトをつけ、ドアを閉めた。
敏雄は運転席に移動するとドアを閉めて、青葉と同じようにシートベルトをつけた。
「次は加害者宅を回るぞ。10人いるうち、8人の住所と名前と年齢がリークされてる。そのうち、主犯格の女子中学生と他校生の2人はもう取材したし、地取り(聞き込み取材)もできてるから、次は関わった小学生の子の方に行くぞ」
「わかりました」
青葉は不服そうな顔をしたまま、愛想の無い返事をした。
加害者少女グループは中学生4人、小学生が6人の合計10人で成り立っており、今から取材するのは小学生のメンバーの中でもとりわけ積極的に加害行為を行っていたという女子生徒だった。
敏雄はこの女子生徒を仮名D子とし、ここから車で5分ほどの距離に位置する彼女の家に向かった。
D子の家は、どこにでもあるような閑静な住宅街の真ん中にある一軒家で、これといった特徴もない。
そのせいで敏雄は、「本当にここであっているのか」と何度も確認した。
現在、夕方16時。
「降りるぞ。この時間帯なら、子どもも親も帰ってきてるはずだ」
「ええ」
車をそばの空き地に駐車すると、2人は車を降りて、D子の家のインターホンを押した。
「……はい」
かなり間が空いてから、成人女性の声が聞こえた。
おそらくD子の母親であろう。
「週刊文士です。お話伺ってもよろしいでしょうか?」
「帰ってください!もう散々答えてるんですから!!」
身分を明かすなり、母親がヒステリックに喚いた。
この言い様から察するに、ほかの新聞や雑誌記者からも取材を受けた可能性が高い。
「5分程度で結構ですから」
「帰ってください!」
母親はまだ喚き続ける。
「逃げるんですか⁈」
今度は青葉が喚いた。
「いい加減にしてよ、しつこいわね!警察呼ぶわよ!!」
とうとう敬語が崩れて、返答というよりは脅しにも近い言葉を放り投げてきた。
「わかりました。では警察官が駆けつけたら、その人に今回の事件で何か知っていることがないか聞くことにしますね」
感情的になって怒鳴った青葉に若干の不満を抱きつつ、敏雄は続けた。
「……わかりました。ちょっとだけ待っててください」
脅しに脅しで返されるような形となり、D子の母親はとうとう観念したようだ。
インターホンが乱暴にガチャリと切られたかと思うと、かすかな足音が聞こえてきて、玄関ドアが開けられた。
もっとも、ドアチェーンをつけたままではあるが。
したがって、ドアの隙間はわずか10センチほど。
もっと狭いかもしれない。
その隙間から、D子の母親と思わしき女性が眉間にシワを寄せて、猜疑心に満ち満ちた瞳で睨むように見つめてきた。
「お話って何でしょうか?」
D子の母親が、ギスギスした声色で2人に問いかけてくる。
「まず、門の中に入っても構いませんか?ここだと声が上手く拾えないので」
これは本当だった。
門から玄関ドアまで、約1メートル半。
向こうの声は敏雄の耳にはしっかり入っているものの、これだけの距離があると、バッグに忍ばせてあるレコーダーが拾えるかわからない。
「……どうぞ」
いかにも渋々といった様子で、D子の母親は門内に入るのを許可した。
「あの野郎…」
「落ち着けよ春也。まだ取材は残ってるんだから」
言うと敏雄は車の助手席のドアを開けて、青葉にそこに座るように誘導した。
「そうですけど…」
青葉は納得いかないといった顔をしつつも、従順に助手席に乗り込み、シートベルトをつけ、ドアを閉めた。
敏雄は運転席に移動するとドアを閉めて、青葉と同じようにシートベルトをつけた。
「次は加害者宅を回るぞ。10人いるうち、8人の住所と名前と年齢がリークされてる。そのうち、主犯格の女子中学生と他校生の2人はもう取材したし、地取り(聞き込み取材)もできてるから、次は関わった小学生の子の方に行くぞ」
「わかりました」
青葉は不服そうな顔をしたまま、愛想の無い返事をした。
加害者少女グループは中学生4人、小学生が6人の合計10人で成り立っており、今から取材するのは小学生のメンバーの中でもとりわけ積極的に加害行為を行っていたという女子生徒だった。
敏雄はこの女子生徒を仮名D子とし、ここから車で5分ほどの距離に位置する彼女の家に向かった。
D子の家は、どこにでもあるような閑静な住宅街の真ん中にある一軒家で、これといった特徴もない。
そのせいで敏雄は、「本当にここであっているのか」と何度も確認した。
現在、夕方16時。
「降りるぞ。この時間帯なら、子どもも親も帰ってきてるはずだ」
「ええ」
車をそばの空き地に駐車すると、2人は車を降りて、D子の家のインターホンを押した。
「……はい」
かなり間が空いてから、成人女性の声が聞こえた。
おそらくD子の母親であろう。
「週刊文士です。お話伺ってもよろしいでしょうか?」
「帰ってください!もう散々答えてるんですから!!」
身分を明かすなり、母親がヒステリックに喚いた。
この言い様から察するに、ほかの新聞や雑誌記者からも取材を受けた可能性が高い。
「5分程度で結構ですから」
「帰ってください!」
母親はまだ喚き続ける。
「逃げるんですか⁈」
今度は青葉が喚いた。
「いい加減にしてよ、しつこいわね!警察呼ぶわよ!!」
とうとう敬語が崩れて、返答というよりは脅しにも近い言葉を放り投げてきた。
「わかりました。では警察官が駆けつけたら、その人に今回の事件で何か知っていることがないか聞くことにしますね」
感情的になって怒鳴った青葉に若干の不満を抱きつつ、敏雄は続けた。
「……わかりました。ちょっとだけ待っててください」
脅しに脅しで返されるような形となり、D子の母親はとうとう観念したようだ。
インターホンが乱暴にガチャリと切られたかと思うと、かすかな足音が聞こえてきて、玄関ドアが開けられた。
もっとも、ドアチェーンをつけたままではあるが。
したがって、ドアの隙間はわずか10センチほど。
もっと狭いかもしれない。
その隙間から、D子の母親と思わしき女性が眉間にシワを寄せて、猜疑心に満ち満ちた瞳で睨むように見つめてきた。
「お話って何でしょうか?」
D子の母親が、ギスギスした声色で2人に問いかけてくる。
「まず、門の中に入っても構いませんか?ここだと声が上手く拾えないので」
これは本当だった。
門から玄関ドアまで、約1メートル半。
向こうの声は敏雄の耳にはしっかり入っているものの、これだけの距離があると、バッグに忍ばせてあるレコーダーが拾えるかわからない。
「……どうぞ」
いかにも渋々といった様子で、D子の母親は門内に入るのを許可した。
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