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彼の名前
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「え…んんッ!」
いきなり唇を塞がれた。
酸素が入りにくくなったものだから、頭が回らない。
にわかに頭がクラクラして、体の力が抜けていく。
「んん~ッ!ぷはっ…」
唇が離されると、真広は即座に息を吸い込み、酸素を脳に送った。
それでもなお頭はクラクラしていて、酩酊したような感覚は抜けきらない。
「ふふふ。ごめん、苦しかった?」
そんな真広の様子が面白かったのだろうか。
彼がいたずらっぽく笑った。
──この人、こんな顔するんだ…
上手く回らない頭の端で、真広はそんなことを考えた。
彼には、いつも厳しい顔をしている印象を抱いていたから、意外に感じたのだ。
「ほら、ボーッとするんじゃないよ!」
彼がまた体を揺さぶって、真広の体を抉ってきた。
「ふえッ⁈あうッ…ああっ!」
体の奥から何かが迫り上がっていくような感覚に見舞われた真広は、おかしな声を出した。
以前にも味わった、あの感覚だ。
「あああ~ッ♡!」
無意識に出た高い声が、部屋に充満する。
同時に、真広は自身の精液で腹を汚した。
込み上げてきた感覚が、最高潮に達して爆ぜたのだ。
行為も2度目となると少し慣れたのか、以前と違って意識を手放すことはなかった。
「いま抜くぞ」
「へ…?あ、はい!」
彼の声に、真広はふと我に帰った。
「力を入れないで。息を深く吐いて」
言われた通りにハーっと息を吐くと、彼が体を後ろに引いて、男根がゆっくりと抜かれていく。
男根が体から抜けていく感覚に、だんだん頭が冴えてきた。
──ああ、終わったのか…
少し残念な気持ちに見舞われながら、真広は彼をジッと見つめた。
「体を拭くよ。ジッとしててね」
彼が、ベッド脇に置かれていたティッシュを数枚取ると、精液で汚れた真広の股を拭いた。
真広はネットで見た「行為が終わって冷静になったときに、相手のことを考えて動ける男は有能」という見解を思い出した。
なるほど、確かに。
射精後でこんなに体が怠いときに、相手を気遣うなんてこと、滅多にできることではない。
──仕事できるタイプだろうなあ…
なんとなく、そんなことを考えた。
同時に、少しだけ、ほんの少しだけでも、彼のことを知りたいという気持ちが芽生えてきた。
「あのう…」
「うん?」
「お名前、教えてくれませんか?」
言ってしまった後の、驚いた彼の顔を見て、真広はハッとした。
「あ、すみません!えっと…」
こんなことを聞くべきではないかもしれない、と真広は思った。
彼は遊びで自分とこんなことをしているのだから、余計なことを聞くべきじゃない。
しかし、もう手遅れだ。
一度出した言葉は取り消せるものではない。
ああ、どうしようかと焦っているうちに、彼の口がゆっくり開いた。
「俺はね、五井創一郎というんだよ」
「五井さん…」
真広はうっとりと、教えられた名前を口に出してみた。
気分が高揚して、天にも昇るような心地になる。
少し前までは、彼の家にお邪魔したり、彼に抱かれたり、彼の名前を知ることなんて考えられなかった。
「ところで、きみの名前は?」
いきなり唇を塞がれた。
酸素が入りにくくなったものだから、頭が回らない。
にわかに頭がクラクラして、体の力が抜けていく。
「んん~ッ!ぷはっ…」
唇が離されると、真広は即座に息を吸い込み、酸素を脳に送った。
それでもなお頭はクラクラしていて、酩酊したような感覚は抜けきらない。
「ふふふ。ごめん、苦しかった?」
そんな真広の様子が面白かったのだろうか。
彼がいたずらっぽく笑った。
──この人、こんな顔するんだ…
上手く回らない頭の端で、真広はそんなことを考えた。
彼には、いつも厳しい顔をしている印象を抱いていたから、意外に感じたのだ。
「ほら、ボーッとするんじゃないよ!」
彼がまた体を揺さぶって、真広の体を抉ってきた。
「ふえッ⁈あうッ…ああっ!」
体の奥から何かが迫り上がっていくような感覚に見舞われた真広は、おかしな声を出した。
以前にも味わった、あの感覚だ。
「あああ~ッ♡!」
無意識に出た高い声が、部屋に充満する。
同時に、真広は自身の精液で腹を汚した。
込み上げてきた感覚が、最高潮に達して爆ぜたのだ。
行為も2度目となると少し慣れたのか、以前と違って意識を手放すことはなかった。
「いま抜くぞ」
「へ…?あ、はい!」
彼の声に、真広はふと我に帰った。
「力を入れないで。息を深く吐いて」
言われた通りにハーっと息を吐くと、彼が体を後ろに引いて、男根がゆっくりと抜かれていく。
男根が体から抜けていく感覚に、だんだん頭が冴えてきた。
──ああ、終わったのか…
少し残念な気持ちに見舞われながら、真広は彼をジッと見つめた。
「体を拭くよ。ジッとしててね」
彼が、ベッド脇に置かれていたティッシュを数枚取ると、精液で汚れた真広の股を拭いた。
真広はネットで見た「行為が終わって冷静になったときに、相手のことを考えて動ける男は有能」という見解を思い出した。
なるほど、確かに。
射精後でこんなに体が怠いときに、相手を気遣うなんてこと、滅多にできることではない。
──仕事できるタイプだろうなあ…
なんとなく、そんなことを考えた。
同時に、少しだけ、ほんの少しだけでも、彼のことを知りたいという気持ちが芽生えてきた。
「あのう…」
「うん?」
「お名前、教えてくれませんか?」
言ってしまった後の、驚いた彼の顔を見て、真広はハッとした。
「あ、すみません!えっと…」
こんなことを聞くべきではないかもしれない、と真広は思った。
彼は遊びで自分とこんなことをしているのだから、余計なことを聞くべきじゃない。
しかし、もう手遅れだ。
一度出した言葉は取り消せるものではない。
ああ、どうしようかと焦っているうちに、彼の口がゆっくり開いた。
「俺はね、五井創一郎というんだよ」
「五井さん…」
真広はうっとりと、教えられた名前を口に出してみた。
気分が高揚して、天にも昇るような心地になる。
少し前までは、彼の家にお邪魔したり、彼に抱かれたり、彼の名前を知ることなんて考えられなかった。
「ところで、きみの名前は?」
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