ハートの瞳が止まらない

若目

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それからのこと

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「こら、待ちなさい」
「え?」
彼に呼び止められて、真広は反射的に振り返った。

「荷物忘れてるよ」
「あ…」
彼が真広のバッグを手渡してきた。
そういえば、衣服と一緒にバッグも脱衣所に置いたのだった。

どうやら彼は、真広がシャワーを浴びている間に荷物を移動させていたらしかった。

「すみません…」
真広は照れ臭くて、顔から火が出る思いだった。
「うん、もう忘れ物はないね?」
「はい、大丈夫です。失礼します」
真広が会釈して立ち去ろうとすると、彼は玄関までついてきた。

「送っていこうか?」
真広が足を靴にはめ込んでいる間に、彼が玄関ドアを開けた。

「あ…大丈夫です、家は近いですから。さよなら!」
通りやすいように開けてくれていた玄関ドアをくぐって、真広は急ぎ足で彼の家を出て行った。



──────────────────────

真広は自宅マンション前にまでたどり着くと、駐輪場に自転車を停めた。

エレベーターに乗って玄関ドアの前まで駆けていくと、それに伴って心拍数が上がる。
それこそ、彼の家を出てから自転車を漕いでいる間も、心臓は高鳴って止まる気配がなかった。


玄関ドアに手をかけて中に入ると、麹の匂いが鼻腔をくすぐってきた。
たぶん、これは豚汁の匂いだ。
リビングからは複数の話し声がしてくる。
おそらく両親がすでに夕食を食べ始めていて、テレビを見ながら談笑しているのだろう。

真広は靴を脱ぐと、廊下とキッチンを隔てる引き戸を開けた。
「た、ただいま…」
「ああ真広。おかえりー」
案の定、すでに夕食を摂っていた母親が振り返って真広に応えた。

「真広の分、キッチンに置いてあるからね」
母親が箸を進めつつ、キッチンの方を指差す。
「うん、ありがと」
母親の言うとおり、キッチンの調理スペースに真広の分の夕飯がトレーに置かれていた。

真広はバッグをその辺りに下ろすと、トレーを持ち上げてテーブルまで運んだ。
両親は食べながらバラエティー番組を見ていて、ときどき画面に映っているタレントの言葉に反応して、テレビに向かってダメ出しの言葉を放つ。

──この2人、まさか息子が処女喪失したなんて夢にも思っていないだろうな…

冷めた夕食をもそもそ咀嚼しながら、両親の問いかけにときどき返事しながら、真広はそんなことを考えた。

何も知らない両親を横目に、真広は次に会う日をいつにするかばかり考えていた。


──────────────────────

夕食を終えて、入浴を済ませた真広はすぐにベッドに入った。
しかしなかなか寝つけない。
身体中が熱くてしかたないのだ。

彼に触れられた感触がまだそこかしこに残っているような気がして、腰の奥から体が昂ってくる。

真広は思わず、自分の股に手を伸ばして、彼に倣うような手つきでそこを愛撫した。

「んっ、ふ…」
彼の家で、彼にされたことすべてを思い出して、真広は無我夢中で男根を扱いた。
尾骨びこつのあたりが異様に疼く。
まるで、彼に体の奥を弄られた感覚がまだそこに居残っているようだった。
扱いているうちにだんだん昂ってきて、絶頂が迫ってくる。











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