ハートの瞳が止まらない

若目

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恍惚と煩悶

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「え…あっ♡」
次の瞬間、昂ってすっかり起き上がった真広の男根を、五井が口に含んだ。

「ご、ごいさんっ」
思わず五井の頭を掴みそうになったが、五井の頭皮に爪を立てることに躊躇いを感じて、真広は空中で手を止めた。
そうこうしているうちに、チュッというかわいらしい反面、卑猥な音が聞こえた。
五井の唾液と真広の粘膜が擦れる音だ。
次の瞬間、真広は男根から腰、背中から脳天まで、痺れるような感覚に見舞われた。
頭がクラクラして、まったくと言っていいほど働かない。

「あっ…あうッ♡ううっ!」
五井は強弱をつけて吸いついたり、先端を舌で突いたりするように舐めてきた。
「ごいさんっ、ぼくっ、だめっ!」
真広はあっけなく達してしまった。
おそらく、今までで一番速く達したと思う。

達した余韻で真広はすっかり脱力し、ベッドの上で大の字になった。
鼓動は激しく脈打ち、鼻と口から空気が出たり入ったりを繰り返す。

五井が口を離したかと思うと、開けた口から真広が吐き出した精が流れ出てきた。
「あ…五井さん……」
やってしまった、と真広はあせったが、五井はかなり落ち着いた様子で、そばに置いてあったティッシュを数枚抜き取ると、口の周りを拭いた。

「大丈夫?痛くなかったかい?」
「…はい、あの、五井さんは……」
「コレくらい平気だよ。ちょっとうがいしてくるから、休んでなさい」
それだけ言うと、五井は寝室を出ていった。

──すごかったな…

真広が行為の余韻に浸る間もなく、五井は水の入ったペットボトルを片手に戻ってきた。
「よかったら飲みなさい」
「あ…ありがとうございます」
真広はペットボトルを受け取ると、フタを開けて一気に飲み干した。

真広は動揺と驚きのあまり、かなりの汗をかいていた。
そのせいで、喉がカラカラに渇いていた。
五井はそれを早々に察して、わざわざ水を持ってきてくれたらしい。
そんな五井のささやかな気づかいに、真広はまた胸がときめくのを感じた。


この関係に、いまだにはっきりとした名前はない。
真広が一方的に好意を持ち、一方的に想いを告げて、一方的に家に来て、事に及んでは帰る。
それだけの関係だ。

真広はいまだに五井のことをよく知らないし、おそらく五井も真広のことなどあまり知らないと思う。
なんなら、五井は自分に大した興味などないのだと、真広は思う。
なぜなら、五井は真広のことについて何か聞いてきたことが一度もないから。


五井のような経験豊富な男からしてみたら、自分のような学生なんてまだ子どもみたいなものだろう。
きっと五井は、その子どもの戯言に気まぐれで付き合ってくれているのだ。
だから真広は最近、五井のことをアレコレ詮索するのをやめた。

それでも、こんなふうに優しくされてしまうと、ついつい考えてしまう。
ひょっとしたら、少しは好意的に思ってくれてるんじゃないか、ちょっとくらいは甘えたことを言ってもいいんじゃないか、もう少しだけでも五井の仕事や私生活について聞き出していいんじゃないか。

そうやってアレコレ考えて、結局この日も真広は何も聞かずに帰っていった。








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