ハートの瞳が止まらない

若目

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ショッピングモールにて

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五井が向かった先は、五井のマンションから十数キロ離れた大型ショッピングモールだった。
4階建で最上階に映画館があり、2階と3階には若者向けのブランドショップやアクセサリーショップ、書店やゲームセンター、雑貨店なんかがあって、1階はレストラン街になっている。

五井は特に迷った様子もなく、スムーズに地下駐車場にセダンを進めていく。
これを見るに、五井はここには行き慣れているのかれもしれない。

──誰かとここに行ったことあるのかな?

真広はふと、そんなことを考えた。
五井のように渋くてカッコいい大人が、こんなどこにでもあるようなショッピングモールに出入りするなんて、意外だと思ったのだ。
なんとなくなのだけれど、五井は繁華街の片隅にひっそり建っているようなオシャレなバーだとかに行くイメージがあった。
もっとも、そんなところがあるのかどうか、真広は全然知らないが。

いろいろ考えているうちに、セダンが停まった。
「ほら、降りて」
「…はい」
真広は五井に言われるまま、セダンから降りた。
何気なく周囲を見回してみると、駐車場が案外混み合っていることに驚く。
休日の昼間からならまだしも、平日の夕方ならそんなに人はいないだろうという先入観があったから、真広は意外に思った。

「ここは初めてかな?」
歩き出した五井に続いて、真広も足を進める。
「いえ、来たことあります。ここ、ぼくが小学生のときからあるし。最近はあまり行ってないけど、小中学生の頃は同級生とか親とかと、よくここに来ました」
真広はこのショッピングモールでの思い出を、頭の中で反芻した。
このショッピングモールは、このあたりの学生やファミリー層がよく出入りしていて、ときどき子ども向けのイベントが開催されることもあり、幼い頃はそれに参加したこともある。
高校に上がってからも、見たい映画があるときは大体ここに来ていた。

五井の後に続いてショッピングモール内に
「五井さんはよくここに来るんですか?」
「そうだな、映画見るときはだいたいここだ」
「…どんな映画を?」
「ジャンルは特に。キミは?」
「えーと…」
映画なんて、久しく見ていない。
最近見た映画はどんなだっけ。
制服姿の学生グループやひとりで歩くサラリーマン風の男性が行き交う様子を横目で流しながら、真広は過去の記憶を反芻してみた。

「あ、アニメの映画とか、そんなんですね」
迷い迷って、出た返答がそれだった。
実際、最近映画を見たのは半年から1年くらい前のことだ。
高校の同級生と久しぶりに会ったときに、よかったら映画でも見に行こうと誘われて、付き合いで見に行ったのだった。

「そうか。映画館はこっちだ。ここ上がって4階だな」
言いながら、五井がエスカレーターのある方向を指差す。
案内板を見ずにスムーズにエスカレーターに向かう五井の後ろにつきながら、真広はまた辺りを見回した。

少し向こうに、自分と同じくらいの若い男のグループがそぞろ歩いているのが見えた。
4人で固まって歩きながら、何やら談笑しているその中に、よく見知った顔があった。
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