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直生について
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「じゃあ、なおのこと私は結婚相手に向いてないかと…」
「うーん、まあ、成上さんと花比良さん、そんなに歳離れてないですしね…」
間中の言葉に、総治郎はまた驚かされた。
間中は総治郎より一回り歳上だし、そんな間中の知人というからには、花比良家の主人も間中と同い年くらいだと思っていた。
したがって、その息子だってもう少し歳上なのだろうと踏んでいたし、どう若く見積もっても、せいぜい30代半ばくらいだと仮定していた。
それだけに、総治郎には20代の若者と結婚する未来なんて、まるで想像できない。
「私はもう50ですし、両親ともにベータという出自で、いわば成金ですよ?その息子さんとはどう考えても釣り合わないかと…」
この歳になって結婚というのも充分に考えられないのに、まして20代の若いオメガを妻にするなんて、もはや狂気の沙汰とかしか思えなかった。
そんなに歳若いオメガの青年を、こんな棺桶に片足突っ込んだ中年に宛てがうつもりでいるのだから、間中もどうかしている。
「あー…いや、向こうさんがね、それなりの経済力があるなら、年齢や出自は問わないとおっしゃるもんですから」
間中が取り繕うように言った。
「だったらなおのこと、ほかにいい人がいるかと思います。その言い様なら、容姿とか学歴とかも構わないんでしょう?」
「まあ…そうでしょうね」
そのあたりは詳しく聞いていないらしく、間中は曖昧に答えた。
「しかし、その直生さんという息子さんは、家のために結婚することに対してどう思ってるんでしょう?」
「さあ?本人からは何とも…シャイというのかお淑やかというのか、大人しくて、あんまり話さない子ですからねえ。
成上さん、どうです?成上さんのところで働いてる幹部の人とか、取り引き先の人とか…」
「わかりません。まあ、そこまで言うなら、私も片っ端から探してみますよ。昔のよしみですから」
「ありがとうございます」
間中がテーブルの縁に手をつき、頭を下げた。
「何なら、その直生さんと顔を合わせるだけでもしてみましょうか?
そしたら、かろうじて「相手を探して、紹介はしてくれてる」って大義名分はできるし、面目も立つってもんでしょう?」
「成上さん、いいんですか?」
深刻に悩んでいた間中の顔が、パッと華やぐ。
「ええ、なんとか頃合いを見計らって、うまく断りますよ。間中さんの顔を立てるように努めますから、ご安心ください」
「助かります!本当にありがとうございます!」
間中が大げさなくらいに何度も頭を下げる。
「いやあ、助かります。いろんな人に声かけたんですけど、なかなかみんな首を縦に振ってはくれなくて…」
間中が箸を持ち、水餃子を次々と口に運んだ。
安心を得たことで、もとの食欲が戻ってきたらしい。
「まあ、言い方は悪いですが、あからさまな金銭目的での結婚とあってはね…」
「うーん、それを差し引いても、花比良さんの家はわりと由緒正しいお家柄だし、直生くんはホントに若くてキレイでいい子なんですけど…」
言いながら間中は水餃子を完食した。
「そうですか」
間中の話をやり過ごしながら、総治郎は燕の巣のスープをレンゲですくって飲んだ。
総治郎は今日、燕の巣なんてものを初めて食べた。
これはその入手の難しさから、値が張るものだと聞いていたので、少し楽しみにしていた。
しかし、初めて食べた燕の巣は、別に美味しくないわけではないが、そんなに驚くほどの味でもなかった。
「うーん、まあ、成上さんと花比良さん、そんなに歳離れてないですしね…」
間中の言葉に、総治郎はまた驚かされた。
間中は総治郎より一回り歳上だし、そんな間中の知人というからには、花比良家の主人も間中と同い年くらいだと思っていた。
したがって、その息子だってもう少し歳上なのだろうと踏んでいたし、どう若く見積もっても、せいぜい30代半ばくらいだと仮定していた。
それだけに、総治郎には20代の若者と結婚する未来なんて、まるで想像できない。
「私はもう50ですし、両親ともにベータという出自で、いわば成金ですよ?その息子さんとはどう考えても釣り合わないかと…」
この歳になって結婚というのも充分に考えられないのに、まして20代の若いオメガを妻にするなんて、もはや狂気の沙汰とかしか思えなかった。
そんなに歳若いオメガの青年を、こんな棺桶に片足突っ込んだ中年に宛てがうつもりでいるのだから、間中もどうかしている。
「あー…いや、向こうさんがね、それなりの経済力があるなら、年齢や出自は問わないとおっしゃるもんですから」
間中が取り繕うように言った。
「だったらなおのこと、ほかにいい人がいるかと思います。その言い様なら、容姿とか学歴とかも構わないんでしょう?」
「まあ…そうでしょうね」
そのあたりは詳しく聞いていないらしく、間中は曖昧に答えた。
「しかし、その直生さんという息子さんは、家のために結婚することに対してどう思ってるんでしょう?」
「さあ?本人からは何とも…シャイというのかお淑やかというのか、大人しくて、あんまり話さない子ですからねえ。
成上さん、どうです?成上さんのところで働いてる幹部の人とか、取り引き先の人とか…」
「わかりません。まあ、そこまで言うなら、私も片っ端から探してみますよ。昔のよしみですから」
「ありがとうございます」
間中がテーブルの縁に手をつき、頭を下げた。
「何なら、その直生さんと顔を合わせるだけでもしてみましょうか?
そしたら、かろうじて「相手を探して、紹介はしてくれてる」って大義名分はできるし、面目も立つってもんでしょう?」
「成上さん、いいんですか?」
深刻に悩んでいた間中の顔が、パッと華やぐ。
「ええ、なんとか頃合いを見計らって、うまく断りますよ。間中さんの顔を立てるように努めますから、ご安心ください」
「助かります!本当にありがとうございます!」
間中が大げさなくらいに何度も頭を下げる。
「いやあ、助かります。いろんな人に声かけたんですけど、なかなかみんな首を縦に振ってはくれなくて…」
間中が箸を持ち、水餃子を次々と口に運んだ。
安心を得たことで、もとの食欲が戻ってきたらしい。
「まあ、言い方は悪いですが、あからさまな金銭目的での結婚とあってはね…」
「うーん、それを差し引いても、花比良さんの家はわりと由緒正しいお家柄だし、直生くんはホントに若くてキレイでいい子なんですけど…」
言いながら間中は水餃子を完食した。
「そうですか」
間中の話をやり過ごしながら、総治郎は燕の巣のスープをレンゲですくって飲んだ。
総治郎は今日、燕の巣なんてものを初めて食べた。
これはその入手の難しさから、値が張るものだと聞いていたので、少し楽しみにしていた。
しかし、初めて食べた燕の巣は、別に美味しくないわけではないが、そんなに驚くほどの味でもなかった。
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