【完結】人妻オメガの密かな願望

若目

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苦悩は続く

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直生と結婚するまでの記憶をたどっていくうち、総治郎が運転するセダンがU駅の劇場に到着した。

今日の観劇は数ヶ月前から楽しみにしていた演目だったから、総治郎は今までの苦悩などすっかり忘れて、軽い足取りで劇場内へ入っていった。



そこから約2時間後、観劇を終えた総治郎は、物販コーナーを物色した。
舞台のパンフレットや役者のブロマイドなんかがずらりと並んだ台を前に、何を買おうかとしばらく考えこんだ。

──この役者がいいな。今日が初舞台だと言っていたけど、将来有望そうだし、今のうちに買っておこう

ひとりの若手の男性役者のブロマイドが目に止まり、総治郎はパンフレットと一緒に、その役者のブロマイドを何枚か買って帰ることにした。

買ったものを物販のスタッフに包んでもらい、劇場のロビーに向かう。

──ちょっと休むか

ロビーの長椅子に座ると、パンフレットを開いて、役者のプロフィールが載ったページを開く。
先ほど、総治郎がブロマイドを買った若手役者のプロフィールも載っていた。
年齢を確認したところ、25歳だという。

──同い年か…

若手役者が直生と同い年だと知って、総治郎はますます直生が遠い存在のように感じた。
総治郎の目に止まったこの若手役者は体格がよく、声も動作もすべてが溌溂としていた。
本来なら直生は、こんなに若く美しい男と添い遂げるのが妥当なのではないか。
それを思うと、ずきりと胸が痛む。



──ジムに行こう

そうすれば、この胸の痛みも和らぐであろう。
総治郎は長椅子から立ち上がり、パンフレットをしまうと、セダンを停めている駐車場まで早歩きで向かった。





自宅から少し離れた位置にあるスポーツジム。
総治郎は更衣室でTシャツとジャージに着替えると、エアロバイクやらランニングマシンやら使って、体を動かし始めた。

このジムに通って、もう10年以上経つ。
きっかけは月並みな話、加齢による体重の増加だった。

30代も後半にさしかかると、代謝も落ちてきて、体重も大幅に増える。
医者からの指示もあり、健康管理も兼ねてのダイエットで始めたジム通いだが、今となってはすっかり日常の一部と化していた。
始めた頃は億劫で仕方なかったのに、今は多少は運動しないと落ち着かなくなってしまっている。

総治郎はしばらく走った後、呼吸を整えるため、ランニングマシンから下りて、しばらくその場に立ち止まった。

ランニングマシンの持ち手にかけていたフェイスタオルで汗を拭きながら、ふと、壁際に置かれたスタンドミラーを見た。

──やっぱり、どれだけ鍛えてもオッサンはオッサンだな

鏡に映った自分の体は、筋肉こそついてはいても、皮膚や肉はたるんでいる。

少し向こうには、ここのジムの受付カウンターがある。
そこでは、たくましい体をした若い男性スタッフが、先ほど来たばかりの女性客に対応していた。

──何したって、若い子には負けるよなあ…

溌溂とした若者を見ると、ついため息をこぼしてしまう。
今に始まったことではない。

路地を早歩きしていても、後ろから若者がどんどん追い抜いていく。
大した段差もない階段の昇り降りで息が切れ、その脇を若者が通り抜けていく。

そのたびに、自分の加齢を実感して嘆きたくなるのだ。
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