傷心した私が一夜を共にしたのはエリート俺様同期~いつも言い合いばかりだったのに、独占欲強め、嫉妬心剥き出しな程に溺愛してくるのですが?~

夏目萌

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「そっかぁ……そうだよねぇ……」

 いつもの私なら、一之瀬の返答に『何でそんな事言うの!?  ちょっとはフォローしろー!』なんて言い返したり出来るけど、今日はそんな余裕も無くて、ここまで長続きしないとなると、相手云々よりも私自身に原因があるのだと自覚して更に落ち込んでいく。

「おい、そんなに落ち込むなよ?  いつもの元気はどうした?  そんなん、お前らしくねぇって」
「あのねぇ、私だって落ち込む事くらいあるよ?  元気なんて出ないよ……」
「ったく、調子狂うな。ほら、もっと飲めよ、な?  飲んで食べて、嫌な事は全部忘れちまえって。今日はとことん付き合ってやるからよ。何飲む?」
「…………そう、だよね。くよくよしてても始まらないよね……」

 私を励まそうとしてくれているらしい一之瀬はいつもより優しく見える。

 メニュー表を見せながらどのお酒を注文するか聞いてきたので、ジーッとメニュー表と睨めっこしつつ、「それじゃあ、梅酒ロック!」と答え、ひとまず気持ちを切り替える事に決めた。

 そして、運ばれて来た梅酒を飲みながら、少し前に頼んであった唐揚げに箸を伸ばすと一つ掴んで頬張った。

「そうそう、それでこそ本條だよな」
「それ、褒めてる?」
「褒めてる褒めてる。つーかさ、さっきの話だけど、そもそも長続き云々より自然体でいられる相手ってのが一番なんじゃねぇの?」
「自然体……?  例えば、一之瀬とか?」
「俺かよ?  まあ確かに、お前俺の前では遠慮ねぇもんな?」
「そうそう。なんて言うか一之瀬相手に作っても仕方ないし、面倒臭いもん」
「お前なぁ、それ本人前にして言う事かよ?」
「あ、傷付いた?」
「別に、どーでもいいよ」
「あはは、ごめんごめん」

 よく考えてみると、一之瀬相手だと女らしくしようという思いよりも自然と自分を出してしまう気がする。

 一之瀬とは入社当時からよく話す仲だった。

 私たちは城築広告代理店きづきこうこくだいりてんに勤務していて共に営業課所属なんだけど、同じ営業の仕事とあって何かと競い合っていて、そのおかげか成績も良く、私たちはそこそこ期待されていたりもする。

 一之瀬はちょっと口は悪いけど、仕事は出来るし容姿も良い。

 初めて見た時はイケメンだなぁ、なんて思ったりもした。

 話してみると考え方とかが似ていてすぐに意気投合したし、同期の中では一番話しやすくて自然と一緒に居る事が増えた。

 初めは仕事の事で相談し合いながらご飯に行ったりしていたのだけど、いつの間にか恋愛相談をするようになって飲みに行くようにもなり、あまりに仲が良いせいか周りからは付き合っているのかと聞かれる事も多々あったけど、私たちはそういうのとは違う。

 あくまでも考え方が似ていて話も合う、ただそれだけの仲。同僚であり友達……親友……という言葉が合う存在なのだ。


「そういえばさぁ、一之瀬って彼女作らないの?  もうずっといないよね?」
「あー、まあな。つーか恋愛面倒だし、俺は別にお前みたいにがっついてねぇからな」
「なっ!  私だって別にがっついてる訳じゃないし!  ただ、忙しい中に癒しは必要でしょ?」
「それが恋愛だって?」
「そ。だってさぁ、恋してると身体の内面から綺麗になりたいって思うから、忙しくても自分磨きだって頑張れる」
「そういうモンかね?」
「そうだよ。だから一之瀬も彼女、作ればいいのに」
「いいんだよ、俺は。ほら、もっと飲め飲め」
「よーし!  今日は朝まで飲むぞー!」

 一之瀬と居ると、ついつい時間を忘れてしまうし、何よりも楽しい。

 共にお酒も強いから飲み友達としても最高の相手だ。

 いつもなら店をハシゴするくらいに飲み歩くのだけど、今日は振られて凹んでいて寝不足だったのと、いつも以上にペースが早かったからなのか、段々眠くなっていく。

 そして――

「おい、本條?  お前、酔ってる?」
「えー?  そんなわけないよぉ?  でもねぇ、すこーし、眠い……」
「あ、おい、本條?」
「……ダメだ……少し、すこーしだけ、寝る……おやすみぃ……」

 急な睡魔に襲われ、瞼を開けている事すら出来なくなった私は「寝る」と言ってテーブルに突っ伏すと、そのまま瞼を閉じて以降の記憶が無くなっていった。
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