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 翌日、凜が起床してご飯を済ませてから竜之介くん共に、このアパートから引っ越して別の場所で暮らす事、新しい家では竜之介くんも一緒に暮らす事を話してみると、

「おにーちゃんもいっしょのおうちで!?  バイバイしなくていいの!?」
「うん、そうよ」
「わーい!!  ぼく、うれしい!」

 予想以上の喜びように私は勿論、竜之介くんも驚いていた。

「おにーちゃんといっしょにいられる!  いつでもあそべる!  いっしょにねれるのうれしい!  ママとおにーちゃん、いっしょにえほんよんでね!」
「あ、あのね、凜、同じお家に住むけど、寝る時は別々なの」
「なんで?  おともだちのおうちはいっしょにすんでるといっしょのおへやでねるって……」
「え?  えっと、それは……」

 ただ、凜にはまだ理解出来ない事もあるようで、一緒の家に住んだら寝る時も一緒だと思ったのか、別々になる事を告げると不思議そうな顔で『何で?』と問い掛けてくる。

 そんな凜の疑問にどう答えればいいのか悩んでいると、

「あのな、凜。友達が一緒に寝てるのはその子のパパとママだろ?」
「うん」
「残念だけど、俺は凜のパパじゃ無いから、みんな一緒の部屋で寝る事は出来ないんだ」
「なんで?」
「一緒の部屋で寝れるのはパパとママだけなんだよ」
「ふーん、そうなんだ」

 まだ幼い凜に難しい事は分からないだろうと、簡単になるべく分かり易いよう説明してくれる竜之介くん。

 そんな彼の説明に納得したらしい凜は『そうなんだ』と言った後、少し黙って何かを考える素振りをしてから、

「それじゃあ、おにーちゃんがぼくのパパになればいいんだ!  そしたらママとぼくといっしょにねれるね!」

 ぱあっと明るく無邪気な笑顔を浮かべてそんな事を言うものだから、

「…………」
「…………」

 私も竜之介くんは思わず顔を見合せ、気まずい空気が流れていく。

 凜は子供だから、考え方が単純だから、そういう結論になるのは仕方ない。

 でもきっと、凜は竜之介くんの事が好きだから『パパ』になったら嬉しいと本気で思っているのかもしれない。そう思ったら、何も言えなくなってしまった。

「凜がそう思ってくれてるのは嬉しいよ。ありがとう。けど、パパになるのはそう簡単じゃ無いんだ」
「なんで?」
「うーん、それはまあ、凜に理解するのはまだ難しいと思う。けど、俺としては、いつか凜のパパになれたらいいなって思ってる。だから、そうなった時は、みんなで一緒に寝ような」
「うん、やくそくね!」
「ああ」

 何も言えない私に代わって竜之介くんが話をしてくれたのだけど、何の迷いも無く『いつか凜のパパになれたらいいなって思ってる』だなんて口にするから、私の鼓動はそれだけで速くなってしまい、一人頬を赤く染めていた。
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