優しい彼の裏の顔は、、、。【完】

夏目萌

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 それから数日後、未だ安静には変わりない郁斗だったが、絶対に無理をしないという約束の元、早くも退院する事になった。

 郁斗が居た病院は個人経営で組織とも繋がりがあるので多少の融通が利く事もあり、様々な事情を考慮して退院という判断を貰えたのだ。

 美澄や小竹と共にそのまま事務所へやって来た郁斗は、詩歌の捜索をしている恭輔から現在の状況を聞かされる事になった。

「……調べによると、詩歌は今、黛の所有するマンションのどこかに囚われているようだが場所の特定がまだだ。何しろ黛には各方面多数の協力者がいる事もあって、フェイク情報が多いんだ」
「……そうか」
「それと、今現在、まだ花房や四条は無事だったから神咲会にも協力を仰ぎ、彼らの保護をする事になった」
「保護?」
「まあ、アイツらも犯罪の片棒を担いでいる事は分かっているからな、奴らに有利な条件をチラつかせたら色々な事をポロポロと話しているらしい」
「色々っていうのは?」
「そうだな、そもそも何故、詩歌が狙われる事になったのか、それを辿ると、黛組の悪事が更に色々露呈して来たんだ」
「アイツ、売春斡旋以外にもやってんのか?」
「まあ、それはやってんだろうけど、今回も売春斡旋に関わる事さ。詩歌は施設育ちで花房に引き取られたらしいな?」
「ああ、そう聞いた」
「そもそも詩歌が居た施設というのが、黛組と繋がりがあったんだ。そこの施設長と黛組の前組長が知り合いだったようでな、先代が亡くなってからは黛とも深く関わる事になり、黛の方から売春斡旋の話を持ち掛けた」
「花房や苑流以外にも協力者が居たのかよ」
「ああ。黛は使えるものは何でも使う、根っからのクズ野郎らしいな。施設長と繋がり、施設に居る子供に予め目をつける。勿論、子供でも顧客の希望に近いのが居れば理由を付けて施設から連れ出して顧客に売っていたようだが、大抵がやはりそれなりに成長してからというのが決まりだったようだな。自然な形で施設を出して、自然な形で売春斡旋へと持って行く。そしてそれとは別に黛自身気に入った子供がいれば金と引き替えに自身が引き取り囲ってるらしい。その流れでいくと詩歌も早くに目を付けられた内の一人で、花房に引き取らせたのも全ては黛の思惑だったんじゃねぇかな。まあその辺は本人に確認しねぇとわからねぇがな」

 調べれば調べる程、黛  弥彦の悪事が明るみになっていく。

「……とにかく、黛は何をするか分からねぇ……。早いところ救出してやらねぇと……」
「分かってるが、焦っても仕方ねぇんだよ。ただ、今回の件は神咲会を通して多々良会にも話を通してもらった。前から黛には手を焼いていた事もあって、今回俺らに協力してくれる事になった」
「マジっすか?」
「ああ。直に多々良会の方から正式に何らかの通達があるだろう。これで黛組は多々良会の後ろ盾が無くなるからな、動きづらくはなるだろうよ」
「……恭輔さん、俺、やっぱりただ待つだけってのは無理だ。独自で捜索させて欲しい」
「お前な、彼女を心配な気持ちは分かるが、怪我も治ってねぇんだ。暫く俺らに任せておけ」
「いや、恭輔さんの命令でも、それは聞けない。一刻も早く詩歌を助けたいんだ。頼むよ……」

 恭輔が各方面に協力を仰ぎ、着実に黛を討つ準備が整いつつあるものの、このままただ待っているだけという状況が歯痒い郁斗は自ら捜索したいと申し出る。

 今ここで無理をすれば郁斗の身体に負担がかかる事を心配していた恭輔だったが彼の熱意に負け、

「……ったく、言い出したら聞かねぇ奴だな、お前は。美澄、小竹、郁斗のサポート頼んだぞ」

 郁斗が無理をしないよう美澄や小竹をサポートに付けた恭輔は、郁斗が独自で詩歌を捜索する事を許可したのだった。
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