妹の身代わりに殺戮の王太子に嫁がされた忌み子王女、実は妖精の愛し子でした。嫁ぎ先でじゃがいもを育てていたら、殿下の溺愛が始まりました・長編版

まほりろ

文字の大きさ
17 / 53

17話「じゃが塩ほふほふ!」



そんなことをしていたので、朝食の時間がかなり遅くなってしまいました。

私は作業着からメイド服に着替えました。

このあと、じゃがいもの調理をしなくてはならないので、先に着替えを済ませておきました。

シェフが精魂込めて作ってくれた料理です。

残したら罰が当たります。冷めてもしっかりいただきましょう。

今日の朝食はスクランブルエッグと、かぼちゃのスープとふかふかの白パンでした。

「シェフの方、温かいうちに食べられなくてごめんなさい。
 残さず食べるから許して下さい」

そう謝ってから、フェルと一緒に美味しくいただきました。

私達が食事をしている間、クレアさんにはじゃがいもを洗っていてもらいました。

クレアさん一人にやらせてすみません。

ご飯を食べ終わったら、私も作業に加わります。

朝食を食べ終えた私は、クレアさんと二人でじゃがいもを洗いました。

洗ったじゃがいもを大鍋に入れて茹でました。

フェルが、私とクレアさんに体力の上がる魔法をかけてくれたので、バリバリ働けます。

茹で終えたじゃがいものうちのいくつかを、クレアさんに気づかれないように、こっそりと皿に乗せフェルに渡しました。

フェルのおかげでじゃがいもが収穫できたので、彼に一番に食べてもらいたかったのです。

フェルは「ありがとうなのだ!」と言ってじゃがいもを受け取ると、口いっぱいにじゃがいもを放り込んでいました。

「アリーと一緒に育てたじゃがいもは、最高に美味しいのだ!」

フェルは、熱々のじゃがいもをほふほふしながら頬張っています。

彼の笑顔を見ると幸せな気持ちになります。

食事中のフェルが見つからないように、クレアさんの注意を逸しましょう。

彼女にもじゃがいもを食べてもらいましょう。

フェルの育てたじゃがいもは天下一品なので、他のことなど気にならなくなるはずです。

「クレアさんも、お一ついかがですか?
 茹でたてのじゃがいもは美味しいですよ」

「えっ? わたしがいただいてもよろしいのですか?」

クレアさんは目をパチクリさせていました。

「ぜひ、味見してほしいのです」

私はにっこりと笑って答えました。

「私は、このお城に来て日が浅いです。
 その上、お城での評判も良くありません。
 そんな私が作ったじゃがいもを、お城の人が食べてくれるか心配なのです」

裏があると疑われて食べてもらえないかもしれません。

それでは育てたじゃがいもに申し訳がありません。

「ですがクレアさんが先にじゃがいもを食べて、
『美味しい』と太鼓判を押してくれたら、お城の皆さんも安心して食べてくれると思うんです」

「そういうことでしたら喜んで、味見しますわ!」

クレアさんはじゃがいもを一つお皿に取ると、お塩を一振りして、口に入れました。

「はふはふっ……!
 こっ、これは……!
 い、今まで食べたどのじゃがいもより美味しいです!
 じゃがいもの革命です!
 じゃがいも界の王様です!」

クレアさんは嬉しそうにじゃがいもを頬張っていました。

そこまで、褒められると、照れくさくなる。

「じゃがいもを配ったら、お城の皆さんも喜んでくれるでしょうか?」

「絶対に喜びます!
 王太子妃様が愛情を込めて育てたじゃがいもを、食べないと言う不届き者がいたら、わたしが無理やり口に詰め込んでやります!」

クレアさんが、仲間になってくれたので心強いです。

「私は引き続き、離宮のキッチンでじゃがいもを茹でます。
 クレアさんは、茹で上がったじゃがいもを使用人の方々に配っていただけますか?
 お昼時なので、食堂で出すのも良いかもしれませんね」

本当は使用人の方々を離宮に呼べればいいのですが。

王太子殿下のいない時に、沢山の使用人を離宮に呼ぶのは不味い気がします。

何か企んでいるのではと、疑われても面倒です。

それにそんなに大勢の人のなかでは、フェルは姿を消していても、息もつけないでしょう。

「王太子妃様が精魂込めて作られたじゃがいもです!
 命に代えても食堂に届けます!」

クレアさんは張り切っていました。

いえ、命はかけなくていいですから。

クレアさんは、食事用のワゴンに茹でたじゃがいもをたくさん乗せて、宮殿に戻っていきました。

フェルの体力を上げる魔法が、クレアさんには効きすぎたのかもしれません。


 ◇◇◇◇◇


しばらくして宮殿から、
「じゃがいもの革命だ~~!!」 
「いくらでも食べられる~~!!」
「ほっぺが落ちる~~!!」
という叫び声が聞こえてきました。

フェルの育てたじゃがいもは大好評だったようです。

その叫び声を聞いたフェルは、「当然なのだ!」と言って得意気な顔をしていました。






感想 98

あなたにおすすめの小説

姉は不要と判断された~奪うことしか知らない妹は、最後に何も残らなかった~

ゆめ@マンドラゴラ
恋愛
妹にすべてを奪われ続けてきた姉。 ついには婚約者まで狙われ、「不要とされた」。 それは、誰にとっての「不要」だったのか。 「不要とされた」シリーズ第二弾。

結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください

シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。 国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。 溺愛する女性がいるとの噂も! それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。 それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから! そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー 最後まで書きあがっていますので、随時更新します。 表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。

【奨励賞】初恋のその先で、私は母になる

妄夢【ピッコマノベルズ連載中】
恋愛
第19回恋愛小説大賞にて、奨励賞を受賞いたしました。読者の皆様のおかげです!本当ありがとうございます。 王宮で12年働き、気づけば28歳。 恋も結婚も遠いものだと思っていたオリビアの人生は、憧れの年下公爵と一夜を共にしたことで大きく動き出す。 優しく守ろうとする彼。 けれどオリビアは、誰かに選ばれるだけの人生を終わらせたいと思っていた。 揺れる想いの中で、彼女が選んだのは―― 自分の足で立ち、自分の未来を選ぶこと。 これは、一人の女性が恋を通して自分を取り戻し、母として、そして一人の人間として強くなっていく物語。 ※表紙画像はAI生成イラストをつかっています。

結婚して3年経っても子供ができないという理由で離縁されたエマは、前世の記憶を思い出して幸せになる。周りが勝手に復讐してくれました。

山田 バルス
恋愛
 結婚三年目の春、エマは伯爵家の夫アンドレオから突然、側室を迎える話を告げられる。子をなせなかったことを理由に、彼女は僅かな補償のみで離縁された。妻として過ごした三年間は「無価値だった」と突きつけられ、エマは貴族社会から静かに切り捨てられる。  また実家の父母の墓参りに行くと、当主になっていた兄に離縁金を奪われてしまう。  大ピンチのエマには、秘密があった。なんと彼女は幼少期に前世の記憶を思い出していたのだ。  かつて観光地で石を磨き、アクセサリーを作り、人に喜ばれる仕事をしていた人生。何も持たない今だからこそ、もう一度「自分の手で生きる」ことを選び、あの人が住む商業国家スペイラ帝国へ向かう決意をする。  国境への道中、盗賊に襲われるが、護衛兵ロドリゲスの活躍で難を逃れる。彼の誠実な態度に、エマは「守られる価値のある存在」として扱われたことに胸を打たれた。  スペイラ帝国では身分に縛られず働ける。エマは前世の技術を活かし、石を磨いてアクセサリーを作る小さな露店を始める。石に意味を込めた腕輪やペンダントは人々の心を掴み、体験教室も開かれるようになる。伯爵夫人だった頃よりも、今の方がずっと「生きている」と実感していた。  ある朝、ロドリゲスが市場を訪れ、エマの作ったタイガーアイの腕輪を購入する。ところがその夜、彼は驚いた様子で戻り、腕輪が力を一・五倍に高める魔道具だと判明したと告げる。エマ自身は無意識だったが、彼女の作るアクセサリーには確かな力が宿っていた。  後日二人は食事に出かけ、エマは自分が貴族の妻として離縁された過去を打ち明ける。ロドリゲスは強く憤り、「最悪な貴族だ」と彼女と一緒になって怒ってくれた。その気持ちが、エマにとって何よりの救いだった。彼は次に防御力を高める腕輪を依頼し、冒険者ギルドで正式な鑑定を受けるよう勧める。  翌日、冒険者ギルドで鑑定を行った結果、エマの腕輪は高い防御効果を持つことが判明。さらに彼女自身を鑑定すると、なんと「付与特化型聖女」であることが明らかになる。聖女が付与した魔道具は現実の力として強く発現するのだ。  価値がないと切り捨てられた人生は、ここでは確かな力となった。スペイラ帝国で、聖女エマの新しい人生が、静かに、そして輝かしく始まる。

「君を抱くつもりはない」初夜に拒絶した公爵様、身代わりの後妻(私)が姉の忘れ形見を守り抜く間に、なぜか執着が始まっています?

恋せよ恋
恋愛
「私は君を愛さない。僕の妻は、亡きフィオーラだけだ」 初夜の晩、初恋の人パトリックから告げられたのは、 凍りつくような拒絶だった。 パトリックの妻・姉フィオーラの出産後の不幸な死。 その「身代わり」として公爵家に嫁いだ平凡な妹ステファニー。 姉の忘れ形見である嫡男リチャードは放置され、衰弱。 乳母ナタリーの嘲笑、主治医の裏切り、そして実家の冷遇。 不器用で健気な後妻が、真実の愛と家族の絆を取り戻す、 逆転のシンデレラストーリー。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

婚約破棄されたので田舎の一軒家でカフェを開くことにしました。楽しく自由にしていたら居心地が良いとS級冒険者達が毎日通い詰めるようになりました

緋月らむね
ファンタジー
私はオルレアン侯爵令嬢のエルティア。十四歳の頃、家の階段を踏み外して頭を打った衝撃で前世を思い出した。    前世での名前は坂島碧衣(さかしまあおい)。祖父母の引退後、祖父母の経営していた大好きなカフェを継ぐつもりでいたのに就職先がブラック企業で過労の挙句、継ぐ前に死んでしまった。そして、自分が息抜きでやっていた乙女ゲーム「星屑のカンパニー」の悪役令嬢、オルレアン侯爵令嬢エルティアに転生してることに気がついた。  エルティアは18歳の舞踏会で婚約破棄を言い渡される。それだけならまだしも、婚約者から悪役令嬢として断罪され、婚約破棄され、父親から家を追い出され、よからぬ輩に襲われて殺される。  前世だってやりたかったことができずに死んでしまったのに、転生してもそんな悲惨な人生を送るなんて、たまったもんじゃない!!それなら私は前世継ごうと思っていた祖父母のやっていたようなカフェを開いて楽しく自由な人生を送りたい。  そして私は王都と実家を飛び出して森が開けた自然豊かな場所で念願のカフェを侍女のシサとともに開くことができた。  森が開けた自然豊かな場所で楽しく自由にカフェをやっていたら、個性豊かなS級冒険者たちが常連として私のカフェにやってくるようになりました!

悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~

咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」 卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。 しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。 ​「これで好きな料理が作れる!」 ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。 冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!? ​レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。 「君の料理なしでは生きられない」 「一生そばにいてくれ」 と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……? ​一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです! ​美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!