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11話「王城に拡がる奇病」
しおりを挟む馬小屋に向かうために食堂の前を通ると。
「奇病だ! 赤い斑点が体中に出来た!」
「メイドだ! あごひげのメイドに触れたら体中に出来物ができたぞ!」
「元凶はお前たちだな! こっちにくるなバイ菌!!」
兵士やメイド、執事などが騒いでいた。
騒ぎの中心には髭面のメイドがいた。メイドの顔や腕や足は真っ赤に腫れ、たくさんのイボが出来ていた。
「やめて! ものを投げないで!」
「うるさい! お前たちに触ったら手に出来物が出来たんだ! お前たちから感染ったに違いない!!」
「寄るな! 触るな!」
「消え失せろ!!」
周りに集まった人たちが 髭のメイドに石や本や靴や野菜や卵などを投げつけている。
三人のメイドは床に膝をつき顔を覆い泣き崩れている。
いい気味だが野菜や卵を投げつけるのはやめよう、食べ物を粗末にしてはいけない。
私は混乱に乗じて食堂に忍び込み、こっそりパンと干し肉と果物を盗み、口の中に放り込んだ。
こんなときになんだが、魔法や能力を使うとお腹が空く。
食事が終わったらさっと食堂を退散し、馬小屋に向かおう。
「奇病よ! 原因不明の奇病が流行っているわ! 感染者の髭面のメイドに触れると病気が感染るわ!! 体中に気持ち悪いイボが出来るのよ!!」
叫びながらが走ると、庭にいた兵士たちは顔を青ざめさせ逃げて行った。
「嫌だー! 病気になんてかかりたくない!」
「もう限界だ! 給料が安い上に人使いが荒い職場になんかこれ以上いられるか!!」
「奇病にかかる前に逃げろーー!」
人々は口々に叫びながらが城門に駆けていく。
忠誠心の薄い兵たちにため息が漏れる。無理もない、王族が無駄使いばかりしているしわ寄せが兵士や使用人や民にいっているのだから。
庭の隅の噴水の側を通るとハンナと愛人の姿が見えた。
全裸で「痛い! 痒い!」と泣き叫びながら、全身をかきむしっている。あまり強くかくので患部から血が滲んでいた。
それでも噴水が治療薬に見えているのか二人は噴水から離れようとしない。
「この噴水は私のものよ!! どっかいきなさいよ!」
「うるさいお前こそどっかに行け!! この噴水は俺のものだ!」
周りにいるメイドたちがタオルを片手にオロオロしている。
王太子妃が人前で肌を晒し王太子以外の男と全裸で戯れているなんて前代未聞だ。
二人の死刑は決まったも同然だ。
もっとも王太子妃を裁く国王はもうこの世にいないのだが。
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