幼なじみに婚約破棄された僕が、隣国の皇子に求婚されるまで・BL・完結・第9回BL小説大賞、奨励賞受賞作品

まほりろ

文字の大きさ
20 / 131

二十話「運命の人⑥」


ーーノヴァ視点ーー


シエルの身を清め、マントにくるみお姫様抱っこをして森を抜けた。

シエルは私の首にしっかりと両腕を回し、私が唇にキスすると恥ずかしそうにほほ笑んだ。

まるで恋人同士のようだ。性行為中のシエルの乱れた姿を思い出し、また下半身に熱が集まる。

あんなにも私の男根を求めて来たのは、はじらい死草の効果だけではないと思いたい。

このまま王都にある自宅まで連れて帰り式を上げたい……。

いやいや落ち着こう、シエルはシャツ一枚なのだ。まずは服を用意しなくては、お風呂にも入れてやりたいし、ゆっくり休ませてもやりたい。

そんな幸せな空想を描いていたら、リーヴ村についていた。

幸せな妄想は村についてすぐに打ち砕かれた。

シエルは冒険者になりたいと言い出すし、冒険者は危険だと諭せば酒場で適当な仲間を見つけるなどと言い出す。

こんなあどけなさを残す華奢な少年が冒険者をしていたら、森やダンジョンで仲間や盗賊に輪姦される未来しか見えない。

宿屋に行こうと誘えば渋るし、酒臭い男に声をかけられればついて行こうとする。

絶対にだめだ! シエルは私のものだ! 誰にも触らせない!

シエルをお姫様抱っこしたまま、やや強引に宿屋に連れて行く。

宿屋に入るとシエルに対し一斉に視線が向けられた。汚い目でシエルを見るな! 宿屋にいた全員を威嚇し、カウンターで鍵を受け取る。

宿屋の女将おかみにダブルベッドしか空いてないと言われ、心臓がビクリとした。シエルに拒否されたらどうしようかと心配したが、シエルは何も言わなかった。

沈黙を合意と都合よく解釈し部屋に向かう。

扉を開けると、ダブルベッドが部屋のほとんど面積を占領するように設置されていた。

シエルと密室で二人きりになり臓がドキドキと音を立てる。今夜はあそこでシエルと、解毒治療ではなく純粋な性行為をしたい。

一緒の空間にいると犯してしまいそうなので、食料を買いに行くので先にシャワーを浴びるように伝え部屋を出る。

部屋を出てすぐに心配になった。私がいない間にフラフラとどこかに行ってしまうのではないか? 知らない男が訪ねてきても無警戒に扉を開けてしまうのではないかと。

「施錠を忘れるな、私以外の者が尋ねて来ても決して扉を開けてはいけないぞ!」

と釘を刺し部屋をあとにした。シエルは子供じゃないんですからと言いたそうな顔をしていた。

その辺の子供の方がまだ警戒心があると言いたかったが、飲みこんだ。

シエルはおそらく育ちがいい。育ちの良い少年がなぜ手を縛られシャツ一枚で川で溺れていたのかは分からない。詮索したら逃げられてしまいそうで聞けない。

シエルが何者でも構わない。手放すつもりはない。シエルがどこの誰で過去に何があったとしても、それも含めてシエルの全てを受け入れる。シエルは初恋の人なのだから。

中から鍵がかかる音を確認し、一階に向かう。

宿屋のカウンターで食料と服と靴を買った。「連れに似合う服を」と注文し中身を確認せずに受け取った袋にまさかあんなものが入っていようとは。


◇◇◇◇◇

あなたにおすすめの小説

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

【完結】流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。

時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!? ※表紙のイラストはたかだ。様 ※エブリスタ、pixivにも掲載してます ◆この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」もあります。そちらも気になったら覗いてみてください。 ◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います

悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。 原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。 「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」 破滅フラグを回避するため、俺は決意した。 主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。 しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。 「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」 いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!? 全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ! 小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? 表紙は自作です(笑) もっちもっちとセゥスです!(笑)

もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか

まんまる
BL
王太子であるテオバルトは、婚約者の公爵家三男のリアンを蔑ろにして、男爵令嬢のミランジュと常に行動を共にしている。 そんな時、ミランジュがリアンの差し金で酷い目にあったと泣きついて来た。 テオバルトはリアンの弁解も聞かず、一方的に責めてしまう。 そしてその日の夜、テオバルトの元に訃報が届く。 大人になりきれない王太子テオバルト×無口で一途な公爵家三男リアン ハッピーエンドかどうかは読んでからのお楽しみという事で。 テオバルドとリアンの息子の第一王子のお話を《もう一度君に会えたなら~2》として上げました。 ※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。

【完結】転生した悪役令息は、お望み通り近付きません

カシナシ
BL
「お前など、愛す価値もない」 ディディア・ファントム侯爵令息が階段から落ちる時見たのは、婚約者が従兄弟を抱きしめている姿。 (これって、ディディアーーBLゲームの悪役令息じゃないか!) 妹の笑顔を見るためにやりこんでいたBLゲーム。引くほどレベルを上げた主人公のスキルが、なぜかディディアに転生してそのまま引き継いでいる。 スキルなしとして家族に『失敗作』と蔑まれていたのは、そのスキルのレベルが高すぎたかららしい。 スキルと自分を取り戻したディディアは、婚約者を追いかけまわすのを辞め、自立に向けて淡々と準備をする。 もちろん元婚約者と従兄弟には近付かないので、絡んでこないでいただけます? 十万文字程度。 3/7 完結しました! ※主人公:マイペース美人受け ※女性向けHOTランキング1位、ありがとうございました。完結までの12日間に渡り、ほとんど2〜5位と食い込めた作品となりました!あああありがとうございます……!。゚(゚´Д`゚)゚。 たくさんの閲覧、イイね、エール、感想は、作者の血肉になります……!(o´ω`o)ありがとうございます!(●′ω`人′ω`●)