幼なじみに婚約破棄された僕が、隣国の皇子に求婚されるまで・BL・完結・第9回BL小説大賞、奨励賞受賞作品

まほりろ

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六十六話「素朴な味②」


「お二人はご夫婦ですか?」

「はいっ??」

トマのお母さんの言葉に飲んでいたスープを吹き出しそうになった。

「ああそうだ、私たちは夫婦だ!」

ノヴァさんがトマのお母さんの言葉を肯定する。

俺としてはノヴァさんのお父さんとお兄さんにご挨拶して、教会で式を上げて、それでようやく夫婦になれると思っていた。

レーゲンケーニクライヒ国では教会に認められないと、正式な夫婦になれなかったし。

だから今は恋人同士、もしくは婚約者という認識だったのだが……。

ノヴァさんの脳内では、とっくに夫婦になっていたらしい。

そういえばラック・ヴィルに向かう馬車の中で、リナちゃんに「新婚なの?」って聞かれたときノヴァさんは「そうだ」って答えてたな。

あのときはまだノヴァさんに「好きだ」って告白してなくて、いわば両片思いの関係だった。ノヴァさんの中で俺は嫁だったらしい。

俺はいつからノヴァさんに嫁と認識されているのだろう? 出会った直後からとか? まさかな。

「まあやっぱり、そうだと思ったんです。新婚特有のキラッキラなオーラが出ていましたから」

トマのお母さんが俺とノヴァさんの顔を交互に見てニコニコと笑う。

「お姉さんとお兄さんって夫婦なの? じゃあ村の男の人たちみんながっかりしちゃうね」

「そうね、みんなシエルさんのことをうっとりと見つめていたものね」

「天使とか、女神とか言って拝んでる人もいたよ」

「えっ?」

そうだったのか? 全然気が付かなかった。

村の女の子がノヴァさんを見てきゃあきゃあ言っていたのには気がついたけど。

ノヴァさんを見ると眉間に深いしわを作っていた。

「村の者に伝えておけ、シエルは私の妻だ! 手を出したら容赦しないと!」

ノヴァさんが俺の肩を抱き、トマとトマのお母さんを威嚇する。

楽しい食事の時間なので、もうちょっと穏やかに話して欲しいな。

「シエルさん愛されていますね」

「お兄さんとお姉さんは、仲がいいんだね」

トマとトマのお母さんが、ふわふわと笑っている。

良かった、二人とも気分を害していないみたいだ。楽しい食事の時間が壊れなくて俺はホッとしていた。



◇◇◇◇◇

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