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1話「王太子に婚約破棄されました」
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――アリーゼ・バイス・サイド――
学年の年度末に行われる進級パーティー、私と王太子殿下の所属する一学年の生徒は全員参加していました。
私はその進級パーティーで、婚約者の王太子殿下から婚約破棄を言い渡されました。
壇上に登った王太子殿下のお隣には、桃色の髪と瞳の小柄な少女が寄り添っておりました。
王太子殿下の背後には殿下の側近の男子生徒が三人。さらにその後ろには大勢の男子生徒がおりました。
王太子殿下は赤い髪をかきあげ、真紅の瞳を釣り上げ私を睨んでいました。
私が婚約を破棄された理由は、私が王太子殿下のお友達のレニ・ミュルべ男爵令嬢をいじめたから。
レニ・ミュルべ男爵令嬢と言われてもどなたのことか分かりませんでしたが、殿下のお話を聞いているうちに、殿下の腕の中にいるピンクの髪の美少女のことだと分かりました。
殿下いわく、私がレニ・ミュルべ男爵令嬢の教科書やノートを破き、男爵令嬢を放課後裏庭に呼び出し噴水に落とし、また別の日の放課後レニ・ミュルべ男爵令嬢を階段から突き落としたというのです。
男爵令嬢は王太子殿下の腕に自身の腕を絡ませ、勝ち誇った目で私を見ていました。
王太子殿下の側近の三人と、三人の後ろにいる大勢の男子生徒(知らない顔ばかりなのでおそらく下位貴族のご子息)が、私に向かって罵詈雑言を吐きました。
「レニ・ミュルべ男爵令嬢が何をしたというのだ!」「もはやこれはいじめではない殺人未遂だ!」「非道だ!」「人の心はないのか! この悪魔っ!」
壇上に上がらなかった令息や令嬢もおりましたが、その方たちは面倒なことに関わるのが嫌なのか、冷めた目で私を見ていました。彼らは私を言葉でののしることはありませんでしたが、私を見る彼らの視線は侮蔑に満ちていて、私をか弱い男爵令嬢をいじめたひどい女だと言っているようでした。
味方のいない状態で私にできることはただ一つ、公爵家の名に傷をつけないよう、凛として振る舞いその場を後にすることでした。
「婚約破棄、承知いたしました」
私はそう言ってその場でカーテシーをし、踵を返しました。
踵を返した瞬間、背後から卵が飛んできて私の銀色の髪を汚しました。
その後もあちこちから卵やジュースが飛んできて、私の髪もドレスも汚れてしまいまして。
ジュースはともかく生卵など会場にはありません。
わざわざ自宅から持ってきたのでしょうか? 用意周到ですね。もったいない、あれだけの卵があれば何人の貧しい民のおなかを満たせたことか……。
生卵が降り注ぐなか、私はひとごとのようにそんなことを考えながら会場をあとにしました。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
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☆新作投稿しました!2023/04/24
異世界恋愛、婚約破棄、姉妹格差ものです!
ハッピーエンドなので安心してお読みいただけます。
よろしくお願いします!
「ゲスな婚約者と、姉の婚約者に手を出す節操のない妹を切り捨てたら、元クラスメイトの貴公子に溺愛されました」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/749914798/817744742 #アルファポリス
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こちらの作品もよろしくお願いします!
「継母と義妹に虐げられ使用人として働かされている私を助けてくれたのは、二人の精霊さんと一人の魔法使いさんでした」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/749914798/688744767 #アルファポリス
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私はその進級パーティーで、婚約者の王太子殿下から婚約破棄を言い渡されました。
壇上に登った王太子殿下のお隣には、桃色の髪と瞳の小柄な少女が寄り添っておりました。
王太子殿下の背後には殿下の側近の男子生徒が三人。さらにその後ろには大勢の男子生徒がおりました。
王太子殿下は赤い髪をかきあげ、真紅の瞳を釣り上げ私を睨んでいました。
私が婚約を破棄された理由は、私が王太子殿下のお友達のレニ・ミュルべ男爵令嬢をいじめたから。
レニ・ミュルべ男爵令嬢と言われてもどなたのことか分かりませんでしたが、殿下のお話を聞いているうちに、殿下の腕の中にいるピンクの髪の美少女のことだと分かりました。
殿下いわく、私がレニ・ミュルべ男爵令嬢の教科書やノートを破き、男爵令嬢を放課後裏庭に呼び出し噴水に落とし、また別の日の放課後レニ・ミュルべ男爵令嬢を階段から突き落としたというのです。
男爵令嬢は王太子殿下の腕に自身の腕を絡ませ、勝ち誇った目で私を見ていました。
王太子殿下の側近の三人と、三人の後ろにいる大勢の男子生徒(知らない顔ばかりなのでおそらく下位貴族のご子息)が、私に向かって罵詈雑言を吐きました。
「レニ・ミュルべ男爵令嬢が何をしたというのだ!」「もはやこれはいじめではない殺人未遂だ!」「非道だ!」「人の心はないのか! この悪魔っ!」
壇上に上がらなかった令息や令嬢もおりましたが、その方たちは面倒なことに関わるのが嫌なのか、冷めた目で私を見ていました。彼らは私を言葉でののしることはありませんでしたが、私を見る彼らの視線は侮蔑に満ちていて、私をか弱い男爵令嬢をいじめたひどい女だと言っているようでした。
味方のいない状態で私にできることはただ一つ、公爵家の名に傷をつけないよう、凛として振る舞いその場を後にすることでした。
「婚約破棄、承知いたしました」
私はそう言ってその場でカーテシーをし、踵を返しました。
踵を返した瞬間、背後から卵が飛んできて私の銀色の髪を汚しました。
その後もあちこちから卵やジュースが飛んできて、私の髪もドレスも汚れてしまいまして。
ジュースはともかく生卵など会場にはありません。
わざわざ自宅から持ってきたのでしょうか? 用意周到ですね。もったいない、あれだけの卵があれば何人の貧しい民のおなかを満たせたことか……。
生卵が降り注ぐなか、私はひとごとのようにそんなことを考えながら会場をあとにしました。
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