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二章・5話「二度目の城、王様と王妃様ってどんな人? 2」シンデレラ視点
しおりを挟む玉座の間が重苦しい空気におおわれる。
「ほ、本当なのかフィリップ?」
最初に口を開いたのは、王様だった。顔色が悪くこわばっている。
「あなた、フィリップの冗談ですわ。こんな可愛らしいお嬢さんが男なわけあるものですか。フィリップ、そんな見えすいたうそで、わたくしと陛下を騙(だま)そうとしてもそうはいきませんよ」
そう言った、王妃様の顔色もすぐれない。
おふたりは、オレが男だと信じられないようだ。
まぁ、シンデレラちゃんはかわいいからね。
しかもいまは、魔法使いの出したドレスを着て、キラキラしてるし。
オレが王様の立場だったら、シンデレラちゃんが男だと言われても信じない、からかわれていると思う。
「いいえ、うそではありません。ボクは昨夜(さくや)、この者を中庭で抱き、男であることを確かめました」
王子の爆弾発言に、王様の顔色がやや青から→真っ青に変わる。
王妃様は顔を赤らめ、短く悲鳴をあげた。
アホボケ王子! もう少し言い方を考えろよ!
オブラートに包めよ!
王妃様が卒倒(そっとう)しそうだぞ!
つうかこの状況はまずい。
どう考えても、女装したオレが、王子を誘惑し、無理やり関係を迫ったように、周囲には映っているハズ。
実際は逆です! オレは鬼畜(きちく)王子に襲われて、力ずくで処女を奪(うば)われたんです!
王子様と、どこの馬の骨だか分からない女装男。
どちらか一方の言うことを信じろと言われたら、きっとみんな王子様の言うことを信じる。
親ならなおさらだ。
なにこれ? 悪役令嬢の断罪(だんざい)イベント?
オレはこのあと、投獄(とうごく)されるのか? それとも他国に追放? まさか死罪……じゃないよな?
あれれ~~?? おかしいぞ~~?? シンデレラってこんな話だったったかな~~?
ぶりっこの演技が得意などこぞの小学生探偵みたいな、話し方をしてみたが、名探偵みたいに頭は冴(さ)えない。
王子に無理くり犯されて、自宅から拉致(らち)された上に、断罪されるとか、悲惨(ひさん)すぎるだろ?
いやだ! これがゲームならいますぐリセットしたい!!
王様が鋭くオレをにらむ。
心臓がビクン! と震える。
「シンデレラと申したか、今からわしの言うことに、はいかいいえで答えよ」
「…………」
言葉がでない、これが王の威厳(いげん)というやつなのか……。
「返事はどうした?」
「…………はっ、はい」
オレは喉(のど)の奥から、やっと声をだした。
さっきまで、やさしそうなおじさんだと思ってたけど。
さすが一国の王、威圧感(いあつかん)が半端(はんぱ)ない!
「そなたが、男というのは誠(まこと)か?」
「…………はい」
「では、昨夜中庭で王子と体を重ねたというのも事実か?」
「…………」
答えにくい。
おかしい、オレは王子に無理やり犯された被害者なのに、なんでこんなに緊張しているんだ?
「はいか、いいえで答えよ」
王様の鋭い眼光がオレを射抜く。
険しい目でにらむのやめてください、心臓に悪いです!
「…………はい」
オレの答えに、王様の顔色が青から紫に変わる。
王妃様が「ああ~~」と悲鳴を上げ、額を手でおさえた。
死ぬ、きっと王子をたぶらかした罪で処刑される。
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