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15話「救いようのない愚かな人たち」
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「女王陛下発言をお許しください」
「構いませんよアリシア、話しなさい」
「レイモンド様と私の婚約が結ばれる際、父もイエーガー公爵もロビサ様とレイモンド様に事実をお話ししました。どういう訳かロビサ様とレイモンド様は事実を歪曲して解釈していました。その後私が何度説明しても事実を受け入れようとはなさいませんでした」
「そう、救いようのない愚かな人たちなのね」
ロビサ様が私を睨んだ。その顔には余計なことを言うなと書いてありましたが無視しました。
「イエーガー公爵家はフィルタ侯爵家に大恩がある。それなのにあなた方がアリシアにした仕打ちはなんですか?」
ロビサ様と取り巻きの三人は女王陛下から視線を逸らした。
「アリシア丁度よい機会です。あなたがザックス伯爵令嬢とレイモンドにされたことを話しなさい」
「はい、レイモンド様はデートやお茶会、夜会のエスコートや父との会食を当日取り止めにすることが多々ありました。私との予定をキャンセルした日は決まって浮気相手のミランダ・ランド男爵令嬢と宿屋に泊まっていました。
学園で私の良くない噂を流し、放課後私の机をナイフで傷つけ、教科書とノートを破り、お弁当に虫を入れ、人の見ていないところで度々罵倒されました」
会場にいる紳士淑女が互いの顔を見合わせる。レイモンドがそこまで非道な行いをしていたとは知らなかったようだ。
「それからレイモンド様の母親で当時公爵夫人だったロビサ様は、私にお茶会の時間をわざと間違えて教えて遅刻させ『侯爵家の人間は時間も守れない』と叱責。お茶会の間中ソファーの横に立たされ、ネチネチと嫌味を言われました。
古びたドレスを贈ってきてお茶会に着てくることを強要し、古びたドレスを着てお茶会に参加した私を『侯爵家の人間はドレスも買えない』とあざ笑いました」
会場内がざわついた。「信じられない」「なんて陰湿な」という声も聞こえる。
「アリシアが今話した事は事実です。私がアリシアに貸した影が証明しますわ」
女王陛下の言葉で会場はまた静かになった。女王陛下の影を疑うことは王族を疑うことだ。
王族主催のパーティでそんな愚かな行いをする者はいない。そんなことをするのは目の前で捕らえられている四人の女性ぐらいだ。四人の顔は青から紫に変わっていた。
「それからあなた方は何か勘違いしているようだから教えて差し上げますね。アリシアはイエーガー公爵家とランド男爵家からの慰謝料をびた一文受け取っていませんよ」
「「「「えっ……?」」」」
ロビサ様と取り巻きの目が驚愕に見開かれた。
「ランド男爵家の当主は夜逃げ、ランド男爵家の娘は行方不明なので、ランド男爵家からの慰謝料は貰っていません。
イエーガー公爵家が支払った慰謝料を、アリシアは気分が悪いと言って受け取らず、病院や教会に寄付しました。あのお金は貧しい人たちの治療費や家を借りるお金、炊き出しに使われたのですよ」
「そんなの……嘘だわっ! でしたらアリシアが今日着ている豪華なドレスとイヤリングは何なのですか! 侯爵令嬢ごときが買えるものではありません! それこそがアリシアがイエーガー公爵家からむしり取った慰謝料で贅沢している証拠です!」
ロビサ様がわなわなと体を震わせながら叫んだ。
ロビサ様の発言に会場内がざわつく。女王様の許可なく発言し、女王陛下を嘘つき呼ばわりしたのだから当然だ。
ロビサ様の周りにいた取り巻きも顔を青くした。巻き添えをくらいたくないらしい。
「構いませんよアリシア、話しなさい」
「レイモンド様と私の婚約が結ばれる際、父もイエーガー公爵もロビサ様とレイモンド様に事実をお話ししました。どういう訳かロビサ様とレイモンド様は事実を歪曲して解釈していました。その後私が何度説明しても事実を受け入れようとはなさいませんでした」
「そう、救いようのない愚かな人たちなのね」
ロビサ様が私を睨んだ。その顔には余計なことを言うなと書いてありましたが無視しました。
「イエーガー公爵家はフィルタ侯爵家に大恩がある。それなのにあなた方がアリシアにした仕打ちはなんですか?」
ロビサ様と取り巻きの三人は女王陛下から視線を逸らした。
「アリシア丁度よい機会です。あなたがザックス伯爵令嬢とレイモンドにされたことを話しなさい」
「はい、レイモンド様はデートやお茶会、夜会のエスコートや父との会食を当日取り止めにすることが多々ありました。私との予定をキャンセルした日は決まって浮気相手のミランダ・ランド男爵令嬢と宿屋に泊まっていました。
学園で私の良くない噂を流し、放課後私の机をナイフで傷つけ、教科書とノートを破り、お弁当に虫を入れ、人の見ていないところで度々罵倒されました」
会場にいる紳士淑女が互いの顔を見合わせる。レイモンドがそこまで非道な行いをしていたとは知らなかったようだ。
「それからレイモンド様の母親で当時公爵夫人だったロビサ様は、私にお茶会の時間をわざと間違えて教えて遅刻させ『侯爵家の人間は時間も守れない』と叱責。お茶会の間中ソファーの横に立たされ、ネチネチと嫌味を言われました。
古びたドレスを贈ってきてお茶会に着てくることを強要し、古びたドレスを着てお茶会に参加した私を『侯爵家の人間はドレスも買えない』とあざ笑いました」
会場内がざわついた。「信じられない」「なんて陰湿な」という声も聞こえる。
「アリシアが今話した事は事実です。私がアリシアに貸した影が証明しますわ」
女王陛下の言葉で会場はまた静かになった。女王陛下の影を疑うことは王族を疑うことだ。
王族主催のパーティでそんな愚かな行いをする者はいない。そんなことをするのは目の前で捕らえられている四人の女性ぐらいだ。四人の顔は青から紫に変わっていた。
「それからあなた方は何か勘違いしているようだから教えて差し上げますね。アリシアはイエーガー公爵家とランド男爵家からの慰謝料をびた一文受け取っていませんよ」
「「「「えっ……?」」」」
ロビサ様と取り巻きの目が驚愕に見開かれた。
「ランド男爵家の当主は夜逃げ、ランド男爵家の娘は行方不明なので、ランド男爵家からの慰謝料は貰っていません。
イエーガー公爵家が支払った慰謝料を、アリシアは気分が悪いと言って受け取らず、病院や教会に寄付しました。あのお金は貧しい人たちの治療費や家を借りるお金、炊き出しに使われたのですよ」
「そんなの……嘘だわっ! でしたらアリシアが今日着ている豪華なドレスとイヤリングは何なのですか! 侯爵令嬢ごときが買えるものではありません! それこそがアリシアがイエーガー公爵家からむしり取った慰謝料で贅沢している証拠です!」
ロビサ様がわなわなと体を震わせながら叫んだ。
ロビサ様の発言に会場内がざわつく。女王様の許可なく発言し、女王陛下を嘘つき呼ばわりしたのだから当然だ。
ロビサ様の周りにいた取り巻きも顔を青くした。巻き添えをくらいたくないらしい。
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