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十八話「それから……」
しおりを挟む―ドミニク視点―
王宮の図書館から、古い古い書物が発見された。
宮殿の倉庫の大掃除してたら偶然発見され、そのまま焼却処分されるところだったのを、学者の一人に拾われたらしい。
あまりに古すぎて王都の学者や教会のお偉いさんからも、すっかり忘れ去られた一冊の書物。
その本によると、女神はその時代の王もしくは次の王になる者の前に現れる。
つまりは、女神を最初に見つけたやつが次の王様ってこと。
女神がレヴィン王子の前に現れた時点で、レヴィン王子が次の王になることは決まっていた訳だ。
この書物のことも書物に書かれた内容も、皆が忘れていてよかったと思う。
本が発見されたのが前国王レオポルド様の崩御の後でよかったと、心の底から神に感謝した。
学者の見解は、大昔の王が女神が自分以外の誰かのところに現れ、自分が廃位されることを恐れこの本を封印したのだろう……という話だった。
この本を隠した王は【女神は発見者のものではなく時の王のもの。女神の発見者は速やかに女神を時の王に献上せよ】と自分に都合よく史実を書きかえたのだ。
次第に書きかえられたことすら忘れ去られ【女神は時の王のもの】という古い伝説だけが残った。
それが幸いした。
レヴィン王子の兄であるレオポルド前国王がこの本に書かれた内容を知っていたら、レヴィン王子は殺されていた。
前王レオポルド様は、レヴィン王子に女神のお守りをさせ、その間に正室と側室の粛清を行った。
他に妻がいては、女神を妻に迎えることができないからだ。
前王レオポルド様にとって、子を生めない無能な側室を切り捨てるいい機会だったのだろう。
一度情を交わした女たちをなんのためらいもなく排除した、誠に恐ろしいお方だ。
前王レオポルド様がレヴィン王子に女神の護衛を頼んだのは、レヴィン王子を信用しているからじゃない。
正室と十二人の側室を一掃する前に、女神を王都に連れて来られ、女神を王宮のゴタゴタに巻き込まれるのを避けたのだ。
最悪追い詰められた側室が女神を殺すかもしれない。そうなっては元も子もない。
かといって他に任せられる貴族もいない。女神を寝取られ、謀反を侵されるのかオチだ。
世界一ストイックに生きているピュア童貞のレヴィン王子なら大丈夫だろうとたかを括り、女神をシェーンフェルダー公爵家に預けておいたのだ。
前国王が側室たちを粛清している間に、清らかなお二人が心のつながりを深め、初恋を育まれてをいるとも知らずに。
両思いなのにキスどころか手をにぎろうとしない。お二人とも見てるこっちが恥ずかしくなるぐらい純粋で、五歳児の恋愛の方がまだ進んでいると思ったね。
そして王の誤算がもうひとつ、正室の粛清に思ったよりも時間がかかったことだ。
側室はすぐに叩きだし歯向かう者は容赦なく殺したが、高位貴族出身で王宮に派閥を持つ正室はそうはいかなかった。
どろどろの愛憎劇の果て、追い詰められた正室が、陛下に刃を向けた、王も応戦するために剣を抜いた。そのとき雷が落ち、二人同時に亡くなったのだ。
死ぬときまで一緒とは、仲がいいのか悪いのか分からないお二人だ。
そんな訳で、第一王位継承者のレヴィン王子に王位が転がりこんできた。
正室との争いの最中ゆえ女神の王都行きを遅らせろと、レヴィン王子様に伝えに行くはずだった使者は、王の崩御を知らせる使者へと早変わりした。
女神が全裸で召喚されたのは、第一発見者に速やかに美味しく食べられるためらしい。
こんなことを言っては神様に失礼だが女神を召喚した神はなかなかの変態だ。
世界一清く生きてるピュア童貞のレヴィン様には逆効果だったみたいだが。
女神の裸を見たドキドキを恋のドキドキと勘違いしたから、結果オーライ?
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