異世界に転移したら王弟殿下に溺愛されました 私が伝説の女神ってマジですか?・完結

まほりろ

文字の大きさ
18 / 27

十八話「それから……」

しおりを挟む

―ドミニク視点―




王宮の図書館から、古い古い書物が発見された。

宮殿の倉庫の大掃除してたら偶然発見され、そのまま焼却処分されるところだったのを、学者の一人に拾われたらしい。

あまりに古すぎて王都の学者や教会のお偉いさんからも、すっかり忘れ去られた一冊の書物。

その本によると、女神はその時代の王もしくは次の王になる者の前に現れる。

つまりは、女神を最初に見つけたやつが次の王様ってこと。

女神がレヴィン王子の前に現れた時点で、レヴィン王子が次の王になることは決まっていた訳だ。

この書物のことも書物に書かれた内容も、皆が忘れていてよかったと思う。

本が発見されたのが前国王レオポルド様の崩御の後でよかったと、心の底から神に感謝した。

学者の見解は、大昔の王が女神が自分以外の誰かのところに現れ、自分が廃位されることを恐れこの本を封印したのだろう……という話だった。

この本を隠した王は【女神は発見者のものではなく時の王のもの。女神の発見者は速やかに女神を時の王に献上せよ】と自分に都合よく史実を書きかえたのだ。

次第に書きかえられたことすら忘れ去られ【女神は時の王のもの】という古い伝説だけが残った。

それが幸いした。

レヴィン王子の兄であるレオポルド前国王がこの本に書かれた内容を知っていたら、レヴィン王子は殺されていた。

前王レオポルド様は、レヴィン王子に女神のお守りをさせ、その間に正室と側室の粛清を行った。

他に妻がいては、女神を妻に迎えることができないからだ。

前王レオポルド様にとって、子を生めない無能な側室を切り捨てるいい機会だったのだろう。

一度情を交わした女たちをなんのためらいもなく排除した、誠に恐ろしいお方だ。

前王レオポルド様がレヴィン王子に女神の護衛を頼んだのは、レヴィン王子を信用しているからじゃない。

正室と十二人の側室を一掃する前に、女神を王都に連れて来られ、女神を王宮のゴタゴタに巻き込まれるのを避けたのだ。

最悪追い詰められた側室が女神を殺すかもしれない。そうなっては元も子もない。

かといって他に任せられる貴族もいない。女神を寝取られ、謀反を侵されるのかオチだ。

世界一ストイックに生きているピュア童貞のレヴィン王子なら大丈夫だろうとたかを括り、女神をシェーンフェルダー公爵家に預けておいたのだ。

前国王が側室たちを粛清している間に、清らかなお二人が心のつながりを深め、初恋を育まれてをいるとも知らずに。

両思いなのにキスどころか手をにぎろうとしない。お二人とも見てるこっちが恥ずかしくなるぐらい純粋で、五歳児の恋愛の方がまだ進んでいると思ったね。

そして王の誤算がもうひとつ、正室の粛清に思ったよりも時間がかかったことだ。

側室はすぐに叩きだし歯向かう者は容赦なく殺したが、高位貴族出身で王宮に派閥を持つ正室はそうはいかなかった。

どろどろの愛憎劇の果て、追い詰められた正室が、陛下に刃を向けた、王も応戦するために剣を抜いた。そのとき雷が落ち、二人同時に亡くなったのだ。

死ぬときまで一緒とは、仲がいいのか悪いのか分からないお二人だ。

そんな訳で、第一王位継承者のレヴィン王子に王位が転がりこんできた。

正室との争いの最中ゆえ女神の王都行きを遅らせろと、レヴィン王子様に伝えに行くはずだった使者は、王の崩御を知らせる使者へと早変わりした。




女神が全裸で召喚されたのは、第一発見者に速やかに美味しく食べられるためらしい。

こんなことを言っては神様に失礼だが女神を召喚した神はなかなかの変態だ。

世界一清く生きてるピュア童貞のレヴィン様には逆効果だったみたいだが。

女神の裸を見たドキドキを恋のドキドキと勘違いしたから、結果オーライ?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

蝋梅
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

冷酷騎士団長に『出来損ない』と捨てられましたが、どうやら私の力が覚醒したらしく、ヤンデレ化した彼に執着されています

放浪人
恋愛
平凡な毎日を送っていたはずの私、橘 莉奈(たちばな りな)は、突然、眩い光に包まれ異世界『エルドラ』に召喚されてしまう。 伝説の『聖女』として迎えられたのも束の間、魔力測定で「魔力ゼロ」と判定され、『出来損ない』の烙印を押されてしまった。 希望を失った私を引き取ったのは、氷のように冷たい瞳を持つ、この国の騎士団長カイン・アシュフォード。 「お前はここで、俺の命令だけを聞いていればいい」 物置のような部屋に押し込められ、彼から向けられるのは侮蔑の視線と冷たい言葉だけ。 元の世界に帰ることもできず、絶望的な日々が続くと思っていた。 ──しかし、ある出来事をきっかけに、私の中に眠っていた〝本当の力〟が目覚め始める。 その瞬間から、私を見るカインの目が変わり始めた。 「リリア、お前は俺だけのものだ」 「どこへも行かせない。永遠に、俺のそばにいろ」 かつての冷酷さはどこへやら、彼は私に異常なまでの執着を見せ、甘く、そして狂気的な愛情で私を束縛しようとしてくる。 これは本当に愛情なの? それともただの執着? 優しい第二王子エリアスは私に手を差し伸べてくれるけれど、カインの嫉妬の炎は燃え盛るばかり。 逃げ場のない城の中、歪んだ愛の檻に、私は囚われていく──。

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

面倒くさがりやの異世界人〜微妙な美醜逆転世界で〜

蝋梅
恋愛
 仕事帰り電車で寝ていた雅は、目が覚めたら満天の夜空が広がる場所にいた。目の前には、やたら美形な青年が騒いでいる。どうしたもんか。面倒くさいが口癖の主人公の異世界生活。 短編ではありませんが短めです。 別視点あり

処理中です...