魔法少女ピンク

柊原 ゆず

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第一話 少女の憧れ

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「ほんっとうにかっこいいの!ピンクちゃんは!」
「はいはい、かっこいいね」
「もうっ!ちゃんと人の話聞いてる?」
「聞いてるってば」

 毎日毎日飽きないことだ。キラキラとした瞳で『ピンクちゃん』について話す隣の幼馴染を見てはこっそりと溜め息を吐いた。
 彼女が話す『ピンクちゃん』とは、魔法少女ピンクのことだ。ツインテールにした桃色の髪が特徴的な、桃色のドレスを纏った少女。彼女は自らを『魔法少女ピンク』と名乗り、他の魔法少女と共にこの世界を守っている。
 そもそも魔法少女とは、ここ数年の間に突如として現れた、魔法を武器にして戦う少女達の総称だ。かつては、強大な力を持つ彼女達に、世界が問題視していた。しかし、彼女達が民間人に危害を全く加えないことや、その意思がないことが分かり、現地の警察や自衛隊と連携を取るようになる。そんな彼女達は毎日のようにニュースに取り上げられ、人々の注目を集めていった。やがて、人々の平和を守るヒーローとして人気を集めるようになり、半ばアイドルのように扱う者まで現れた。事実、一部の魔法少女はコンサートを開いてファンと交流していたりする。残念ながら魔法少女ピンクはこの限りではないが。
 僕の幼馴染である佐藤 陽菜は魔法少女ピンク、通称ピンクちゃんに憧れを抱く女子高校生だ。おかげで毎朝の登校はピンクについて彼女が熱く語る場と化してしまった。

「あーあ、ピンクちゃんとお友達になれたらなあ」

 陽菜が呟く。彼女はいつも最後には寂しそうにこう言うのだ。

「ピンクちゃんとお友達になれたら一緒にショッピングしたり、帰りにクレープ食べたり、プリクラ取って宝物にするんだけどなあ」
「……ふーん。それはさぞかし楽しいだろうね」
「ね!つむちゃんもそう思うでしょ?」

 僕は気付かれないように拳を握りしめる。それ、全部僕と一緒にしていることなんだけど?僕じゃ満足できないわけ?そう言ってやりたいが、ここは我慢だ。僕はぐっと言葉を飲み込む。

「ピンクちゃんとつむちゃんと私の三人で遊んだら絶対楽しいよね!」
「……そうかもしれないね」

 そうこうしているうちに教室に辿り着く。

「じゃ、また放課後ね!」

 陽菜は手を振ってから教室へと入っていった。彼女が教室に入っていくのを見送って、僕は盛大な溜め息を吐いた。毎日毎日ピンクピンクピンクと言われ続けるのは鬱陶しいことこの上ないが、憂鬱なのはこれだけが原因ではない。何故ならば魔法少女ピンクの正体はこの僕、つむちゃんこと伊東 紬紅だからだ。

→To be continued...
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