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第五話 我慢できない
しおりを挟むどうして、こんなことに。エリザベスは快感の波に呑まれながら、異常すぎる現状に混乱していた。
「ぁ、ん、ひあぁッ……!」
「ねえさま、ねえさま……!ぐ……ッんん、あい、して……、あいして、おります……ッ!」
反り立つ肉棒がグレイ自身の手によって上下に扱かれていく。欲望に任せた乱暴なまでに荒々しい自慰。今だ寝たふりを続けるエリザベスの耳にグレイのカウパー液によって生じた水音が這うように響く。グレイが欲情する対象はエリザベスであり、その生々しい水音は彼女の鼓膜を犯すように卑猥であった。追い打ちをかけるように、イシードによって陰核を嬲られる快感にエリザベスは身を震わせる。血の繋がった兄弟に耳と秘部を犯され、彼女は快楽と共に恐怖を感じていた。今すぐ逃げたいが、自分が起きていると知れたら、次は何をされるか分からない。起きていると悟られないように、声を抑え、快感をやり過ごさないと。そう思うエリザベスは次の瞬間に与えられる愛撫に為すすべなく喘いでしまう。意思とは裏腹に、身体はすっかりイシードに調教されていたのだった。
「ッは、はあ、あ、……ねえさま、ごめんなさい、俺、もう……がまん、できない……」
「ん?!ん、んぅ……ッふ、や、んぅ……!」
自制心によって縛り付けられていたグレイの欲望が溢れて留まることはない。エリザベスの柔らかく肉厚な唇に、グレイは噛みつくように唇を重ねた。彼女は唇をこじ開けられ、縮こまる舌を無理矢理引きずり出される。イシードとは違い、エリザベスの空気ごと奪ってしまうような荒々しいグレイの接吻に、彼女は生理的な涙が浮かぶ。酸欠に喘ぐ彼女は、助けを求めるように薄く瞼を開けた。涙で滲む視界に、イシードが映った。いつの間にか前戯を止めていた彼はグレイに唇を犯されるエリザベスを目を細めて見ていた。彼女は瞬時に、目が合ってしまったことを理解した。エリザベスは誤魔化すように目を閉じた。寝たふりをする自分に気付いたイシードに、一体何をされてしまうのだろう。エリザベスは身を固くしたが、彼は何をするでもなく彼女を見つめるだけだった。
エリザベスの口内を蹂躙したグレイは、満足したのか唇を離した。
「はあ、はあ……ねえさま、おれ、貴女の耳が好きなんです。照れると赤くなる可愛い耳が……♡」
「ッ……?!」
「ずうっと、食べたいって思ってたんです……。耳も、食べちゃっていいですよね……?」
エリザベスはこれから起こることを思い、身震いする。それは恐怖か、歓喜によるものなのか、彼女には分からない。いずれにせよ彼女に拒否権はなかった。頬を赤く染め、恍惚とした笑みを浮かべたグレイは口を開けた。
「いただきます……♡」
「ヒッ、や、———ッ!」
かぷ、と耳輪を甘噛みするグレイに、エリザベスは声を震わせた。彼の湿度の高い息が耳にかかり、ゾクゾクと背筋に快感が走る。形を確かめるように耳を舐めるグレイの舌に堪らずエリザベスは声を上げてしまう。
「耳、弱いみたいだね。寝ているというのに、僕の妹は淫乱だったのかな」
「ッ、んんッ……!」
反対側から囁く声が聞こえ、否定する間も無くエリザベスは予期せぬ快感に背を反らせてしまう。悪戯に笑うイシードの声だった。彼は、エリザベスが起きていると知っているはずなのに。いや、起きていると分かっているからこそ責めたてているのかもしれない。イシードの真意は分からない。もっとも、エリザベスには考える余力など残されていなかった。右耳はグレイが嬲り、左耳はイシードが耳孔に舌を差し入れているのだ。頭の中まで犯されているような心地に、エリザベスは嬌声を抑えることなどできなかった。
「あッ、あ、あぁッ、や、あ―――ッ!」
エリザベスは再び背を反らし、果ててしまうのだった。
つづく
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