エロゲの豚野郎に転生してなるべく怒りを買わないようにしたらヒロインたちの好感度がカンストした

竜頭蛇

文字の大きさ
3 / 48

今こそ王国貴族の誇りを示す時!

しおりを挟む


「ハアハア、シルヴィア馬車まで何キロだ?」

「100メートルほどです」

 この体を動かしてわかったことがある。
 めちゃくちゃ体力がない上、脂肪が邪魔して動きにくい。
 常時デバフが入っているようなものだ。
 肉体の全盛期だというのに元の世界の俺の体(おじさん)より体の調子が悪いのはまずいですよ。
 もしかしてこのゲームで豚野郎だけグフフなシーンがなかったのは体力的な面で厳しいとか言う世知辛い理由からか。
 見た目モロリアルオークなのにおかしいと思ったんですよ。
 ダイエットしないと確実に早死にしますねこれ。
 
 いかん、ダイエットどころか馬車にたどり着く前にあの世に行きかねん。
 確か上級魔法に動きをブーストする奴があった気がする。
 もはやそれを使う以外に俺に残された道はない。
 よし、イケ、上級重力魔法『兎歩』。
 キタキタめちゃくちゃ体が軽い。
 羽根になったと言っても過言ではない。
 実際に修練して無くても覚えてればこっちでも使えるんだな。
 
「ああ、こちらです。どうぞどうぞ、侯爵様」

 牛歩ならぬ豚歩の先ほどとは打って変わってスイスイで目的の通りまで行くと馭者だろうオッサンがヘイコラしながらこちらをエスコートしてくれる。
 どうやら脂汗を流しているところを見るに馭者まで俺の悪評は広まっているようだ。
 一月でやることやってますねえスラン君。

「ご苦労」

「侯爵様から私どものようなものに労いのお言葉を頂けるとは恐悦至極にございます」

 感謝の言葉を言って気安くしたつもりだが、さらに萎縮する。
 当たり前と言えば当たり前だが行動を伴ってなければ、積み上がった負債は消えなさそうだ。

「では出発します。揺れますのでお気をつけて下さい」

 物憂いなと思っていると馬車が出発し始めた。

「シルヴィア狭くないか?」

「いえ、大丈夫です」

 図体のでかい俺が座席の結構なスペースを占領してしまっているので、シルヴィアに尋ねると不思議そうな顔で俺を見る。
 モラハラ上司がいきなり優しくなったら怖くてたまらんか。
 いかんな、不審を呼ぶとわかてっても、底辺社畜としてヘイコラするのが癖になっているせいでヘイコラしてしまう。
 なるべく控えないとな。
 シルヴィアの精神衛生上、一番いいのは俺と行動を共にないことだが、この娘はスランの実家──デストン家からスランの監視を帯びているので下手に離すとどうなるか分からないからそれもできない。
 職務放棄は絶対許しませんとかだったら実家に感知された瞬間に始末されそうな気がするしな。
 なんかわかるまで一緒に居た方がいいだろう。
 お試しでサブヒロインに死なれても敵わんからな。

 グウウ。

 立ち振る舞いについて内心で云々していると腹の鳴る音が聞こえた。
 即座に俺を見るシルヴィア。
 冤罪ですよ。
 君は太ったことがないから知らんかもしれんがデブは基本的に腹が減る前に食ってるから腹が鳴る確率は普通の人と比べて極めて低いんですよ。
 いやマジで。

「も、申し訳ありません。今日は朝から食ってないもので」

 沈黙に包まれる馬車の幌の中、犯人こと腹の音の主、馭者おじさんが自白した。

「別に構わん。だが万全じゃない状態で運ばれても気が休まらん。食うものを食ってから運んでくれ」

「ご寛大な心に感謝します。侯爵様を待たせるなど滅相もありませんので食いながら運ばせて頂きます」

 そういうと馭者おじさんは近くの袋からパンを取り出すと齧り始めた。
 俺の内なるスランもしくは食欲が刺激されたのか、俺の意思に反して馭者おじさんのパンに手が向かう。
 鎮まれ! 俺の中のスラン

 流石に食べていいよからのお前のものは俺のものはジャイアンでもドン引きだ。
 なるべく馭者の方を見んようにするか。
 目を逸らして窓から外に目を向けると寂れた村に人だかりができているのが見えた。
 中心を見ると聖女ことメインヒロインのローゼリンデがいるのを確認できた。
 どうやら休日まで慈善活動をしに来ていたようだ。
 本編でもないところでもお仕事とは聖女も大変だな。
 まあ俺が感知してないだけで本編と関わりがあるかもしれないが。
 それというのも『ティンクルフィーバー』は予算の問題なのか、そういうこだわりからか知らんが、アイテムの説明文に断片的に本編では伏せられているエピソードの情報が書かれているのだ。
 だから複数のアイテムの説明文を閲覧しなければ知ることのできない本編関連の潜在ストーリーが存在する。
 ストーリー厨には垂涎かもしれないが、俺は主にこのゲームのエロい部分にしか興味がなかったので無論確認していない。
 まあどうせローゼリンデの頑張ってるエピソードの補填くらいか何かだろう。

「うん?」

 そう思いながらぼんやり眺めていると上空から突如この世界で鎧と言われる巨大人型ロボットが四体飛来してきた。
 近くに居た聖騎士たちが慌てて聖女を馬に乗せて逃げるところを見るとあれは曲者らしい。
 大変なことになったもんだ。

「聖女様こちらへ!」

 他人事のようにそう思っていると聖女を連れた聖騎士たちは鎧を確保して反撃に転じるためか、鎧を多数保有している騎士学園に向けて進路を向け始めた。
 当たり前だが俺らは学園からこちらに来ているので聖騎士たちとかち会うことになる。
 まずいですね、これは。
 この世界の貴族は強権を持つ代わりに民の危機が訪れれば必ず守らなければいけないという義務を負っている。
 無論俺も例外ではなく、絶賛鎧に村がファイアーされてるこの状況で見て見ぬ振りをしていることがバレればやばいことになる。
 王様からは苦言、スランパパからは死をもらうことは想像に難くない。
 転生すぐブッコロは勘弁ですよ。
 教会はデストン家とは仲悪いから伝家の宝刀マネーパワーで口封じもできないし。
 もうこれ詰んだな。
 もはや村に向けて俺は村を助けるぞとか言って突撃して、すぐ離脱するしかない。
 残機0で弾幕ゲーをするハメになるとはおのれ教会。
 いや待てよ、一発バレなければワンチャン。
 うーん。
 体がデカすぎて隠れようとするとシルヴィアを押しつぶすことになるので無理ですね。

「あ、あなたはスラン様!?」

 はい、案の定バレました。
 豚野郎、逝きまあああす!

 馬車の扉を開けて外に出る。

「なんということだ! 民たちが傷ついている! 今こそは王国貴族としての誇りを示す時! 行くぞおおおお!」

「ご、ご主人様!?」

 聖騎士たちを尻目に上級風魔法『飛行』を使って、フルスロットで村に突貫していく。
 当たり前だが飛ぶ豚野郎を見た鎧たちはすぐ目をつけて魔法の一斉掃射してくる。
 まずいですよ。これは。
 逃げ切る前に蜂の巣になります。
 近くにある窪地に逃げ込む。
 隠れて当たるはずがないというのに、威嚇射撃なのか頭上を鎧の魔力増幅機構で強化された対鎧用攻性魔法が通り過ぎていく。
 殺意高。
 一度見つけたら即ロックオンするなこいつら。
 生身の人間なんか鎧の相手になるわけがないのでほっといけばいいというのに。
 巨大ロボットを生身で相手できるのは東方不敗だけだということを知らないのか。

 飛び出したら高確率で死ぬし、待ってても近づいてやられるだけだしな。
 クソゲすぎる。
 あるわけはないと思うがなんかないか。
 周りを見回してみると、よく見ると泥に塗れて景色と同化している仰向けの耕作用鎧があるのが見えた。
 物理と衝撃には滅法強いが魔法に滅法弱い対鎧用魔法使用不可のネタ鎧だ。
 こんなもんPVPでやったら戦いにもならないが、相手は野生のモブ。
 こいつで戦った方がまだ生還の目があるか。

 耕作用鎧のハッチを開くと飛び乗る。
 起動させると問題なく動いた。
 流石に魔石──バッテリー切れということはなかったらしい。

「それでもやっぱり万全とはいかないか。二分の一切ってるな。現役で酷使されてるし、しょうがない」

 ハッチを閉じて、転がってうつ伏せの状態になると魔法の弾幕から少しズレた位置まで匍匐前進で移動する。

「よし、悪質タックル行くぞ」

 耕作鎧のパワーセーフティを解除すると、Gで死ぬのを避けるために中級光魔法『障壁』を掛けて突進とともにキックを相手の鎧のハッチに向けて放つ。
 操縦している中のパイロットがGで死ぬレベルの挙動で動いているので碌に反応もできずに相手の鎧はキックをモロにくらいコックピットを凹ませて倒れると、キックの反動を利用して近くにいるもう一体の鎧のハッチに向けて拳を叩き込む。
 ゲームではこれで即死だったのでこれで即死になってくれればいいが。
 まあ悪くても気絶くらいにはなってくれているだろう。
 次行くか。

『ジェットおおおおお! コザーアアアル! 一瞬で大破した!? 一体何が──ぐああああああ!!』

 再度悪質タックルを放ってキックでハッチを凹ませて壊すと最後の一体に反動そのままに拳を繰り出す。

『舐めるな!』

 流石に二回見せたこともあり、バレたか。
 魔法を直撃コースで放ってきたので、勢いを殺すことになるが屈んで回避行動を取る。

「距離が近すぎたな。頭に被弾した」

 魔法の着弾した衝撃で勢いを殺され、碌に周りが見えんので相手の鎧に抱きついて拘束する。

『往生際が悪いぞ! 時間稼ぎのつもりか! 人族風情が!』

「時間稼ぎのつもりなど毛頭ない」

 自爆ボタンを押すと排出機構が作動し、鎧から強制脱出させられると爆風で吹き飛ばされる。

『ああああああああ!!』

 爆発と破砕音、敵の絶叫をバックに地面を転がる。
 とりあえず村に来てた鎧についてはこれで全部やれたな。

「死ぬかと思った……。障壁がなかったら死んでただろこれ」

 仰向けの状態から身を起こすと空の一点に一隻の戦艦が浮かんでいるのが見えた。
 マジか。
 あいつもか。
 戦艦からファイアされたら村ごと吹き飛ばされるんですが。
 今先やっちゃたけどまだ動く鎧はないかな。
 一体目と三体目は完全にコクピットが潰れているが、二体目の奴はハッチが吹っ飛んで中の人がミンチになってるだけで済んでるのが見えた。
 グロいな。
 とりま、この人どけて動くか試すか。
 ミンチを『飛行』で飛ばして、コクピットに乗ると動いた。
 ちょっとモニターにノイズが走ってるが、長期運転するわけじゃないし大丈夫だろう。
 戦艦を落とすには膨大な魔力が必要なゆえに王族のみが使用できる最上級魔法の極大魔法が必要なのだが、一応王族で条件を満たしているが碌に鍛えていないスランだと二発欲しいところ一発が限界だ。
 距離離れていると威力落ちるから、近距離の極大魔法で攻めるしかないな。
 隙を見せたら弾幕に撃ち抜かれてバイバイなので、隙がない奴で行かなければいけない。

「南無三」

 鎧の手持ちの武器の剣の切先を宙に浮かぶ戦艦に向けると、極大魔法『天魔失墜』を発動する。
 周りに金色のオーラを生じさせると戦艦に向けて超加速して突進していく。
 ちょうど真下から突進していったのでバレなかったのか、戦艦から反抗を受けることなく貫くと大爆発が起きた。

「終わった。ついに終わった……。一般おっさんには身が重いわ。もう勘弁ですよ」

 全てが終わったことを悟ると馬車に向けて降りていく。










しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる

アミ100
ファンタジー
国立大学に通っていた理系大学生カナは、あることがきっかけで乙女ゲーム「Amour Tale(アムール テイル)」のヒロインとして転生する。 自由に生きようと決めたカナは、あえて本来のゲームのシナリオを無視し、実践的な魔法や剣が学べる魔術学院への入学を決意する。 魔術学院には、騎士団長の息子ジーク、王国の第2王子ラクア、クラスメイト唯一の女子マリー、剣術道場の息子アランなど、個性的な面々が在籍しており、楽しい日々を送っていた。 しかしそんな中、カナや友人たちの周りで不穏な事件が起こるようになる。 前世から持つ頭脳や科学の知識と、今世で手にした水属性・極闇傾向の魔法適性を駆使し、自身の過去と向き合うため、そして友人の未来を守るために奮闘する。 「今世では、自分の思うように生きよう。前世の二の舞にならないように。」

処理中です...