蜜より甘いキスをして

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第1章 出会い編

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私には秘密がある。

それは魔法が使えること。

ただの魔法ではない。


精霊魔法。そう言われる魔法。

小さい頃か精霊が見える私はどうやら無意識に精霊魔法を習得してしまったらしい。


けれどこの精霊魔法とやらは伝説と呼ばれる程珍しく今ではおとぎ話等に、出てくるほどらしい。


もしバレたら国のお偉いさん達に捕まって研究される、そんな可能性もあると考えた私はこの魔法が使えることを隠した。


必死に隠した。



私の名前はトリシア・ティノ・リーンベルト。


“今は”リーンベルト家という歴史ある家の令嬢だ。



私は元孤児だった。


でもお父様が私の秘密に気付き養子にならないかと言ってくれた。

その時、ちゃんとお父様は私の意思を聞いてくれた。

だから私は自分から養子になった。

お父様は私の秘密関係なしに実の子供のように愛してくれ、時にはしかってくれた。


だから私もお父様は大好きだ。


でも、町で育ったからか、まだ令嬢としての振る舞いは苦手で、礼儀作法などの勉強は嫌いだ。


パーティー、や舞踏会など、ましては夜会などはは大嫌いだ。


昔から何かと理由をつけて欠席している。


だからなのか秘密姫なだとふざけたあだ名がついたのも知っている。


お父様も何も言ってないので今までは思う存分屋敷に引きこもっていた。




しかし私も今年で18、それそろ婚約者がいないとおかしい。


私も嫌だ、きらいだなどと幼稚な考えは捨てなければならない。



と思いつつ、今日もまた屋敷にひきこもっている。



精霊達が騒いでいる。

そろそろメイドのウィンディが起こしにくる時間だ。


んーまだこのシルクのベッドで睡眠をむさぼりたい。


コンコン


「失礼します。起きてください、お嬢様。今日はいい天気でございます。よかったですね。」


あーウィンディがきた、起きなきゃ。でもまだ.........ねむい。



「お嬢様、今日はあの日ですよ。いかないのですか?」


バッ!!!


「そうだったわ!!!ありがとうウィンディ!!」


いけない!すっかり忘れてた。今日は月に一度のお忍びの日だ。


のんびり寝てる暇なんてないわ!!


お忍びは令嬢だとばれない格好をして町に遊びに行くことで私の楽しみだったりする。


町にいくと孤児だった頃からの親友、ニーナにあえる。


彼女は町でパン屋をしていて家庭も持っている。

自慢の親友だ。



「お嬢様、お洋服はこちらで大丈夫ですか?」

ウィンディが不安気にきく。


それもそうだろう、だってその服は町娘が着る、簡素な服で私みたいな令嬢は本来なら触ることすらないような服だから。


「ええ、用意してくれてありがとう。あ、いつも言ってるけど町ではお嬢様じゃなくてトリシア、もしくはさん付けでよんでね?」


お忍びはウィンディと護衛の3人で行くためそう注意しておく。

町の中でお嬢様なんて呼ばれたらたまったもんじゃない。


「ですがお嬢様、毎度申し上げておりますが……「いいのよ!お父様もいいって言っていたから」……かしこまりました。」


不承不承と言うふうにウィンディは了承する。


「よし、それでは行きましょうか!!」
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