君と世界にたった1杯の珈琲を

にもの

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1章・箱庭

8.処分 (オマケあり)

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「身体は大丈夫そうね。」
そう言ってルナがベガから離れた
「ベガ、少し話そう。」
アルタイルはそう言って新しくコーヒーを入れた。
「アル……アル!わたし!!っ」
「わかってる。大丈夫だ。」
ベガはその小さな心で自分がとんでもないことをしてしまったと自覚しているようだった。そのせいか落ち着きもない。
「ベガ、あの力が何なのか自分でも分からないのか?」
「……うん。ああなる前に何か夢を見ていたような気がする。」
「どんな夢だ?」
「覚えてない。」
「そうか、あれは自分の意思ではなかったのか?」
「…………自分じゃない。でも、自分の……自分の意思だった…自分じゃない他の自分が出てきたような感覚だった…」
「そうか。」
アルタイルの表情は変わらなかった。
「ベガ、今回のことは事故とも事件とも言い難い、何よりベガはまだ子供だ。私はベガを自分の娘のように思っている。だからあまり大きな罪を背負わせることはしたくない。だけど立場上は私の部下でもある。」
「わかってる。」
ベガはアルタイルの目をはっきりと見ていた。
「クロード・F・ベガ、半年の謹慎処分とする」
アルタイルは騎士団長たる堂々とした声で言った。ベガは何も言わなかった。
その後、アルタイルは空になったマグカップを机に置き、医務室を後にした。

その夜、医務室の扉が開く音でベガは目を覚ました。
「誰?」
ベガがそう言う頃には、ベッドの隣に銀髪のメイドが立っていた。
「こんばんは。ベガさん。私はラーナです。」
「綺麗……」
ベガはラーナの佇まいから言葉が漏れだした
「綺麗ですか。皆さん私を見ると不気味がります。綺麗と言われたのはあなたを入れてたった2人だけです。あ、あなた目が見えないんでしたね。」
「ラーナさん……こんな時間にどうして」
「はい。元帥から貴方を見ておくようにと言われましたので、こうしてまいりました。ですが時間の配慮は確かに欠けておりましたね。申し訳ありません。なにぶん忙しい身でして。」
「私の世話をするってこと?」
「お世話……どうでしょう。私はベガさんを見ておくようにとしか言われておりませんので。」
「そうなんだね。きっと退屈になるよ。」
「どうしてでしょう?」
「私がここから出ることはもうあんまりないと思う。」
「引きこもるおつもりなのですか?」
ラーナは続く会話の中で表情ひとつ変えずに同じトーンで、まるで機械のような話し方だった。
「引きこもるおつもりならオススメしません。」
「引きこもるも何も、私は半年間外に出られない。」
「騎士団にとって任務が全てという訳ではありません。この半年の謹慎という期間、外に出られないのではなく、ずっと中にいられると考えてみてはどうですか。」
「……??それってどういう……」
「答えが出ましたらお教え下さい。私はベガさんの傍にいますので。」
そう言って最後に少しだけ笑い、ラーナは姿を消した。
ベガの心の内を見透かしたような、まるで何を考えているのかわからないような、そんな曖昧な話し方だったが、どこか本質を付いているようだった。
ただ、それまで落ち込んでいたベガは頭の中で何かが転換したような気がしたが、すぐに眠りについた。


_____________

【オマケ『ナツメの苦労』(セリフのみ)】

「ナツメー!クッキー持ってるでしょ!」
「うぇ?!」
「やったー!ありがとう!」
「おい、ちょ、飛びかかって横取りしただけだろ!!!」



「……ってことがあったんすよ…団長」
「お前がクッキーなんか隠し持ってるのが悪いだろ。」
「えー?!……あ!それにこの前も…」



「ナツメー!肩車!」
グキッ
「ぐっはぁっっ!……」
「ナツメ首どうかした?」
「ベガちゃん……急に人の首に飛び乗ることを世間では肩車とは呼ばないよ……」



「ってことがあったんすよ!」
「お前の首が弱いのが悪いだろ。ベガは何も悪いことはしていないぞ。」
「はぇ!?!(この人本気で俺が悪いと思ってる…)」

「団長って、案外親バカなんすね。」
「はぁ?」
「ちょ、ちょちょちょまっ、じょ、じょーだんっすよ!!だからその剣を鞘から抜こうとしないで……」
「ふざけるのも大概にしろナツメ。」
「すみません……(やっぱり子は親に似るんだな)」
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