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1章・箱庭
11.メイドたるもの
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「団長、ベガちゃんのこと気になってんすか?」
「なんだ急に。」
「だってほら、コーヒーもう4杯目ですよ?」
「っ……」
アルタイルはコーヒーを口に持っていく途中で手を止めた。
「ナツメ、お前こそこんな所でダラダラしていていいのか?お前に回ってきている書類がかなりの量あったはずだが」
「っ……」
今度はナツメがクッキーをかじろうとしたが、手を止めた。
2人ともいつものように医務室にいたが、最近はベガがラーナに力の扱い方を教わっていて医務室にいないことが多く、ナツメもアルタイルもベガのことが気になるのだ。
「まぁまぁ2人とも、ベガちゃんのこと気になるのもわかるけど、アルちゃんはコーヒー飲みすぎたらトイレ近くなるよ?ナツメくんも、早く仕事しないとまずいんじゃない?」
ルナが2人に言った。
「団長……コーヒー飲みすぎるとトイレ近くなるんですか?」
ナツメがクッキーを頬張りながら言った。
「ナツメ貴様、そろそろ立場というものを弁えて発言しろよ?私は団長だ。貴様の首なんぞいつだって飛ばせるんだ。死ねっ!!」
「ちょ、まっ、、団長!すみません!ちょ、マジで!!わかったから!!!剣をこっちに向けないでください!!マジで!!」
アルタイルは剣を鞘から抜いてナツメに向けていた。
今回ばかりはナツメが全部悪いと思っていたルナであった。
一方でその頃、ベガがラーナと特訓をするようになってから1ヶ月が経とうとしていた。
「ベガさん、随分と制御できるようになってきたんじゃないですか?」
「いや、まだ30秒くらいしか維持できないよ……体力も続かない…」
ベガはゼェゼェと息を切らしながら言った。
「いいえ、そんなことはありません、最初は制御どころか力に呑まれていましたし、それと比べれば随分な成長かと思いますよ。」
「そうかな……でもまだラーナとはまともに戦えないや。」
ベガは冗談交じりに笑った。
「焦らなくとも良いのです。少しづつ積み重ねれば、それは何にも代えがたい強さになります。少しづつでいいのですよ。」
「そうだね。」
「はい。今は30秒かもしれませんが、来月には1分、その次は3分、いずれは体力の続く限り維持できるよう頑張りましょう。要領が分かれば早いものですよ。」
ベガは立ってはいるが体力が長く続かずふらついていた。
「今日はここまでにしましょう。お昼に丁度いい時間です。それにベガさんもお疲れでしょうから。」
「お昼ご飯!お腹空いたぁ!」
ベガはニッコリ笑いながらその場に仰向けに倒れた。
ラーナはベガをおんぶして2回の自室のテラスへ向かった。
ラーナの部屋はまるで王室のように高価そうなカップやタンス、ベッドが並んでおり、いかにもお嬢様のお部屋といった感じだ。
「少し座っていてください。」
そう言ってベガをテラスの椅子に座らせて、お茶の準備を始めた。
部屋には高そうな紅茶の香りとサンドイッチの匂いが広がった。
「サンドイッチ!」
ベガは机に置かれたそう言ってサンドイッチをひとつ齧った。よほどお腹が空いていたのか、とても幸せそうな顔をしている。
「これはベガさんの分です。蜂蜜を入れて少し甘くしているので飲みやすいと思いますよ。」
ラーナはそう言ってベガの方に紅茶を置いた。
「ありがとうラーナ。」
ラーナは自分の部屋でお茶をする時は少し柔らかい印象になる。メイドという肩書きからお姉さんという肩書きに変わるような感じがしていた。姿勢も良く、所作からも高貴さが滲み出ており、いい所のお嬢様感が溢れている。
「それにしてもラーナの部屋ってなんだかすごくキラキラしてるね。」
「キラキラですか。ごく普通のお部屋かと思いますよ。」
「普通かなぁ?ベガはこんな綺麗なお部屋来たことないし、王様の部屋みたい!」
「王様ですか。ベガさんは面白いですね。」
「え…?」
あまりにも純粋にこの部屋をごく一般的と思い込んでいるラーナを見てベガは思わず声を出した。
「……?」
ラーナはそのベガの顔を見て首を傾げた。
「ラーナ、普通の人のお部屋はこんなにキラキラふわふわしてないよ?」
「え…?」
ベガの嘘偽りないその言葉を聞いてラーナも思わず声を出した。
いつもはメイドとして毅然とした立ち振る舞いと可憐な容姿と佇まいをしているラーナの顔が少し緩んで耳と頬が赤くなっていた。
明らかに動揺しているようだ。
「ラーナ………かわいい。」
ベガは思わず思っていたことを口に出してしまい、ラーナに追い打ちをかけた。ラーナの顔は真っ赤である。
「メ…メイドを……からかうものでは…ありません……」
ラーナは顔を隠すように少し俯いてとても小さく細い声で言った。
ラーナの普段とのあまりのギャップに、ベガはサンドイッチを食べる手を止めてしまっていた。
「なんだ急に。」
「だってほら、コーヒーもう4杯目ですよ?」
「っ……」
アルタイルはコーヒーを口に持っていく途中で手を止めた。
「ナツメ、お前こそこんな所でダラダラしていていいのか?お前に回ってきている書類がかなりの量あったはずだが」
「っ……」
今度はナツメがクッキーをかじろうとしたが、手を止めた。
2人ともいつものように医務室にいたが、最近はベガがラーナに力の扱い方を教わっていて医務室にいないことが多く、ナツメもアルタイルもベガのことが気になるのだ。
「まぁまぁ2人とも、ベガちゃんのこと気になるのもわかるけど、アルちゃんはコーヒー飲みすぎたらトイレ近くなるよ?ナツメくんも、早く仕事しないとまずいんじゃない?」
ルナが2人に言った。
「団長……コーヒー飲みすぎるとトイレ近くなるんですか?」
ナツメがクッキーを頬張りながら言った。
「ナツメ貴様、そろそろ立場というものを弁えて発言しろよ?私は団長だ。貴様の首なんぞいつだって飛ばせるんだ。死ねっ!!」
「ちょ、まっ、、団長!すみません!ちょ、マジで!!わかったから!!!剣をこっちに向けないでください!!マジで!!」
アルタイルは剣を鞘から抜いてナツメに向けていた。
今回ばかりはナツメが全部悪いと思っていたルナであった。
一方でその頃、ベガがラーナと特訓をするようになってから1ヶ月が経とうとしていた。
「ベガさん、随分と制御できるようになってきたんじゃないですか?」
「いや、まだ30秒くらいしか維持できないよ……体力も続かない…」
ベガはゼェゼェと息を切らしながら言った。
「いいえ、そんなことはありません、最初は制御どころか力に呑まれていましたし、それと比べれば随分な成長かと思いますよ。」
「そうかな……でもまだラーナとはまともに戦えないや。」
ベガは冗談交じりに笑った。
「焦らなくとも良いのです。少しづつ積み重ねれば、それは何にも代えがたい強さになります。少しづつでいいのですよ。」
「そうだね。」
「はい。今は30秒かもしれませんが、来月には1分、その次は3分、いずれは体力の続く限り維持できるよう頑張りましょう。要領が分かれば早いものですよ。」
ベガは立ってはいるが体力が長く続かずふらついていた。
「今日はここまでにしましょう。お昼に丁度いい時間です。それにベガさんもお疲れでしょうから。」
「お昼ご飯!お腹空いたぁ!」
ベガはニッコリ笑いながらその場に仰向けに倒れた。
ラーナはベガをおんぶして2回の自室のテラスへ向かった。
ラーナの部屋はまるで王室のように高価そうなカップやタンス、ベッドが並んでおり、いかにもお嬢様のお部屋といった感じだ。
「少し座っていてください。」
そう言ってベガをテラスの椅子に座らせて、お茶の準備を始めた。
部屋には高そうな紅茶の香りとサンドイッチの匂いが広がった。
「サンドイッチ!」
ベガは机に置かれたそう言ってサンドイッチをひとつ齧った。よほどお腹が空いていたのか、とても幸せそうな顔をしている。
「これはベガさんの分です。蜂蜜を入れて少し甘くしているので飲みやすいと思いますよ。」
ラーナはそう言ってベガの方に紅茶を置いた。
「ありがとうラーナ。」
ラーナは自分の部屋でお茶をする時は少し柔らかい印象になる。メイドという肩書きからお姉さんという肩書きに変わるような感じがしていた。姿勢も良く、所作からも高貴さが滲み出ており、いい所のお嬢様感が溢れている。
「それにしてもラーナの部屋ってなんだかすごくキラキラしてるね。」
「キラキラですか。ごく普通のお部屋かと思いますよ。」
「普通かなぁ?ベガはこんな綺麗なお部屋来たことないし、王様の部屋みたい!」
「王様ですか。ベガさんは面白いですね。」
「え…?」
あまりにも純粋にこの部屋をごく一般的と思い込んでいるラーナを見てベガは思わず声を出した。
「……?」
ラーナはそのベガの顔を見て首を傾げた。
「ラーナ、普通の人のお部屋はこんなにキラキラふわふわしてないよ?」
「え…?」
ベガの嘘偽りないその言葉を聞いてラーナも思わず声を出した。
いつもはメイドとして毅然とした立ち振る舞いと可憐な容姿と佇まいをしているラーナの顔が少し緩んで耳と頬が赤くなっていた。
明らかに動揺しているようだ。
「ラーナ………かわいい。」
ベガは思わず思っていたことを口に出してしまい、ラーナに追い打ちをかけた。ラーナの顔は真っ赤である。
「メ…メイドを……からかうものでは…ありません……」
ラーナは顔を隠すように少し俯いてとても小さく細い声で言った。
ラーナの普段とのあまりのギャップに、ベガはサンドイッチを食べる手を止めてしまっていた。
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