17 / 32
1章・箱庭
16.急展開
しおりを挟む
「魔法において最も重要なことって何か分かります?」
「知らん。」
「私は『純度』だと思うのです。どんなに魔力量の多い魔導師でも魔法の純度が低ければ、威力を上げるのに1度により多くの魔力を必要とします。ですが逆に言えば、どんなに魔力量の少ない魔導師でも、魔法の純度が高ければそこまで多くの魔力を消費しなくとも、より強い攻撃魔法が成せるのです。」
「なるほどな、だからあんたはさっきから高い威力の魔法ぶっぱなしてんのにほとんど魔力が減ってねぇわけだ。」
「ふふふ。その通りです。ところでナツメさん、あなた随分と手を抜いていらっしゃるようにお見受けしますが……」
ファーレが顔の表情を変えた。
「そう見えるか?だったらあんたの目は節穴だぜ?」
ナツメはそう言って剣をファーレに向けた。
ナツメとファーレの闘いは一進一退の攻防で、ファーレが魔法を放てばナツメはそれを受けるか避ける。またナツメが魔法と同時に剣を振れば、ファーレはそれを全て複数の魔法で相殺する。
「そろそろ頃合いかな。」
ナツメはそう口にすると剣を鞘にしまった。
「どうしましたか?怖気付いた……わけではなさそうですね。」
ファーレは様子を伺っている。
ナツメは両手で件を構えるポーズをとると、ナツメの手からは黒い大きな刀身が伸び始めた。その刀身は電気をまとったように周囲に放電している。
「なるほど、魔剣を使えたのですね。」
魔剣、それは完全に魔力のみで練り上げられた剣である。普通は剣に魔法を付与したり魔力を通して闘うが、魔剣は元となる剣がなく、魔力のみで剣をその手に宿すという技術であり、それを使える者は数少なかった。
「本番といこうぜ。」
ナツメはそう笑ってファーレに斬りかかった。
「(まずい、魔法が間に合わない!)」
ファーレはまた複数の魔法で相殺しようとしたが、ナツメの速度に魔法の発動が追いつかず吹き飛ばされてしまった。
また、ナツメの魔剣、それは剣を実体化させるほど高密度で純度の高い魔力とそれを実現させる精密な魔力操作、それらから放たれる攻撃は、威力が桁違いに跳ね上がった。
「あなた……おかしいですよ……どうしてあなたは大隊長なのですか…?あなたは大隊長などという立場に収まっていい実力の人間ではありません……並の大隊長ではないとは思っていましたが…どうやらそんなあなたが大隊長であり続けるのは、、、察するに訳ありという所でしょうか?」
ファーレは瓦礫を押し退けてボロボロになりながら言った。
「あぁ、察しが良くて助かるよ。でもなぁ、俺んとこの団には俺より強い奴がまだ何人もいるんだよ。俺なんかまだまだだぜ?」
「そうですが、王国魔剣士団とは恐ろしいものですね。」
「そうだろ?じゃあまぁ、そろそろトドメといくか。」
そう言ってナツメが魔剣に電力を強く纏わせ、雷のように辺りに放電された。
その瞬間、放電された雷により瓦礫の木片に引火した。
そしてとてつもない大爆発が引き起こった。この爆発はナツメの放ったものではなかった。
「やってくれるじゃねぇか……」
ナツメは咄嗟に魔法で障壁を作ったが、左半身を大きく火傷していた。
「私は最初に複数魔法と言いましたよ。複数の魔法を使う、つまりあなたと闘っている時に使っていた魔法とは別で、周囲の水素と酸素の濃度を操ることも雑作なくできます。あなたが炎系の魔法を使ってくださることを期待しましたが…まさか放電による引火で爆発するとは予想外でしたね。」
「そういうあんたも大火傷なんじゃねぇのか?」
そう、長い戦闘の中で増幅した酸素と水素の濃度からの水素爆発は、ファーレも無事ではいられなかった。ナツメの言うように、ファーレも右手に大きな火傷を負っていた。
「そうですね……正直ここまで大きく爆発するとは私も思っておりませんでしたので。あなたの魔剣の魔力の密度が高すぎたんじゃないですか?」
「バカ言え…、あんたが水素と酸素の濃度上げすぎたんだろ」
ボロボロで満身創痍の2人の火傷を癒すように、水素爆発によって生じた水が雨のように降り注いでいた。
「そろそろ終わりにしましょうナツメさん。」
「あぁそうだな。」
2人は魔法の詠唱をした。
『多重・魔法展開』
『魔剣技・飛翔』
2人の最高火力がぶつかり合う。
かに思われた。
「?!?!?!近い…!!!ちょっと、////……降参降参降参んんんんんん!!///」
ナツメがとんでもない速さで迫ってきて、ファーレの顔に一瞬で近づいた時、ファーレは顔を赤らめて両手を前に出して叫んだ。
ナツメはファーレの首に剣がさしかかる寸前で停止し、よく分からないといった顔をしている。
「え、いや、あの、その、えっと、」
ファーレは目を泳がせて耳を赤くしている。
「降参ってなんだ?舐めてんのか」
ナツメは停止したまま睨んでいた。
「(目つき鋭い…かっこいい///)えっと、私………………幼少期から男性というものがあまり分からなくて、その、恋というものもあまり嗜んだことがありませんでして、こんなに男性の方と至近距離になったのは初めてで、その、つまり、その、えっと…………///」
「……???何だ急に」
ナツメはファーレの急激な態度の変化に困惑が隠せなかった。
「何だ、はっきり言え。」
ナツメは魔剣を下ろした。
「あの……私…………ナツメさんに……恋をしてしまったようです…///」
「…………」
ナツメは素っ頓狂な顔で黙り込んだ。
「ハァァ?!?!?!?!?!」
少しのラグの後、ナツメはようやく事態を理解し、驚いて声を上げた。
もはや2人とも魔力を放棄し、ナツメの魔剣は無くなり、ファーレの魔法陣は消滅。2人は丸腰で地上に降りていた。
「知らん。」
「私は『純度』だと思うのです。どんなに魔力量の多い魔導師でも魔法の純度が低ければ、威力を上げるのに1度により多くの魔力を必要とします。ですが逆に言えば、どんなに魔力量の少ない魔導師でも、魔法の純度が高ければそこまで多くの魔力を消費しなくとも、より強い攻撃魔法が成せるのです。」
「なるほどな、だからあんたはさっきから高い威力の魔法ぶっぱなしてんのにほとんど魔力が減ってねぇわけだ。」
「ふふふ。その通りです。ところでナツメさん、あなた随分と手を抜いていらっしゃるようにお見受けしますが……」
ファーレが顔の表情を変えた。
「そう見えるか?だったらあんたの目は節穴だぜ?」
ナツメはそう言って剣をファーレに向けた。
ナツメとファーレの闘いは一進一退の攻防で、ファーレが魔法を放てばナツメはそれを受けるか避ける。またナツメが魔法と同時に剣を振れば、ファーレはそれを全て複数の魔法で相殺する。
「そろそろ頃合いかな。」
ナツメはそう口にすると剣を鞘にしまった。
「どうしましたか?怖気付いた……わけではなさそうですね。」
ファーレは様子を伺っている。
ナツメは両手で件を構えるポーズをとると、ナツメの手からは黒い大きな刀身が伸び始めた。その刀身は電気をまとったように周囲に放電している。
「なるほど、魔剣を使えたのですね。」
魔剣、それは完全に魔力のみで練り上げられた剣である。普通は剣に魔法を付与したり魔力を通して闘うが、魔剣は元となる剣がなく、魔力のみで剣をその手に宿すという技術であり、それを使える者は数少なかった。
「本番といこうぜ。」
ナツメはそう笑ってファーレに斬りかかった。
「(まずい、魔法が間に合わない!)」
ファーレはまた複数の魔法で相殺しようとしたが、ナツメの速度に魔法の発動が追いつかず吹き飛ばされてしまった。
また、ナツメの魔剣、それは剣を実体化させるほど高密度で純度の高い魔力とそれを実現させる精密な魔力操作、それらから放たれる攻撃は、威力が桁違いに跳ね上がった。
「あなた……おかしいですよ……どうしてあなたは大隊長なのですか…?あなたは大隊長などという立場に収まっていい実力の人間ではありません……並の大隊長ではないとは思っていましたが…どうやらそんなあなたが大隊長であり続けるのは、、、察するに訳ありという所でしょうか?」
ファーレは瓦礫を押し退けてボロボロになりながら言った。
「あぁ、察しが良くて助かるよ。でもなぁ、俺んとこの団には俺より強い奴がまだ何人もいるんだよ。俺なんかまだまだだぜ?」
「そうですが、王国魔剣士団とは恐ろしいものですね。」
「そうだろ?じゃあまぁ、そろそろトドメといくか。」
そう言ってナツメが魔剣に電力を強く纏わせ、雷のように辺りに放電された。
その瞬間、放電された雷により瓦礫の木片に引火した。
そしてとてつもない大爆発が引き起こった。この爆発はナツメの放ったものではなかった。
「やってくれるじゃねぇか……」
ナツメは咄嗟に魔法で障壁を作ったが、左半身を大きく火傷していた。
「私は最初に複数魔法と言いましたよ。複数の魔法を使う、つまりあなたと闘っている時に使っていた魔法とは別で、周囲の水素と酸素の濃度を操ることも雑作なくできます。あなたが炎系の魔法を使ってくださることを期待しましたが…まさか放電による引火で爆発するとは予想外でしたね。」
「そういうあんたも大火傷なんじゃねぇのか?」
そう、長い戦闘の中で増幅した酸素と水素の濃度からの水素爆発は、ファーレも無事ではいられなかった。ナツメの言うように、ファーレも右手に大きな火傷を負っていた。
「そうですね……正直ここまで大きく爆発するとは私も思っておりませんでしたので。あなたの魔剣の魔力の密度が高すぎたんじゃないですか?」
「バカ言え…、あんたが水素と酸素の濃度上げすぎたんだろ」
ボロボロで満身創痍の2人の火傷を癒すように、水素爆発によって生じた水が雨のように降り注いでいた。
「そろそろ終わりにしましょうナツメさん。」
「あぁそうだな。」
2人は魔法の詠唱をした。
『多重・魔法展開』
『魔剣技・飛翔』
2人の最高火力がぶつかり合う。
かに思われた。
「?!?!?!近い…!!!ちょっと、////……降参降参降参んんんんんん!!///」
ナツメがとんでもない速さで迫ってきて、ファーレの顔に一瞬で近づいた時、ファーレは顔を赤らめて両手を前に出して叫んだ。
ナツメはファーレの首に剣がさしかかる寸前で停止し、よく分からないといった顔をしている。
「え、いや、あの、その、えっと、」
ファーレは目を泳がせて耳を赤くしている。
「降参ってなんだ?舐めてんのか」
ナツメは停止したまま睨んでいた。
「(目つき鋭い…かっこいい///)えっと、私………………幼少期から男性というものがあまり分からなくて、その、恋というものもあまり嗜んだことがありませんでして、こんなに男性の方と至近距離になったのは初めてで、その、つまり、その、えっと…………///」
「……???何だ急に」
ナツメはファーレの急激な態度の変化に困惑が隠せなかった。
「何だ、はっきり言え。」
ナツメは魔剣を下ろした。
「あの……私…………ナツメさんに……恋をしてしまったようです…///」
「…………」
ナツメは素っ頓狂な顔で黙り込んだ。
「ハァァ?!?!?!?!?!」
少しのラグの後、ナツメはようやく事態を理解し、驚いて声を上げた。
もはや2人とも魔力を放棄し、ナツメの魔剣は無くなり、ファーレの魔法陣は消滅。2人は丸腰で地上に降りていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろう、ベリーズカフェにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる