27 / 32
1章・箱庭
26.変質者
しおりを挟む
「こんにちはベガさん。お出かけですか?」
渡り廊下で走っていくベガを見かけ、ラーナが声をかけた。
「うん!どう?可愛いでしょ。」
「大変麗しいです。」
ベガはヒラヒラの白いワンピースをラーナに見せた。白が陽の光に当てられて眩しいようだった。
「今からお出かけなんだ。アルとナツキとフレンさんも一緒なの。」
「そうでしたか。どちらに行かれるのですか?」
「どこって言ってたっけ…なんかリゾートなんだって。」
「もしやセントレイスではありませんか?」
「そう、それ!」
「セントレイスはドワーフが多く在住する中立国家で、工業が発達した街とも聞きますね。」
「そうなんだ…!ドワーフって見たことないや。」
「きっと皆さんいい方たちですよ。沢山楽しんできてくださいね。」
「うん!」
ラーナは終始変わらず作ったような笑顔をしていた。だがベガはコロコロと表情を変えていた。これは周りから見れば異様なコミュニケーションかもしれない。
_____________
同日、帝国にて。
「クロノが死んだ。オマケにファーレまで捕まった。主戦力が2枚も欠けたのだ。この先どう立て直すつもりだ。」
皇帝の玉座の間で、薄暗い大部屋の中には帝国の皇帝ザック・バーンド・アルバーが1人玉座に座し、その前には黒いローブにフードを深く被った男かも女かも分からないような人物、いかにも変質者のような者が跪く訳でもなくて立っていた。
「まぁザック皇帝、落ち着いてください。ティアラ家の娘に関しては想定外でしたがクロノ・アンタレスの損失はある程度想定の範囲。それにあの娘には私の眷属になってもらっています。つまりあの娘がティアラ家の話をすることは無い。」
「本当か…。」
「本当ですとも。それに、兆しはあります。イリスの箱庭は今、セントレイスにある。」
「それがその兆しだと?」
「えぇ、そうです。あの石さえあればあなたの悲願は達成されます。」
変質者は余裕そうな顔でニヤついた。
「あぁ、それからカインはもう使えなくなってしまいました。王国の女にいたぶられて酷く精神を病んでしまった…。あの人には少し違う形で役に立って頂きます。」
「……そうか。」
「おい、本当に帝国は悲願を達成できるんだろうな。」
「ええ出来ますとも。ただ……」
「ただ、なんだ」
「ただ王国に変なものが湧いて出た可能性が捨てきれません……」
「変なもの?どういう意味だ」
「そのままの意味です。私と似て非なる存在……帝国を脅威に陥れることになるかもしれない存在です。」
「そんな…!誰なんだそいつは!」
「…まだお教えできないですね。その存在が王国に居るともまだ断定できない。ただし、居たとしても帝国には私がいます。まぁ少し厄介な相手ではありますが、私の敵ではありません。ご心配なく。」
「本当なんだろうな……」
皇帝は怪訝な顔つきをしていた。
「もちろん。全てお任せ下さい。」
皇帝ザックが瞬きをする間に、そう言って変質者は皇帝の前から居なくなっていた。
渡り廊下で走っていくベガを見かけ、ラーナが声をかけた。
「うん!どう?可愛いでしょ。」
「大変麗しいです。」
ベガはヒラヒラの白いワンピースをラーナに見せた。白が陽の光に当てられて眩しいようだった。
「今からお出かけなんだ。アルとナツキとフレンさんも一緒なの。」
「そうでしたか。どちらに行かれるのですか?」
「どこって言ってたっけ…なんかリゾートなんだって。」
「もしやセントレイスではありませんか?」
「そう、それ!」
「セントレイスはドワーフが多く在住する中立国家で、工業が発達した街とも聞きますね。」
「そうなんだ…!ドワーフって見たことないや。」
「きっと皆さんいい方たちですよ。沢山楽しんできてくださいね。」
「うん!」
ラーナは終始変わらず作ったような笑顔をしていた。だがベガはコロコロと表情を変えていた。これは周りから見れば異様なコミュニケーションかもしれない。
_____________
同日、帝国にて。
「クロノが死んだ。オマケにファーレまで捕まった。主戦力が2枚も欠けたのだ。この先どう立て直すつもりだ。」
皇帝の玉座の間で、薄暗い大部屋の中には帝国の皇帝ザック・バーンド・アルバーが1人玉座に座し、その前には黒いローブにフードを深く被った男かも女かも分からないような人物、いかにも変質者のような者が跪く訳でもなくて立っていた。
「まぁザック皇帝、落ち着いてください。ティアラ家の娘に関しては想定外でしたがクロノ・アンタレスの損失はある程度想定の範囲。それにあの娘には私の眷属になってもらっています。つまりあの娘がティアラ家の話をすることは無い。」
「本当か…。」
「本当ですとも。それに、兆しはあります。イリスの箱庭は今、セントレイスにある。」
「それがその兆しだと?」
「えぇ、そうです。あの石さえあればあなたの悲願は達成されます。」
変質者は余裕そうな顔でニヤついた。
「あぁ、それからカインはもう使えなくなってしまいました。王国の女にいたぶられて酷く精神を病んでしまった…。あの人には少し違う形で役に立って頂きます。」
「……そうか。」
「おい、本当に帝国は悲願を達成できるんだろうな。」
「ええ出来ますとも。ただ……」
「ただ、なんだ」
「ただ王国に変なものが湧いて出た可能性が捨てきれません……」
「変なもの?どういう意味だ」
「そのままの意味です。私と似て非なる存在……帝国を脅威に陥れることになるかもしれない存在です。」
「そんな…!誰なんだそいつは!」
「…まだお教えできないですね。その存在が王国に居るともまだ断定できない。ただし、居たとしても帝国には私がいます。まぁ少し厄介な相手ではありますが、私の敵ではありません。ご心配なく。」
「本当なんだろうな……」
皇帝は怪訝な顔つきをしていた。
「もちろん。全てお任せ下さい。」
皇帝ザックが瞬きをする間に、そう言って変質者は皇帝の前から居なくなっていた。
0
あなたにおすすめの小説
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~
月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』
恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。
戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。
だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】
導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。
「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」
「誰も本当の私なんて見てくれない」
「私の力は……人を傷つけるだけ」
「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」
傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。
しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。
――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。
「君たちを、大陸最強にプロデュースする」
「「「「……はぁ!?」」」」
落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。
俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。
◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる