君と世界にたった1杯の珈琲を

にもの

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1章・箱庭

27.湾岸列車

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セントレイス旅行休暇(名ばかり)が決まり、ナツメ、ベガ、アルタイル、フレンの4人はセントレイス行きの列車へ乗り込んだ。
「おぉぉ~!!すごい!これが列車かぁ~!!」
「ベガちゃんは列車乗ったことないんだっけ」
「無い。フレンさんはあるの?」
「僕は任務で何度かね。」
人生初の列車にベガは大興奮だった。
「まぁセントレイスまでは長くなる。好きに休もう。」
アルタイルはそう言って列車の4人席の窓際に腰掛けた。横に続くようにベガが座った。向かいにはナツメとフレンが座った。
「長くなるって、セントレイスってそんなに遠いんすか?」
「ナツメは行ったこと無かったのか。そんな見た目して意外だな。」
「見た目は関係ないっすよ!!!」
アルタイルは少し機嫌がいいのか、いつもよりナツメをからかう頻度が多かった。
「まぁ、時間で言えば3時間か4時間といったところか。王国の隣国とはいえ、我々が普段いる首都の方向とは真反対の方向になるからな。それなりに時間はかかる。」
「そうなんすね~。俺途中で寝ちゃいそうっす」
「そうか。まぁ一応は休暇という形にしてもらってるからな。この3日間くらいは休んでもいいだろう。」
「え、3日ですか?!」
フレンが突然声を上げた。
「あぁ。言ってなかったか?」
「今知りました…てっきり1週間くらいあるのかと……」
「世の中そんなに甘くないんすよフレンさん。」
「ナツメくんは3日でいいの?」
「俺はまぁ、本来は安静にしてないといけないんすよ。この包帯が見えないんすか?」
「まぁ、そうだよね……あはは。」
ナツメとフレンがそんな会話をしている間、ベガはアルタイルを挟んで窓の外を見ようと必死だった。
「代わろうか?」
「いいの?」
「あぁ。私は外はあまり見ないからな。」
アルタイルがそう言うとベガは少し考えて言った。
「じゃあこうしよう!!」
そう言ってベガはアルタイルの膝の上に座り込んだ。
アルタイルの膝の上にベガが座っているのを見て、フレンとナツメは
「平和だ……」
と二人して口に漏れた。
「見てアル!!海だよ海!!」
「そうだな。この列車は湾岸沿いに走っているらしい。」
ベガは普段見ない景色や雰囲気に大興奮だった。

そのまま列車は海沿いを走り続け、1時間ほど経った頃、4人は突然強い慣性に押された。
「何事だ?」
アルタイルがベガを膝に抱き抱えたまま構えた。
「止まってる……緊急停止かな。」
フレンは落ち着いて言った。
そして車内はザワつき初め、数分が経った頃、ナツメが席を立った。
「俺ちょっと前の方の様子見てきます。緊急停止なら何かしらのアナウンスがあるはずなのに何も無いのは不自然っすから。」
「たしかに。なら私も行こう。」
そう言ってアルタイルが立とうとしたが、ベガがそれを止めるようにギュッとアルタイルの服の裾を握った。
この時のベガの脳裏にはセレイドやカレンの姿がよぎり、少し不安になったのかもしれない。
「いいっすよ団長。ベガちゃん見てあげてください。」
「…わかった。任せたぞナツメ。」
アルタイルはそう言ってナツメを見送り、ナツメは車両から車両へと前の方へ移動していった。
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