君と世界にたった1杯の珈琲を

にもの

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1章・箱庭

28.守り神(笑)

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ナツメは扉を開け、前の車両へ、また扉を開け、そのまた前の車両へと移り、1番先頭の車両へとたどり着いた。
先頭車両には、魔力によって列車を動かすための大きな動力源と操縦席があり、そこまで広い空間ではなかった。

「えーっと、もしかして君が元凶???」
そう言ったナツメの目線の先には巫女装束のような格好をした6歳か7歳くらいの小さな幼女がいた。鹿色の少し長い髪が特徴的だ。
幼女は列車の車掌の首にナイフを突きつけている。当の車掌本人は倒れており起きる気配もなかった。
近くにはもう1人の乗員らしき男が腰を抜かしていた。非常停止ボタンを押したのはどうやらその男らしい。
「うるさい童。妾に近づくな。何を嗅ぎ付けてここまで来たか知らんが、ここへ来た以上は一歩たりとも動かしはせん。」
「あー、お嬢ちゃんよ、おままごとなら家でやったらどうかな?」
ナツメは幼女に対して子供の非行としか思っておらず、油断していた。
「馬鹿にするな」
少女はそう言って形相を変え、次の瞬間ナツメは何かに首を掴んで壁に押し付けられ、そのまま上へ締め上げられた。だがナツメの首元には何も見えない。
「ガァッ……くっ……なん……っだ…てめぇ……!」
「妾が何者かなんぞ貴様に教える義理はない。」
「……くぁ……っやば……っしr……しぬぅ…!ちょっ、、タンマ……っ」
ナツメが必死にもがいているのを見て幼女はナツメを解放した。
「がぁぁぁぁ!死ぬかと思ったァ……で、、、あんたの目的は?」
「妾はこの列車を運転することが目的じゃ。」
「は?」
「この列車を運転することが目的じゃと言っておる」
「出来るわけないじゃん!!?一般常識的に!」
ナツメは思わず口に出てしまった。
「そんなこと妾も分かっておる!!だから妾の金平糖をひとつやろうと交渉を持ちかけたのに、この車掌の男は妾を幼女扱いした挙句乗員を呼んで妾をここから追い出そうとしたのじゃぞ!!!この妾を!!」
「そりゃそうでしょ?!?!?!」
「何故じゃ!!!」
「こっちが何故じゃ!だよ!!!ツッコミどころ多すぎるわ!」
「どいつもこいつも妾をコケにしおって!この妾がお願いしておるのじゃぞ!」
「どの妾だよ!それと1回そのナイフしまって!てかそもそもあんた誰?!」
幼女はナツメの言葉に渋々ナイフをしまった。
「貴様と話していると怒りがどこかへ行ってしもうたわ。妾は鏡縁けいえん。齢690にして長く続く国家セントレイスの守り神じゃ。」
「守り神?!って、まぁ信じ難いけどあんなことされちゃ信じないわけにはいかないよな……」
ナツメは脳裏に首を絞められた時のことが過った。
「とりあえず列車の運行を再開させたいんだけど、車掌さん起こしてくれない?」
「……うむ。今回はこの車掌も貴様に免じて許してやるとしよう」
鏡縁はそう言って車掌に手をかざし、眠らせていた術を解いた。
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