ゴッドクエスト

紅蓮の焔

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10章 妖精界での冒険

130話森の奥で

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そして森の奥へ進むこと数分経ったその時
「っ!避けろ!」
メイトに言われてレインは咄嗟に後ろへ跳躍した
「グルルルルルル」
「な、何あれ?」
「ちょっと待って!」
レインは知識の本を開いて目の前のモンスターを調べる

『ライドウルフ
人間(大)近くの大きさの赤い毛並みの狼
基本的に単独で行動することが多いが、子持ちは基本的に一家で行動する
人の言葉を理解でき、更には念話をする事が出来る
恐い見た目で誤解されているが本当は正義感が強く穏やかな性格でとても家族思い
だが激怒すると魔力が暴走して凶暴化する』

「何かに怒っている様に見えるけど…」
「何に怒ってるんだろ」
「分かんなーい」
「グルルルルルル」
狼はずっとレイン達を威嚇し動こうとしない
「あの狼は家族連れ?それとも単独なの?」
レインの言葉で2人と1匹は狼の周りを確認し始めた
そしてレインはある事に気が付いた
「ねえ、狼さん?」
レインが近付いて行くが狼は動こうとする所か余計に威嚇してくる
「大丈夫、安心して…」
レインが狼の鼻に触れると狼も静かになった
「ほら、ね?大丈夫でしょ?」
「グルルゥ」
次は狼がレインに頬擦りを始めた
「レイン、どういう事だ?」
「あのね、この狼さん右足を怪我してて、その上少し遠くで何かが動いたから…ハミちゃん、治してあげて」
「うぅ、分かったよ」
ハミは狼の左足の前に行き、傷口に手を触れた
狼の傷は白い光に包まれ少し経つと光が消えて再び見ると傷が塞がっていた
【ありがとう、人の子よ】
「ハミちゃん何か言った?」
「ううん、何も」
「お兄ちゃんは?」
「俺も何も言っていない」
「じゃあ気のせいかな」
レインは狼に手を振って森の奥へ行こうとするとまた聞こえてきた
【待ってくれ、何か礼がしたい】
「やっぱり何か聞こえた」
「俺には聞こえなかったぞ?」
「私も聞こえなかった~」
【私だ、先ほどお前達に治療させて貰った狼だ】
レインはその声を聞いて後ろを振り向くと狼がレインを見ていた
「お兄ちゃん、ちょっと待ってて」
「ん?ああ、良いけど…どうしたんだ?」
「あの狼さんが呼んでるんだよ」
「じゃあ待ってるから行ってこい」
「は~い!」
レインは狼の所へ走っていった
ハミはレインの頭にいるので一緒にいる。メイトは遠目でレインを見ていた
【人の子よ、なぜ私を助けた?】
「だって僕も痛いの嫌いだし足が使えないと困るでしょ?僕も使えなかったとき困ったし」
【少し待ってくれ、ならお前は足が使えなくなった時があったのか?】
「うん、ほら!」
レインが足への魔力の供給を止めると徐々に透明になっていき、左足の膝から下が無くなった
【魔力でそのような事が出来たのだな…】
「うん!そうみたい!」
【治療して貰った上に魔力の新たな使い方まで伝授されたのだ…礼だけでは足りぬな】
「大丈夫だよ、お礼なんかしなくても」
【いや、それでは私の気が済まぬ】
レインが首を捻り出した答えが…
「じゃあ友達になって」
【え?いや、それだけで良いならそれで構わんが…本当にそれで良いのか?】
「うん、それしか思い付かないし」
【ならばそれで良いだろう】
「じゃあ今から友達ね!」
【ああ、宜しくな】
狼が頭を下げてきたのでレインが頭に触れるとレイン達を光が包んだ
「え!な、何!?」
レインが驚いている内に光が徐々に弱くなり消えていった
【これで契約完了だ】
「はい?契約?それ何?」
【む?友になりたいとは契約の事ではなかったのか?】
狼が首を捻るとレインはぶんぶんと横に首を振った
「違うよ!普通に友達だよ!契約って何かも分かんないし…」
【そうだったのか…すまんな、勘違いしてしまった】
「はあ、もう良いよ。それで契約って何なの?」
レインが聞くと狼はまずこちらへ来いと手招きをしてきたのでメイトを呼んで2人で狼の後を追った
【これが私の子供たちだ、可愛いだろ?】
狼が連れてきたのは少し大きな木の幹の所でそこに3匹の小さな狼がいてはしゃぎ回っていた
「がうがう!」
「ぐるるぅ?」
「きゃんきゃん!」
「子供たちは話せないの?」
【ああ、子供たちは念話で話すことが出来ない】
狼が子供たちを止めて集めると話し始めた
【まず、契約と言うのは双方の合意のもと行われる
そして、契約を結んだ時に主従関係が生まれる
主となった者が従者となった者を好きな時にぶこと、所謂いわゆる召喚が可能だ
今回の契約で言えばお主が私を召喚する事が可能だ
喚び方はお主が私の名前を呼ぶことで召喚が出来る
そして、私を還したい時は私の名を反対に言うことで可能だ
私の名はガギュールだ試しに少し離れた位置でやってみてくれ】
「分かった~!」
レインは楽しそうに少し離れて叫んだ
「ガギュール!」
するとレインの隣に魔方陣が現れ、ガギュールの横にも魔方陣が現れた
両方の魔方陣がガゴゴゴゴゴ…ゴン!と音を立てて開き、魔方陣がガギュールの方へ移動し、魔方陣を境にガギュールが見えなくなり、完全に消えるとレインの隣の魔方陣から飛び出てきた
「おお!かっこいい!」
【ははは、面白いな、お主の名は?】
「僕はレイン!」
【これから宜しく頼むレイン】
狼がお座りをして上からレインを見下ろしながら言うとレインも
「宜しく!」
と、返事を返した
「じゃあね~!また遊びに来るから~!」
【ああ、こちらも久しい客人に楽しませて貰ったありがとう】
「がう!」
「がるぅ!」
「わん!」
3匹も別れの挨拶を言ったのでレインも振り返って手を振り大きく返事した
「ばいばーい!」





「でも、召喚って初めて聞いたんだけど!?凄いなあれ!俺もやってみたい…」
「お兄ちゃんも知らなかったの!?」
「私も知らないよ~」
レインはメイトとハミも知らなかったという事実に驚いていた
「それよりホムラの鞘を造って貰わないとな」
「あっ」
「もしかして忘れてたのか?」
「忘れてないよ!ほら行こう!」
レインはホムラを手に…持っておらず探し回って、最後に昼飯を食べた所に置き忘れていた
【主人…酷い…】
「ごめんホムラ~!許して~!」
【その代わり…僕を…捨てないで…】
「分かった!ぜっっったいに!捨てない!」
【じゃあ…許して…あげる】
「やった!」
レインはホムラを持っていない方の手をグッと握り小さくガッツポーズした
「じゃあ早く見つけてホムラの鞘を造って貰お~!」
レインはホムラを前に向けて歩いて行った
それを後ろで見ていたメイトは
「いや!それ危ないって!」
と突っ込んでしまい、レインは慌てて下へ向けて歩いて行った
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